<?xml version='1.0' encoding='UTF-8'?><?xml-stylesheet href="http://www.blogger.com/styles/atom.css" type="text/css"?><feed xmlns='http://www.w3.org/2005/Atom' xmlns:openSearch='http://a9.com/-/spec/opensearchrss/1.0/' xmlns:georss='http://www.georss.org/georss' xmlns:gd='http://schemas.google.com/g/2005' xmlns:thr='http://purl.org/syndication/thread/1.0'><id>tag:blogger.com,1999:blog-4358023851694157304</id><updated>2011-09-05T07:01:54.054+09:00</updated><title type='text'>Random Cage</title><subtitle type='html'></subtitle><link rel='http://schemas.google.com/g/2005#feed' type='application/atom+xml' href='http://randomcage.blogspot.com/feeds/posts/default'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/4358023851694157304/posts/default?max-results=100'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://randomcage.blogspot.com/'/><link rel='hub' href='http://pubsubhubbub.appspot.com/'/><author><name>soulcage</name><uri>http://www.blogger.com/profile/09004893170655174551</uri><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><generator version='7.00' uri='http://www.blogger.com'>Blogger</generator><openSearch:totalResults>29</openSearch:totalResults><openSearch:startIndex>1</openSearch:startIndex><openSearch:itemsPerPage>100</openSearch:itemsPerPage><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-4358023851694157304.post-6443207639431996936</id><published>2011-09-05T06:56:00.002+09:00</published><updated>2011-09-05T07:01:54.088+09:00</updated><title type='text'>Harold James and Matteo Albanese 「さよなら"グローバリゼーション"」</title><content type='html'>&lt;p&gt;小ネタです。『Project Syndicate』からハロルドさんとマテオ・アルバネーゼさん共著のエッセイをば。原文は「Goodbye to "Globalization" - Harold James and Matteo Albanese」(&lt;a href="http://www.project-syndicate.org/commentary/james49/English"&gt;http://www.project-syndicate.org/commentary/james49/English&lt;/a&gt;)。&lt;/p&gt;&lt;p&gt;あー日本語むずかし。&lt;/p&gt;&lt;hr/&gt;&lt;h2&gt;さよなら"グローバリゼーション"&lt;/h2&gt;&lt;p&gt;&lt;/p&gt;&lt;br /&gt;
&lt;p&gt;"globalization" ということばが世界中にひろまったのは1990年代です。それがいちばんポピュラーだったのは2000年と2001年で、2001年のル・モンドには"mondialisation(&lt;a href="#note_1"&gt;訳注1&lt;/a&gt;)"という単語が3500回もでてきます。しかし、その後は減りつづけて2006年になるころには2割以下になってしまいました。2007年に金融危機がおきてからというもの、ニューヨーク･タイムズやフィナンシャル･タイムズといった有名新聞でこのことばを目にする機会はさらに少なくなりました。グローバリゼーションという言葉にかつてのような勢いはありません。&lt;/p&gt;&lt;p&gt;グローバリゼーションという概念のみじかい歴史をたどり、すりきれて陳腐になった用語をほかにも探してくらべてみると事態がみえてきます。&lt;/p&gt;&lt;p&gt;20世紀にでてきたもっとも重要な概念は、"全体主義"と"グローバリゼーション"のふたつです。両方とももとはイタリア語でした。"全体主義"は20世紀なかごろの騒乱のなかで、"グローバリゼーション"はおなじ20世紀のおだやかな世紀末に定義されたものです。"全体主義"のほうは1989年にとうとう空中分解してしまい、グローバリゼーションが勢いをえることになりました。&lt;/p&gt;&lt;p&gt;どちらの言葉も批判のなかから生まれ、そこに描かれている政治的風潮を攻撃しやっつけようとするものでした。でも両方とも、その風潮を支持する側がうるさく熱狂的につかうだけになってしまった用語なんです。&lt;/p&gt;&lt;p&gt;"全体主義"は1923年に生まれた概念で、リベラリストのジョバンニ・アメンドーラがムッソリーニの新政治体制という誇大妄想な主張を批判したりパロディ化したりするなかで生まれました。ところがその数年あとには、ムッソリーニ政権のジョバンニ・ジェンティーレ教育大臣のあとおしで、イタリア･ファシズムが鼻高々に自らを規定するさいの概念になってしまいます。ジェンティーレはのちにムッソリーニ政権のオフィシャルなファシズム哲学者になり、『ファシズム百科事典』ではムッソリーニのゴーストライターになった人です。&lt;/p&gt;&lt;p&gt;賛否どちらの立場でその言葉をつかおうと、概念としての全体主義は生活のあらゆる面にかかわる活動を政治・経済・社会的に一貫した理念であらわそうとしていました。ファシストというのは自らに完全なる知識とすべての権力があると考えたがるひとたちだったんですね。&lt;/p&gt;&lt;p&gt;"グローバリゼーション"という用語がどこで生まれたのか知る人はいまではまずいません。『オックスフォード英語辞典』をひくと、学術論文でいまのように使われるようになったのは1972年からだとあります。意味はかなり違いますが、ことば自体はもっと古くから使われていました。外交の場面で、共通点のない政治分野どうしがリンクしているのを示唆する用語だったのです。たとえば、金融政策の問題と国防の問題をいちどに交渉するようなときにつかわれました。&lt;/p&gt;&lt;p&gt;『オックスフォード英語辞典』にあるグローバリゼーションの語源は英語以外の言語を無視しています。ほんとうは大陸ヨーロッパの急進主義的な学生たちによる独創的な使いかたがはじまりです。1970年のこと、イタリアの急進左派のアンダーグラウンド雑誌『Sinistra Proletaria』 に「The Process of Globalization of Capitalist Society」という記事がのりました。記事にはIBMがでてきますが、"IBMはそれ自体が団結したひとつの総体であり、利潤を得るためにあらゆる活動をコントロールし、製産プロセスすべてを'グローバライズ'する組織として存在するのだ"とあります。IBMは14ヶ国に工場をもち109ヶ国でそれを売っていて、"資本家による帝国主義支配のグローバル化(mondializzazione)の一部だ"からだそうです。この無名の左翼出版物が、現代的な意味でグローバリゼーションという言葉をつかった最初のものです。&lt;/p&gt;&lt;p&gt;それ以降、この用語は浮き沈みを経験してきました。1990年代にだんだんブームになって相手をののしるのによく使われるようになりました。1990年代のおわりから2000年はじめにかけては、WTOやIMF、世界経済フォーラム、マクドナルドなんかを標的に反グローバル化のデモがおこなわれていましたね。当時は1960年代のイタリア左翼とおなじ意味あいで使われていて、選ばれたテクノクラートが世界の貧しい人々を金にものをいわせて搾取するのがグローバリゼーションだったのです。&lt;/p&gt;&lt;p&gt;ところが2000年にはいるとこの言葉の意味はかわります。グローバリゼーションはもうちょっとポジティブな意味で注目されるようになりました。グローバル化の勝ち組に急成長中の新興国がふくまれるようになってきたのが大きな理由です。たしかに、かつては "後発"だとか "第三世界" とかよばれてきた国々が世界の主導権をにぎりはじめるようになってきていました。それにくわえて、以前はグローバル化を批判していた人たちも、気候変動や経済危機や貧困のような国際問題を解決する道として世界的なつながりを認めるようになってきていました。&lt;/p&gt;&lt;p&gt;歴史学者はグローバル化をさかのぼる研究をはじめています。グローバリゼーションは、資本市場を原動力に世界が統合してきたここ20年だけのお話ではもはやなく、金本位制や大西洋横断電信ケーブル(&lt;a href="#note_2"&gt;訳注2&lt;/a&gt;)であたかも世界がひとつになっていたかのようだった19世紀の"グローバル化の第一波"についてのお話でさえありません。歴史観としてのグローバリゼーションはもっと幅広くもっと深みがあります。それはローマ帝国や中国の宋王朝をも視野にいれ、アフリカに起源をおなじくする人類のグローバル化の足跡をたどっていくような歴史観です。&lt;/p&gt;&lt;p&gt;わたしたちは全体主義やグローバリゼーションということばで複雑な政治的社会的現象を表現してきました。これらの言葉の変遷にはおもしろい両義性があります。相手を非難することをねらってつくられた概念には、相手をたたえるような言葉にころっとかわってしまうものもあるのです。&lt;/p&gt;&lt;p&gt;2011年には反グローバル化という言葉づかいはほぼ色あせてしまっています。グローバル化はやっつけるものでも持ちあげるものでもありません。人類史はまったくことなる土地やさまざまな話題がひどくもつれあうもので、グローバル化はその根っこにある性質です。つまり、グローバリゼーションはかみつくべき論点ではくなり(&lt;a href="#note_3"&gt;訳注3&lt;/a&gt;)、まさにそのせいで概念としての魅力もなくなってしまったといえましょう。&lt;/p&gt;&lt;blockquote style="background-color:gainsboro; font-size:99%; border-style:solid; border-width:1px 0px 1px 0px; margin:10px;padding:2px 10px"&gt;&lt;p&gt;&lt;a id="note_1"&gt;訳注 1&lt;/a&gt;: mondial = "全世界の"という形容詞。&lt;/p&gt;&lt;p&gt;&lt;a id="note_2"&gt;訳注 2&lt;/a&gt;: Atlantic telegram。&lt;/p&gt;&lt;p&gt;&lt;a id="note_3"&gt;訳注 3&lt;/a&gt;: polemical bite。&lt;/p&gt;&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/4358023851694157304-6443207639431996936?l=randomcage.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://randomcage.blogspot.com/feeds/6443207639431996936/comments/default' title='Post Comments'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=4358023851694157304&amp;postID=6443207639431996936' title='0 Comments'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/4358023851694157304/posts/default/6443207639431996936'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/4358023851694157304/posts/default/6443207639431996936'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://randomcage.blogspot.com/2011/09/harold-james-and-matteo-albanese.html' title='Harold James and Matteo Albanese 「さよなら&quot;グローバリゼーション&quot;」'/><author><name>soulcage</name><uri>http://www.blogger.com/profile/09004893170655174551</uri><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-4358023851694157304.post-813554570122281827</id><published>2011-08-30T08:39:00.000+09:00</published><updated>2011-08-30T18:12:24.116+09:00</updated><title type='text'>骨盤の対称性の問題、僕が行きついた答え。</title><content type='html'>    &lt;p&gt;cyclingnews.com のfittness コーナーでもう10年くらい相談をうけている、スティーブさん(Steve Hogg )が2006年に書いた記事、「The problem of pelvic symmetry - an answer at last!」の翻訳。原文はググってね。&lt;/p&gt;&lt;p&gt;2011年8月30日18:06 追記: スティーブさん、今年からブログをはじめたらしい。→ http://www.stevehoggbikefitting.com/&lt;br /&gt;
&lt;/p&gt;&lt;p&gt;【使用上の注意 その1】 ネタになっているFSAのK-force、&lt;b&gt;代がわりしてしまって、ヤグラは"Delta Head"から"Minimal Top Clamp"にかわってるので、2011年版のポストにはそのまま適用できない(はず)。&lt;/b&gt;でもアイディアは使える。僕が実際やってみたころ(2006年ころ) はたしかに下の文章のようだったんだけど、残念。&lt;/p&gt;&lt;p&gt;【使用上の注意 その2】 肝心の"&lt;b&gt;あなたの場合サドルを左右どちらにずらすべきか、またそれをどうやって判断するかについては書かれていない"&lt;/b&gt;。前出の fittness コーナーの過去ログを読むと、"体のねじれや使いかたのクセ"と"乗車姿勢やパフォーマンス"の関係は人によってさまざま。過去ログをあさればヒントはあるものの、くれぐれも試す際にはオーバーなくらい少しずつやるのが吉。もちろんミリ単位で。自分の体がどうねじれているのか、それはなんでなのか、骨のせい(長さとか)なのか筋肉のアンバランスのせいなのかをよく知るのも大事。"leg length discrepancy" でググって頂戴。(ちなみに僕の場合、パフォーマンスはあがったけど日常生活に支障がでました。体がすごくねじれてるようです...orz) &lt;/p&gt;&lt;hr/&gt;&lt;p&gt;2006年4月24日&lt;/p&gt;&lt;h3&gt;はじめに&lt;/h3&gt;&lt;p&gt;ほぼすべての人は自分の体が左右対称だと思っているんじゃないだろうか。でもこれはありがちな間違い。たしかに鏡をみれば、僕らの目はふたつだし、耳も鼻の穴もふたつ、腕も脚も2本ある。しかし、よくみると体が左右対称だというのは思いこみだ。片方の手はもう片方より大きいだろうし足の大きさも左右で違うだろう。目も左右どちらかをよく使うクセがあるだろうし、手足には利き手・利き足があって不器用なほうがある。さらによ～く見ると、左右どちらかの肩が高くなっているかもしれないし、骨盤の高さも左右で違うかもしれない。足のアーチの形や回内・回外の程度が違っていて、それが他のものの原因になっていることもある。手足の長さが両方でおなじという意味なら、僕らはだいだいは左右対称だけれど (これも多くの人にはあてはまらないけどね...)、機能面では左右でさまざまにことなるっていうのが実際のところだ。&lt;/p&gt;&lt;p&gt;乗車姿勢という点にかぎっていえば自転車は左右対称な乗りものだ。サドルはフレームの中心線上にあって、クランクは左右おなじ長さでハンドルからおなじくらい離れている。つまり、機能的に左右非対称な僕らが自転車に乗るってことは、僕らが自転車という左右対称なモノに常に "あわない" 状態でいるってこと。その "あわなさ" の程度は大きかったり小さかったりするだろうけれどね。したがって、乗車姿勢の調整 (&lt;a href="#note_1"&gt;訳注1&lt;/a&gt;) の大きな役割のひとつは、乗り手をできるかぎり機能的に左右対称に近づけてやって、その "あわなさ" のクセや傾向を小さくしてやることなんだ。&lt;/p&gt;&lt;p&gt;僕は自転車に長くかかわってきたし、なん千というたくさんのお客さんもみてきた。そのおかげで、腕や脚の長さがいかに違っていようと、腰や膝や"くるぶし"が左と右でいかにちがった風に機能していようと、つねにその影響を最小限にする手だてがあることがわかった。体ができるかぎり左右対称に機能し、左右バランスよくコントロールできるよう乗車姿勢を調整するにはどうすればよいのかも学んだ。ひとつの例外をのぞけばだけどね!&lt;/p&gt;&lt;h3&gt;問題&lt;/h3&gt;&lt;p&gt;その例外っていうのは、腰が機能面で左右非対称になってしまっている場合。自転車にのっているときには、程度の差はあれ誰もが体の片一方を使いたがるものだ。すると、ペダルを踏みこむときに骨盤の片側 (&lt;a href="#note_2"&gt;訳注2&lt;/a&gt;) が感覚的にわかるくらい下がったり、前に回転したりする。ほんとうはダウンストローク以外の時もそうなっているんだけど、その程度は感じられないくらいだったり、それに近い状態だったりするんだろうと思う。&lt;/p&gt;&lt;p&gt;理想的な乗車姿勢では骨盤がその土台になる。骨盤の底の部分 ("ischial tuberosities"、坐骨) に体重の大部分がかかっているのが理想、代謝的にそれが一番だから。自転車にのっているときの胴体ってのは、&lt;br /&gt;
横からみると骨盤のところで一方だけ固定された梁のようになっている。両脚はその骨盤からぶらさがっているかたちだ。骨盤が傾いていたり左右どちらかにねじれていたりすると、左右の脚がことなる平面上をうごくことになって、骨盤からペダルまでの距離が左右でかわってくる。結果的に背骨が片ほうにまがってしまい、ハンドルバーまでのリーチが左右で異なってしまうことになる。たとえ腕や脚の長さがおんなじでもおきてしまうのがこの問題のこまったところだ。&lt;/p&gt;&lt;p&gt;体が機能的に左右が非対称になってても、僕らはみんな、自転車のうえでは自分が左右対称に機能しているもんだと思ってしまう。頭のなかで描いているイメージは左右対称だけれど、現実にはそうじゃないことが多い。たくさんの人がここからくる影響をいろいろなかたちで感じている。いくつかリストアップしてみよう。&lt;/p&gt;&lt;ul style="list-style-type: lower-alpha"&gt;&lt;li&gt;"力のつよい脚" と "力のよわい脚" がある。&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;片ほうの手により大きな体重がかかっていたり、片手だけしびれやすかったりする。&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;左右どちらかの坐骨により体重がかかっている。&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;片ほうの肩が痛んだり凝ったりする。おなじ症状が首のわきや背中の上のほうにある。&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;腰の痛みが片ほうでひどい。&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;ペダリングすると、片ほうの足が内側をむき逆の足は外にむく。&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;ペダリングしているときに、片ほうの膝が逆とくらべてかなりトップ・チューブからはなれる。&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;ビブショーツ (や自転車用のパンツ) やサドルの脇が片ほうだけすり切れる。&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;サドルと肌の擦れが片ほうでだけおきたり、片ほうでだけひどかったりする。&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;片ほうの膝はまっすぐ上下するのに、もう片ほうの膝は横にぶれる。&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;上記の組みあわせ。&lt;/li&gt;
&lt;/ul&gt;&lt;p&gt;ここに挙げた症状があれば、骨盤が非対称に機能している影響だと思ってよい。こういうことがおきるのは他の要素も影響しているのがふつうだし、機能的なものではなく実際に骨の長さが違ったりするようなこともあったりする。たとえば右と左で脚の長さがちがうとかいうのがすぐ思いつく例だ。腕や脚の長さが左右で違うばあい、骨盤に機能的な非対称性がみられるのは大なり小なりほぼ確実といっていい。&lt;/p&gt;&lt;p&gt;上のリストにあてはまるかどうかはっきりしなければ、次のようなテストをしてみるとよい。まず自転車をローラー台 (後輪を固定するやつなんていうんだっけ?) みたいな室内トレーニング機器に固定する。この際、自転車が水平になるように注意。念入りにウォームアップする。上半身裸になって、あまり負荷を大きくせず楽にやること。そうしておいて、だれかを椅子のうえに立たせて後ろから自分を見てもらう。ハンドルのドロップやエアロバーを持ってペダリングして、ダウンストロークのときの体の動きに注意してもらうこと。ダウンストロークのとき、体の片ほうが落ちるような動きをしていないか、もしくは体の片側が前にでるような動きをしていないか。それでわかる。&lt;/p&gt;&lt;h3&gt;どうして骨盤が左右非対称に機能するなんてことになるのか?&lt;/h3&gt;&lt;p&gt;左右の脚の長さの違い、左右の体のかたさの違い、長いあいだ片ほうをつかうような悪い姿勢のクセなんかがこの原因としていちばん多い。脳みその機能も影響することがある。僕はお客さんの相談をうけていてこのことを偶然発見した。左右の柔軟性はおなじで、自転車にのらなければ機能的にも左右のバランスがとれているのに、なぜか自転車のうえでは左右のバランスが目にみえて悪くなってしまう人たちにときどき出会ったからだ。彼らはべつにサドルにきちんと座れてないとか (&lt;a href="#note_3"&gt;訳注3&lt;/a&gt;)、片ほうの腰によりかかるように座っている (&lt;a href="#note_4"&gt;訳注4&lt;/a&gt;) とかいうわけじゃなかった。 (これについては逆のこともいえる。体の固さが左右でちがったり体がねじれていたりする人たちはかなりいる。けれど、そういう人でもいったん自転車のってしまうと、自転車にのっていないときよりずっとうまく左右対称に体が機能していたりするんだ。) &lt;/p&gt;&lt;p&gt;僕の説だとこれは次のようなものだ。現代社会は分析的でよく整理された思考のように左脳をつかう思考に価値をおいている。左脳は体の右側をコントロールしていて自転車にのることは左脳的な活動だ。つまり、多くの人にとって脳みその左側からくる信号は右脳のものよりよりつよく、はっきりしたものになる。僕がこう結論したのは、骨盤の機能が左右でアンバランスな自転車乗りのおよそ 95% が、腰の右側が下がったり前に回転したりする右側にたよる人たちだということにきづいたからだ。これは手脚の右利きとはなんの関係もない。自転車のうえで機能的に骨盤が非対称になってしまう人で左利きの人手でも、ペダリングのときに腰の右側が落ちたり前に回転したりする人の割合はおなじように 95% だってことがわかったからだ。&lt;/p&gt;&lt;p&gt;左側にたよりがちな自転車乗りはめずらしくはないけれど、その数は一般的というにはほどとおい。&lt;/p&gt;&lt;p&gt;ほとんどの人にとって、解決策はストレッチをしたり姿勢をよいバランスにもどす体操をすることだ。それより少ないとはいうものの、ふつうの状態では状況がぜんぜん改善しないし、自転車のうえではさらにひどくなってしまう人たちはまだまだ多い。僕のこの文章はそういう人むけだ。おなじく、体をより柔らかくしたり体幹を鍛えたり姿勢をよくしようと懸命に運動をしている人たちにも。そういう努力をしつつ、でも同時に左右対称に乗れるようになる必要のある人、少なくとも現状よりは乗車姿勢を左右対称に近づけておかなきゃならない人たちもこの文章の対象だ。&lt;/p&gt;&lt;h3&gt;解決策&lt;/h3&gt;&lt;p&gt;お客さんたちの骨盤が左右対称に機能するよう、これまで僕はいろいろな方法をつかってきた。けれど、うまくいき具合はそのときどきだった。サドルの先端の向きをフレームの中心線からはずしてみたり、サドルの片ほうの後ろにパッドを貼りつけてかさあげしてみたり、サドルの下にあるレールを片ほうがさがるようにまげてみたりもした。他にもたくさんあるけど、それらはいろいろな人たちにさまざまな程度でうまくいった。でも、お客さんがトレーニングの強度を急にあげたり量をふやしたりすると、いつもなんらかの程度でうまくいかなくなるのが常だった。問題なのは、彼らの中にはいつも左右どちらかをつい使ってしまうクセが潜んでいて、コンディションがきつくなるとそれが出てきてしまうってとこだ。&lt;/p&gt;&lt;p&gt;このまえデザインの線で考えていて、ヤグラを横に動かせるシートポストをつくってみた。サドルの先端をまっすぐ前をむかせたまま、サドルをフレームの中心線から横にずらすことができるシートポストだ。こいつをつかうと、体の重心が片ほうによってしまうクセがあっても腰をフレームの中心線に近づけてあげられる。で、より左右のバランスよく機能させたりペダリングしたりできるようになる。でも僕はこれはボツにした。3つのバージョンのシートポストを用意しなくちゃならなくて高くつくから。ひとつめのポストはまったく前後にずれてないもの。ふたつめはシマノやカンパニョーロみたいに標準的なオフセットのやつ(こいつらは横からみるとヤグラのさきっちょがシートポストの中心線にかさなる)。3つめは標準より前後のオフセットが大きいやつ。こんな風に準備するのは自転車とお客さんの組みあわせがどんなふうでも対応できるようにするためだ。こうしておけば、お客さんがきたときに僕がこれだと思うサドルをつかって、前後のオフセットと横のオフセットを試せるっていうアイディアだったわけなんだけどね...&lt;/p&gt;&lt;p&gt;FSA (&lt;a href="#note_5"&gt;訳注5&lt;/a&gt;) にはやられたよ...まったく。FSAのK-ForceシリーズでヤグラがData Headのポストは、15秒くらいの加工で横に12mmぶん動かせるようになるんだ。これなら、サドルの先端をまっすぐ前をむかせたままサドルを左右にオフセットさせられる。K-Forceシリーズのポストはいわゆる2本締めで、セットバックなし・標準セットバック・セットバック多めのタイプがある。ヤグラは横にたおしたアルミの筒を上下ふたつに割ったかたちだ。で、レールを噛んだ筒を上下から金具ではさみ、さらにこの金具を前後両はじにある2本のネジでしめつけて固定している。上半分の筒の表面にはフレームの中心線からずれないよう、"でっぱり"がふたつつけられている。この"でっぱり"をヤスリで削りおとしてやると(とっても簡単、作業は楽勝。)、ヤグラ自体を左右にうごかせるようになるってわけ。&lt;/p&gt;&lt;p&gt;たくさんの"悩める子羊たち"にこの改造をためしてみた。いちばんうまくいったケースでは、サドルをフレームの中心線からずらしたまま、乗り手をまっすぐ左右バランスよくすることができた。うまくいかなかったケースでも、骨盤を左右対称にしてやるという目標にはずっと近づけることができた。完璧ではないものの、こういう風に工夫すること直接間接になんらかのメリットをつくりだすことができたんだ。&lt;/p&gt;&lt;p&gt;このやり方をつかって適切に乗車姿勢をきめてやれば、パフォーマンス上も乗りやすさの点でも、多くの人がかかえるケガ由来の変なクセにも、なんらかのプラスになるだろう。ポジション調整に関しては、僕にとってこれがパズルの最後のピースになった。&lt;/p&gt;&lt;p&gt;じゃ、君たちの幸運を心からいのってるよ。&lt;/p&gt;&lt;br /&gt;
&lt;blockquote style="background-color:gainsboro; font-size:99%; border-style:solid; border-width:1px 0px 1px 0px; margin:10px;padding:2px 10px"&gt;&lt;p&gt;&lt;a id="note_1"&gt;訳注 1&lt;/a&gt;: positioning、各パーツの位置決め。&lt;/p&gt;&lt;p&gt;&lt;a id="note_2"&gt;訳注 2&lt;/a&gt;: 原文は affected side なので、ついつい使ってしまう側ではないかもしれない。たとえば"腰のねじれの影響がでやすい側"とか。はっきりしない。&lt;/p&gt;&lt;p&gt;&lt;a id="note_3"&gt;訳注 3&lt;/a&gt;: sit square、進行方向にむかって腰が左右対称になるよう座れていること。記憶ちがいでなければ映画『OVERCOMING』で、かのイェンス・フォイクト兄貴なんかも、マッサーに「あいつはスクェアにすわってないから腰が痛くなるんだよ、まったく。」とか言われてたはず。)&lt;/p&gt;&lt;p&gt;&lt;a id="note_4"&gt;訳注 4&lt;/a&gt;: hanging one side。&lt;/p&gt;&lt;p&gt;&lt;a id="note_5"&gt;訳注 5&lt;/a&gt;: Full Speed Ahead。バーツメーカーね。&lt;/p&gt;&lt;/blockquote&gt;&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/4358023851694157304-813554570122281827?l=randomcage.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://randomcage.blogspot.com/feeds/813554570122281827/comments/default' title='Post Comments'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=4358023851694157304&amp;postID=813554570122281827' title='0 Comments'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/4358023851694157304/posts/default/813554570122281827'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/4358023851694157304/posts/default/813554570122281827'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://randomcage.blogspot.com/2011/08/blog-post.html' title='骨盤の対称性の問題、僕が行きついた答え。'/><author><name>soulcage</name><uri>http://www.blogger.com/profile/09004893170655174551</uri><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-4358023851694157304.post-4123524983338798765</id><published>2010-09-19T16:28:00.002+09:00</published><updated>2010-09-19T17:41:30.667+09:00</updated><title type='text'>「あほー、需要なんだってば。」 by Paul Krugman from NT</title><content type='html'>&lt;p&gt;現場に出ていて読めなかった RSS をさかのぼる途中、himaginary さんの記事&lt;a href="http://d.hatena.ne.jp/himaginary/20100918/whats_holding_back_small_businesses"&gt;「中小企業にとって何が問題か？」&lt;/a&gt;にいきあたりました。彼の記事にあったポールくんのブログを読むために翻訳。原文は&lt;a href="http://krugman.blogs.nytimes.com/2010/09/15/its-demand-stupid/"&gt;「It's Demand, Stupid」&lt;/a&gt;。つか 『himaginary の日記』 読んでね。そのほうが広がりがでるので。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;脈絡ないけど、2000年代初頭、僕がインドネシアで "開発協力って何じゃらほい" のまま挫折し、そのあと日本の田舎に引きこもっていた頃、田舎で "いちご掲示板" のみなさんや田中さん、山形さんに励まされ、なんとかここまで生きてきました。そういうのを思いだしました。訳しててだんだん頭に来たのが正直なところ。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;では、毎日楽しくくらしましょう。 Goooood Day!! &lt;/p&gt;
   &lt;hr/&gt;

    &lt;p&gt;September 15, 2010, 3:36 pm&lt;/p&gt;

    &lt;h2&gt;あほー、需要なんだってば。&lt;/h2&gt;
    &lt;p&gt;これ前にも言ったよね。&lt;a href="http://economix.blogs.nytimes.com/2010/09/14/whats-holding-back-small-businesses/"&gt;キャサリン・ランペル&lt;/a&gt;がつくったとてもよい図があって、要点がわかりやすい。 もし君が (ロビイストではなく...) ビジネスを云々したいなら、政府による介入とか、政治がこの先どうなるかなんてことをいつものように探ってもなんのヒントも得られない。ビジネスっていうのは売れなきゃ人を雇わないんだって。以上、ピリオド。終わり。&lt;/p&gt;

    &lt;blockquote&gt;
    &lt;p&gt; (キャプション: 中小企業が "もっとも重要な要素だと思っていること↓ (訳注: from &lt;a href="http://economix.blogs.nytimes.com/2010/09/14/whats-holding-back-small-businesses/"&gt;What’s Holding Back Small Businesses? by CATHERINE RAMPELL&lt;/a&gt;) " &lt;img src="http://graphics8.nytimes.com/images/2010/09/14/business/economy/economix-14smallbizprob/economix-14smallbizprob-custom2.jpg" alt="ナイスな図!!"/&gt;&lt;/p&gt;
    &lt;/blockquote&gt;

    &lt;p&gt;で、ビジネスのために政府ができて、一番よくて、彼らにできそうなこと。それはもっと政府がお金を出すこと、そして世の中の需要を増やしてやることだ。 (訳注: アメリカでは...かな) 現実的にはそんなことはおきない感じだけど、僕がここで言ったことが単純な (訳注: 学問上の) 真実なのは動かせないわな。&lt;/p&gt;&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/4358023851694157304-4123524983338798765?l=randomcage.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://randomcage.blogspot.com/feeds/4123524983338798765/comments/default' title='Post Comments'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=4358023851694157304&amp;postID=4123524983338798765' title='0 Comments'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/4358023851694157304/posts/default/4123524983338798765'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/4358023851694157304/posts/default/4123524983338798765'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://randomcage.blogspot.com/2010/09/by-paul-krugman-from-nt.html' title='「あほー、需要なんだってば。」 by Paul Krugman from NT'/><author><name>soulcage</name><uri>http://www.blogger.com/profile/09004893170655174551</uri><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-4358023851694157304.post-3311130979104896012</id><published>2010-09-11T22:44:00.001+09:00</published><updated>2010-09-11T22:58:59.036+09:00</updated><title type='text'>「さらに膝とペダル軸との位置関係について。+ ペダリング技術 vs ポジション」</title><content type='html'>&lt;p&gt;ロードレーサーに乗りはじめたとき、困ってしまうのがポジションの問題。ペダルに固定される足の位置や向き、シートの高さや前後の位置、ハンドルの高さ遠さなどなど。文中に出てくる KOPS は "Knee Over the Pedal Spindle" の略称。どの本でも雑誌にもでてくるアレ。&lt;/p&gt;
    &lt;p&gt;自転車乗りなら知っている cyclingnews.com には 「Fitness questions and answers」 というコーナーがあります。その August 23, 2004 版から抜粋。原文は&lt;a href="http://autobus.cyclingnews.com/fitness/?id=2004/letters08-23#Lots"&gt;ここ&lt;/a&gt;。金がなくて自転車ばかり乗っていた頃、毎回楽しみにしていました。いくつかは自分のために訳したり。下のやつでは読者とスティーブさんのやりとりが印象的です。ふとひっぱりだして掲載。あと、文中の強調は訳者によるものです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;ではみなさん、楽しい自転車生活を!!&lt;/p&gt;
    &lt;p&gt;スティーブさんはオーストラリアでお店をもってますよ。&lt;a href="http://www.cyclefitcentre.com/"&gt;Cyclefitcentre.com&lt;/a&gt; 参照。&lt;/p&gt;

    &lt;hr/&gt;

    &lt;h3&gt;&lt;a id="Lots"&gt;&lt;/a&gt;膝とペダル軸の位置関係とポジションの問題について。&lt;/h3&gt;

    &lt;p&gt;KOPS とその有効性についての議論を楽しんでいます。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;KOPS セッティングは前すぎのように感じて、最近ポジションをいじりはじめました。少し調整するごとに数日乗ってみて、KOPS の理想値より数センチ後ろのポジションで気持ちよくリラックスして乗れるのを発見しました。どこもしびれませんし腕や肩もまったく疲れません。エアロポジションにも支障ありません。膝にもまったく問題ありませんし、手放しテスト (訳注: スティーブさんがポジション決めの際に参考にするテスト) だってパスできます。つまりどんぴしゃってわけです。膝がペダル軸の後ろに来すぎているんじゃないかという心配をのぞけば... 2 センチ以上も後ろなんです。シマノのペダルで固定クリート (訳注: 赤いやつね) を使ってます。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;色々いじってみて一つ気づいたのは、お気に入りのサドルのかなり後ろに腰かけるのが好きだということです。というわけで、やり過ぎを心配してます。サドルの後方によい位置を見つけましたが、以前にも座りやすい位置を見つけようとサドルを引いたことがあったのに思いあたりました。よい結果を求めてやり過ぎてしまったのです。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;(膝が) ペダル軸のどれくらい後ろだと後ろ過ぎになるのでしょうか?&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;もっと実際的には、警告ベルが鳴り止むとすればそれはどれくらい後ろの時になるのでしょう。サドルの前後調整についてアドバイスするのは、調整後にサドルの同じ位置に座っているかどうかをなかなか判断できないのでかなり難しいです。なので、もうひとつ別の質問をしておこうと思います。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;サドルやその前後についてどうアドバイスしていますか?&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;乗り手は自然にもっとも快適なサドル位置に落ちついていくのものなのでしょうか。それとも、たとえ見かけは変でも、僕ら乗り手が動いておちついたところが最適な位置なのでしょうか?&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;Dean Georgaris&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;&lt;a href="#Steve"&gt;Steve Hogg&lt;/a&gt; replies:&lt;/p&gt;

    &lt;blockquote&gt;
      &lt;p&gt;ポジション調整で、きみが発見したよい点は僕が常々言ってきたことと同じだけれど、はまりやすい所がいくつかあるんだ。&lt;/p&gt;

      &lt;p&gt;1. ほとんどの人は、上半身にかかる力をある程度取りのぞいてやると、遠いハンドルに手が届きやすくなる。これは数ミリから数センチだろうね。ふつうは同時にハンドル位置も再調整する必要があって、通常は微妙に高くなりステムも変えねばならないかもしれない。&lt;/p&gt;

      &lt;p&gt;2. ペダル軸からどれくらい後ろに膝があるべきか。これについて確固たる数字はないんだ。僕は数年前に自分の経験を信じるようになってから、この部分を測るのをやめてしまった。これが個人的な値だということしか言えなかったんだ。この値はペダリングしてない時の関係を測っていることに気をつけて。でも実際には僕らはペダリングするわけだ。昔僕がこれを測っていた頃、その幅は 5 ～ 50 ミリで多かったのは 10 ～ 25 ミリ。でもこれは 5 年ちょっと前で、それ以降、僕の考えややりかたは進化し改善されてるってことも覚えておいてね。&lt;/p&gt;

      &lt;p&gt;3. きみが後ろすぎだとすると、明らかになることがふたつある。シッティングのペダリングからスプリントでのダンシングへの移行がぎこちなくなり、時間がかかるようになること。もう一つは、ハムストリングスのふくらみが厳しい登坂でかなり痛んだり、制限要因になりやすいということだ。&lt;/p&gt;

      &lt;p&gt;4. きみが書いていることは問題ないみたいなので、心配しなくていい。ただの数字だよ。ひとつ話をしてあげよう。レースの最中、僕にいつもポジションのアドバイスを求めてくる奴がいた。僕はその度「ひどいね、シートチューブが立ちすぎだよ」と言っていた。彼とは数年会わなかった (僕には家族ができていたし) んだが、ある時、Trek OCLV のシートチューブ角が 72 度の一番でかいサイズのフレームを買ったんだって連絡をもらった。すごい。なんて違いだ。彼を見て、やっぱり僕は正しかったと思った。ポジションがよくなったのは自分でもはっきりわかってたけれど、彼はそれでも僕の意見を聞きたかったってわけ。で、TIME のシートポスト (もう売ってない) でさらにサドルを 30mm 引いてあげたら、彼は力を出しやすくてスムーズだって有頂天。今なら、お金を預けてもらって、カスタムフレームを使うところだけれど。シートチューブ角は 69.5 度が効果的だ (彼は普通の人じゃなかった!) って言ったときの "そんなの乗れない!" っていう反応が笑えた。彼は丘陵地帯に住んでいたんで、ポジションの善し悪しはすぐわかるだろう。これで試しに乗ってみてよって言ってさよならした。4 週間以内に、お金を払うか気に入らないからシートポストを返すか電話で話しあうことにしておいた。後の電話で、前よりどれくらいうまく乗れるようになったか、今のシートチューブ角がぴったりなのでフレームを新しく買う気はないことを話してくれた。そう、これは&lt;b&gt;ただの数字だ。&lt;/b&gt;&lt;/p&gt;

      &lt;p&gt;5. この話はみんながみんな、サドルをぎりぎり後ろに引けってことじゃ&lt;b&gt;ない&lt;/b&gt;。この経験が僕に何か教えてくれたとすれば、それは、ポジションについては&lt;b&gt;その人にあわせた&lt;/b&gt;答えしかないってこと。そして、包括的なやり方ってのは本質的に無効なんだってことだった。&lt;/p&gt;

      &lt;p&gt;6. 梃の力が増したように感じるけれど、速く回せなくなるっていうのは後ろすぎだ。正しくやれば、梃の力が増したように感じるのは、強くなったわけじゃなく、広い範囲でクランクに力をかけられるようになったからだ。だから回転もよりスムースになるはず。&lt;/p&gt;

      &lt;p&gt;きみが言っていることから判断すると、別に心配するようなことはないと思う。そうじゃないって言う時はまた連絡をください。&lt;/p&gt;
    &lt;/blockquote&gt;

      &lt;p&gt;[Dean then responded:]&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;特定の人にぴったりのサドルを見つけるのがどんなに難しいかよくわかりました。例えば、先日の新しいポジションだと、ペダルを "踏んで" (訳注: hammering) いなくとも、サドルの前にずれれば好きな時に使う筋肉を変えられます。けれども、これにはサドルが制限要素になってしまうのです。サドルの曲がりがきつすぎて腰をずらし難くなっているのでしょう。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;厳しい坂を登ってみて、以前とは違って両脚の前後を均等に使えていることがわかりました。前は大腿四頭筋をより使っていたのとは対照的です。ほとんどの間、ケイデンスは 95 回転なので、大腿四頭筋には問題ありません。腰を引いたポジションにするとたぶんケイデンスが少し減るでしょうけれど、僕の場合は脚の梃の長さが長くなったからですよね?&lt;/p&gt;
    
    &lt;p&gt;そのうち、ポジション調整後の数百キロで感じたことを書きこむつもりです。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;&lt;a href="#Steve"&gt;Steve Hogg&lt;/a&gt; replies:&lt;/p&gt;

    &lt;blockquote&gt;
      &lt;p&gt;我々が選ぶ機材で、人によって一番異なるのはサドルなんだ。坐骨のまんなかに体重をかけるべきなんだけれど、市場に出まわってるサドルのほとんどは、サドルの先端を 1 ～ 2 度上向きにしないとこれが実現できない。サドルが気になるくらいたわむなら、買い替えの時期だね。軽量サドルは長く使うと断面がハンモックのようになって、いつまでもゆらゆら腰が安定しなくなってしまう。このサドルだけってわけじゃないんだけれど、有名な Selle Italia のフライトシリーズではこの傾向が顕著。僕の場合、お客さんがフライトを使ってるエリートライダーだったら、新品のうちに上にまっすぐなものを乗せて、サドルのへこみ度合を測っておく。ふつうは 3 ～ 4mm だ。うちの店ではこれが 2mm 以上沈んだら取り換えてる。&lt;/p&gt;

      &lt;p&gt;ふたつめの話は意味がよくわからない。脚の長さやその部分部分の長さが、大人になってから変わるものかどうかわからないし。サドルの後ろに座れば、クランクが描く円のより広い角度で力を加えられるようになる。これは上下の "死点" の影響を教えてくれるものだってこと。上死点付近ではいくぶん早く、下死点付近でもいくらか早く引けるようになる。こうすることで "力が入る" 部分への移行がスムーズになり、力の大きさの変化も少なくなるっていうわけだ。試しに度を越えて後ろに座ってみよう。すると脚の動きを一番うまくコントロールできる位置から外れてしまうのがわかるはず。さらに、きつい坂では重力との関係が変わって、機能的に意味あるシートチューブ角が小さくなる。ペダルを前で引っかいているように感じるのは、脚が下死点に届きにくくなり、力をかけてコントロールするのが難しくなるからだ。&lt;/p&gt;

      &lt;p&gt;きみが言ってる膝から上の筋肉を "きっかり均等に" 使っている感じは、ぼくらみんなの努力目標にすべきだね。大腿四頭筋のふくらみにぐっと力が入るのをいつも感じるようなら、サドルが前すぎなのはほとんど確実だよ。&lt;/p&gt;
    &lt;/blockquote&gt;

    &lt;h3&gt;&lt;a id="Technique"&gt;&lt;/a&gt;ペダリング技術 vs ポジション&lt;/h3&gt;
    &lt;blockquote&gt;
      &lt;p&gt;[Following on from the above discussion, Dean then asked:]&lt;/p&gt;
    &lt;/blockquote&gt;

    &lt;p&gt;最後にやっかいな質問を。技術についてはどうでしょう?&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;オリンピックの水泳選手をみればひとかきひとかきが適切な技術をともなっているのは明らかです。同じ技術は初心者も教えられます。テニスのストロークやゴルフのスイングなど、ほとんどのスポーツでこれは同じでしょう。違いはあるでしょうが、多くは理想的なスイングのように議論されます。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;これと同じことがペダルストロークについてなされることがあまりないのは何故なのでしょうか? ランスがペダリングしているのを見て、真似したくなりませんか? 僕は筋力がそれぞれの人で違うのを知っています。でも他のスポーツでは、たとえ初心者レベルでも、適切な技術を探しつづけています。心拍数についてよく耳にするのに、ペダルストロークについてはほとんど耳にしないのは何故なのでしょう? 適切なペダルストローク (があるとして) を実現できれば、驚くような改善が見られるのではないでしょうか。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;ポジションについてのあなたの考えは上記のようなことを目標にしているのでしょうか。技術に応じてポジションを調整すべきですか? かわりに技術を完璧に近づけるべきではないでしょうか?&lt;/p&gt;
    &lt;p&gt;Dean Georgaris&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;&lt;a href="#Steve"&gt;Steve Hogg&lt;/a&gt; replies:&lt;/p&gt;
    &lt;blockquote&gt;

      &lt;p&gt;すばらしい質問だ。まず、僕は水泳の技術的なことは知らないも同然なんだが、友だちによると "正しい" 技術とされるものの中にも、個人的なスタイルがあるんだそうだ。なんで、きみの例えが適切かどうかははっきりしないということ。まぁしかし、言わんとすることはわかる。自転車界でペダリング技術について言われていることは、水泳のストローク技術で言われていることよりずっと幅広いみたいだ。&lt;/p&gt;

      &lt;p&gt;例えばフリースタイルで泳ぐにしても、体つきやその機能のしかたで、ひとつの "ポジション" -- 例えばうつ伏せになったときの水面に並行な度合とか -- には人それぞれ違いがあるよね。自転車に乗るにしても体つきやその機能のしかたは人によって違う。自転車の場合だと、この違いは機材選択のちがい、どこをどうポジション調整するかの違い -- サドルやクリート、ハンドルの位置、そしてこれらの相対的な位置関係 -- に直結するわけだ。このことはペダリングスタイルの違いが水泳のストロークの違いより幅広いことを説明してくれる。自転車の乗りがいじくりまわせる機材は水泳選手より多いってことだ。&lt;/p&gt;

      &lt;p&gt;じゃあテクニックが違うとどんな影響があるんだろうか? 自転車界でメジャーなスタイルは 3 つ。一番多いのはダウンストロークの上半分で踵を落とし、ダウンストロークの下半分のある時点で踵を持ち上げるタイプ。これを山田太郎くんタイプと呼ぼう。で両極端に、つま先下がりタイプと踵落しタイプ。ほとんどの人がどれかなんだけれど、これらのタイプの中でもテクニックには違いがあるってこと、これはお仕着せじゃないってことを誤解しないでほしい。で、他より効率がよいのはどれかっていうのが疑問点なわけだ。&lt;/p&gt;

      &lt;p&gt;そんなのない。理由は以下。人を (機材やポジション調整抜きに) ある特定のスタイルでペダリングさせようという試みは、レースと同じくらいの強度になった時に失敗するみたい。例えば、心拍数 90% 以上のつらいときなんかがそれ。こんな状況では一回一回のペダリングを考えることなんてできないんで、その人にあった自然なやり方に戻ってしまうってわけだ。そういうわけで、さっき括弧つきで示したように、その人にあったペダリング技術があると僕は思ってる。ペダリング改善したいならたくさん乗ること、そして乗ってないときにも姿勢を矯正しておくこと。自分に自然な動きをなめらかにできるようにするためだ。&lt;/p&gt;

      &lt;p&gt;ひとつ注意しておきたいのは、プロポーションが同じ人でもペダリングスタイルが違えば、サドルの前後位置や高さも違ってくるということ。極端に踵を落とすスタイルの人は、相応の力でペダリングすればペダリングのたびに自分を後ろに押していることになる。なわけで、そんなに後ろに座らなくても腰が安定する。静止状態で腰を安定させるっていうのは僕がいつも口をすっぱくしていっていることだよね。さらに、このタイプの人はサドルをより低くする必要がある。踵を落とすペダリングでは、サドル高が同じでも踵を落とさない人よりも脚を伸ばさねばならないというのがその理由。他はおんなし。踵を落とす人はつま先下がりの人より足を第二の梃として使う度合も強い。踵を落とすタイプの人を、僕は "小さなストロークでより大きな梃の力を得るタイプ" って呼んでる。&lt;/p&gt;

      &lt;p&gt;逆に、つま先下がりの人は、足を第二の梃として使う度合があまり大きくなくて、あきらかにサドル高が高くなる。技術のおかげで脚がより遠くに届くからだ。このタイプの人のサドルは、踵を落とすタイプの人にくらべてかなり後ろにくる。つま先下がりテクっていうのは、ペダル上の主なベクトルが後向きになってるってことだからだ。これは同時に体重が前にかかりやすいということでもある。したがって、静止状態で腰を安定させるためにはサドルより多く後ろにひいてやる必要がある。このタイプは "大きなストロークで小さな梃の力" と言ってもいいだろう。&lt;/p&gt;

      &lt;p&gt;しかーし、僕らの多くはこのふたつの両極端のあいだ、山田太郎くんタイプだ。男は (例外はたくさんあるけど) 踵を落としがちで、女は (これまた例外は多い) つま先でペダリングする傾向がある。&lt;/p&gt;

      &lt;p&gt;偉大なチャンピオンたちを見てみようか。メルクスは踵を落とすタイプで、イノーは山田太郎くんタイプ、アンクティルはつま先下がりになっている。彼らひとりひとりが史上最高の自転車乗りだ。なかでもアンクティルはたぶん二番手だけど、タイムトライアル選手としては史上最高だろう。三人が三人ともツールドフランスを 5 度優勝し、他のレースでも強かった。僕の記憶では、アンクティルは 14 年間に Grand Prix de Nations で 10 勝はしたと思う。この TT レースを 10 勝もすれば地球最強の自転車乗りの称号にふさわしいと思うでしょ?&lt;/p&gt;

      &lt;p&gt;きみが機材とポジションに満足なら、メルクスがある少年に尋ねられたときに答えたように、"たくさん乗れ" というのが、僕からみんなへのアドバイスだ。&lt;/p&gt;

      &lt;p&gt;自転車に乗ってひとつの動作を何百回、何千回、何万回とくり返せば、僕らの姿勢やポジションは鍛えられ、洗練されていくってことだよね。&lt;/p&gt;
&lt;/blockquote&gt;&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/4358023851694157304-3311130979104896012?l=randomcage.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://randomcage.blogspot.com/feeds/3311130979104896012/comments/default' title='Post Comments'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=4358023851694157304&amp;postID=3311130979104896012' title='0 Comments'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/4358023851694157304/posts/default/3311130979104896012'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/4358023851694157304/posts/default/3311130979104896012'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://randomcage.blogspot.com/2010/09/vs.html' title='「さらに膝とペダル軸との位置関係について。+ ペダリング技術 vs ポジション」'/><author><name>soulcage</name><uri>http://www.blogger.com/profile/09004893170655174551</uri><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-4358023851694157304.post-7804104857085761793</id><published>2010-09-05T11:52:00.001+09:00</published><updated>2010-09-05T11:56:33.123+09:00</updated><title type='text'>セントルイス連銀の記事から: 「インフレ予想について －Expected Inflation Near and Far」</title><content type='html'>&lt;p&gt;えーっと、『道草』でポールくんのディスインフレネタに出てきた "TIPS  (Tresury Inflation-Protected Tresury Securities) " の参考にするために訳していたもの。原文は&lt;a href="http://research.stlouisfed.org/publications/mt/20090901/mtpub.pdf"&gt;『Monetary Trends, Feb 2007. by Federal Reserve Bank of ST. Louis.』&lt;/a&gt; (PDF直リンク)。アメリカのセントルイス連銀の記事ですね。&lt;/p&gt;

&lt;hr /&gt;

&lt;h2&gt;インフレ予想について －Expected Inflation Near and Far&lt;/h2&gt;

&lt;p&gt;原油価格や非金融的現象の変動は、インフレーションの短期的な見とおしによるものとみなされることが多い。経済学者の多くがこの考えを受けいれているものの、長い期間ではインフレーションは金融政策で決まる。したがって、長い目でみた時のインフレ予想というものは、おもに金融政策当局が目標とするインフレを国民がどう考えるかを反映するものだということだ。言いかえると、金融政策当局があるインフレ目標にコミットしているとみなされれば、原油価格やその他の非金融的現象は国民の見方にはあまり影響がないのである。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;予想インフレ率を測定する際、研究者やアナリストはふつう調査や市況をみる。例えば、通常の財務省証券やインフレの影響を受けないよう調整された財務省証券 (TIPS) の同じ満期のものを選んで、そのイールドを比べるのだ。TIPS より通常の財務省証券のイールドが上昇していれば、市場の人々がその証券の満期までにインフレ率が上がると思っていることがわかる。[&lt;a href="http://draft.blogger.com/post-edit.g?blogID=4358023851694157304&amp;amp;postID=7804104857085761793#note_1"&gt;原注1&lt;/a&gt;]&lt;/p&gt;

&lt;br/&gt;

&lt;div class="separator" style="clear: both; text-align: center;"&gt;
&lt;a href="http://3.bp.blogspot.com/_ePTEmj1lj-k/TIMFFg1rFaI/AAAAAAAAAAw/t0DEM6UxcG8/s1600/TPIS_Fig5.PNG" imageanchor="1" style="margin-left: 1em; margin-right: 1em;"&gt;&lt;img border="0" src="http://3.bp.blogspot.com/_ePTEmj1lj-k/TIMFFg1rFaI/AAAAAAAAAAw/t0DEM6UxcG8/s1600/TPIS_Fig5.PNG" /&gt;&lt;/a&gt;&lt;/div&gt;
&lt;br /&gt;

&lt;p&gt;図は 5 年満期の TIPS のスプレッドの月毎の値を 2004 年 1月から 2006 年 11月にわたってプロットしたものだ。2004 年と 2005 年のスプレッドの変動は大きく、不安定な原油価格とカトリーナとリタというふたつのハリケーン後の経済的見とおしの不確実さがあらわれている。それ以降のスプレッドの変化もエネルギー価格の変動と連動している。例えば、2006 年後半にスプレッドの値が急落しているのは、74 ドル/バレルだった 7月の原油価格が 10 月には 60 ドル/バレル以下まで大幅に値を下げたのと同期しているのである。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;5 年満期の TIPS のスプレッドの値のような短期の予想インフレ率のものさしはエネルギー価格と緊密に連動しているが、より長期の予想インフレ率のものさしはエネルギー価格の変動の影響はあまり受けない。例をあげると、5-year &lt;i&gt;forward&lt;/i&gt; TIPS のスプレッド (5年先以降の5年間の予想インフレ率を反映する) をみると、その値は原油価格より今から 5 年先までをカバーする TIPS のスプレッドに連動している。[&lt;a href="http://draft.blogger.com/post-edit.g?blogID=4358023851694157304&amp;amp;postID=7804104857085761793#note_2"&gt;原注: 2&lt;/a&gt;] 図には 5-year &lt;i&gt;forward&lt;/i&gt; TIPS のスプレッドも示してあるが、その値は 2004 年以降 2.25 と 2.75 の間で、原油価格が下がった 2006 年後半でもそこそこ値を下げただけだ。フィラデルフィア連銀が発表する 「Survey of Professional Forcasters」 のように長期間の調査では、予想インフレ率はさらにずっと安定した値をしめしてきた。「Survey of Professional Forcasters」 による 10 年平均の CPI インフレ率の見とおしの中央値は 1999年以降、2.5% から上下 0.10% の幅におさまっているのだ。[&lt;a href="http://draft.blogger.com/post-edit.g?blogID=4358023851694157304&amp;amp;postID=7804104857085761793#note_3"&gt;原注: 3&lt;/a&gt;] &lt;/p&gt;

&lt;p&gt;長期にわたる予想インフレ率のほうがより安定しているのは、市場の人々が原油価格の変動の影響は一過的なものだと考えているのをしめしている。国民が連邦準備銀行はインフレ率の低維持にコミットしているとということをしっかり信じつづけていたのがはっきりわかる。万が一、長期間の予想インフレ率が急上昇するようなことがあっても、それは原油価格を反映したものではなく、連邦準備銀行がインフレをチェックして抑制するというコミットメントの信頼性が問題になっているのである。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;- David C. Wheelock&lt;/p&gt;

&lt;blockquote style="border-style: solid; border-width: 1px 0px; font-size: 80%; margin: 10px; padding: 2px 10px;"&gt;
&lt;p&gt;[&lt;a href="http://draft.blogger.com/post-edit.g?blogID=4358023851694157304&amp;amp;postID=7804104857085761793" id="note_1"&gt;1&lt;/a&gt;] An increase could also refrect an increase in inflation-risk premiums. For a discussion od the use of the TIPS yield spread as a measure of expected inflation, see Kevin L. Kliesen and Frank A. Schmid, "Monetary Policy Actions, Macroeconomic Data Releases, and Inflation Expectations," Federal Releases Bank of St. Louis Review, May/June 2004, 86(3), pp. 9-21.&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;[&lt;a href="http://draft.blogger.com/post-edit.g?blogID=4358023851694157304&amp;amp;postID=7804104857085761793" id="note_2"&gt;2&lt;/a&gt;] The 5-year forward TIPS spread is obtained by dividing the total inflation expected over the entire 10 years [(1 + 10 -Yr TIPS Spread)5] and then taking this ratio's 5th root (equivalent to raising it to the 0.2 power) to get the average annual rate.&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;[&lt;a href="http://draft.blogger.com/post-edit.g?blogID=4358023851694157304&amp;amp;postID=7804104857085761793" id="note_3"&gt;3&lt;/a&gt;] See www.philadelphiafed.org/econ/spf/index.html&lt;/p&gt;
&lt;/blockquote&gt;&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/4358023851694157304-7804104857085761793?l=randomcage.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://randomcage.blogspot.com/feeds/7804104857085761793/comments/default' title='Post Comments'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=4358023851694157304&amp;postID=7804104857085761793' title='0 Comments'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/4358023851694157304/posts/default/7804104857085761793'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/4358023851694157304/posts/default/7804104857085761793'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://randomcage.blogspot.com/2010/09/expected-inflation-near-and-far.html' title='セントルイス連銀の記事から: 「インフレ予想について －Expected Inflation Near and Far」'/><author><name>soulcage</name><uri>http://www.blogger.com/profile/09004893170655174551</uri><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><media:thumbnail xmlns:media='http://search.yahoo.com/mrss/' url='http://3.bp.blogspot.com/_ePTEmj1lj-k/TIMFFg1rFaI/AAAAAAAAAAw/t0DEM6UxcG8/s72-c/TPIS_Fig5.PNG' height='72' width='72'/><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-4358023851694157304.post-5353853897542433208</id><published>2010-09-05T11:13:00.000+09:00</published><updated>2010-09-05T11:13:02.542+09:00</updated><title type='text'></title><content type='html'>&lt;p&gt;まいど前置きが長くなりがちな tmpsoulcage です、こんにちは。イングランド銀行 (BoE) の金融政策委員会 (MPC) のポーゼンさんが 『The Economist』 に寄稿したものを翻訳しました。原文を紹介してくれた hicksian さんに感謝を。&lt;/p&gt;
    &lt;p&gt;MPC の人たちはけっこう頻繁に講演します。先日の Jackson Hole でも副総裁、チャールズ・ビーンさんが 「Monetary Policy after the Fall」 という題で講演していました。まぁ、65 頁もあるんですが、"まとめ" になっている部分もあるので興味のある方はどうぞ。&lt;/p&gt;
    &lt;p&gt;個人的なことだけれど、僕のささやかな労力と能力を『道草』をつくってくれた彼に捧げたい。&lt;/p&gt;

    &lt;hr/&gt;

    &lt;p&gt;2010年6月1日の質問:&lt;br/&gt;&lt;b&gt;「世界経済にとってより脅威なのは、インフレとデフレのどちらですか? また、政治家や官僚は構造改革と総需要対策、どちらに力を注ぐべきでしょうか?」&lt;/b&gt;&lt;br/&gt;への回答。&lt;/p&gt;
    
    &lt;p&gt;&lt;b&gt;アダム･ポーゼン&lt;/b&gt; (寄稿者、2010年6月2日 16:54)&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;大部分のマクロ経済学者はデフレが悪だとかたく信じています。われわれマクロ経済学者は、どうしてそう考えるべきか、理由のリストを作ることもできますよ。1930 年代のデフレーションの不気味な影はとても根づよく残っていますね。それは次の両方のことからきています。ひとつは、1930 年代のデフレが実際の暮らしむきをひどく悪化させたということ。もうひとつは、1930 年代以降、じわじわと悪化するようなデフレというものを私たちがほとんど経験していないということです。このようなデフレの一番最近の事例は日本のデフレなんですが、状況は困惑してしまうようなものになっています。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;日本でおきているデフレーションは、上のように私たちが怖がるほど破壊的ではないのかもしれません。とはいえ、かなり長続きしていますし、同時にずいぶん理解の難しい現象なのです。粘着性なのが日本のデフレでして、それは "10年間もいすわって、もっとひどくなるかと思えばそうでもなく、マイナス 1% で安定して" しまいました。それだけでなく、そのペースが速くなったり遅くなったりしましたし、目に見えるどころではない悪影響さえあったんです。標準的なマクロ経済モデルのどれを使っても、こんなデフレは簡単にはつくれないでしょう。それくらい理解するのが難しいということです。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;日本では、インフレーションの指標がどれも 1995 年あたりでマイナスになりました。その後も 1999 年にほんの短期間もちなおしはしたものの、少なくとも 2004 年まではマイナスのまんまです。2001 年から 2006 年には、日本銀行がお手製の "量的緩和政策" を実施していました。しかし名目値的にはほぼ効果がなかったように見えます。そうです、2000 年代初期の GDP ギャップがまだ吸収しきれていなかったんですね。ですけれど、その当のギャップがどれくらいなのか、それをまっとうに評価するのが難しい。私自身、日本の潜在成長率を見積もってやってみました。でも、経済回復期にもデフレが続くような状況で、GDP ギャップがどれくらいあるのかを評価するのは難しかったです。仮にそのギャップが物価の下落圧力を受けとめてしまうくらい大きかったなら、どうして 1990 年代にデフレはひどくなっていかなかったんでしょう? 実際には年率でほぼマイナス 1% のままだったので、うまく説明がつかないのです。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;デフレのコストについてももっと研究が必要です。私たちが日本のデフレを不気味に思ったのにはちゃんとした理由があると思います。でも、日本ではそのコストが私たちの予想より小さい感じがしますよね。デフレが経済成長の足をひっぱるのは間違いないし、いくら金利が低いといっても、政府が返さねばならない借金の利子分だってだんだん問題になります。日本の株安がつづいたのがデフレのせいなのは確かだし、そのせいで貯蓄に頼る人たちも消費しなくなりました。それでも日本は 2002 年から 2008 年にしっかりした回復をみせ、デフレの勢いはそれを妨げるほどひどくなかったんです。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;供給されたマネーが莫大だった [&lt;a href="#note_1"&gt;訳注1&lt;/a&gt;] のに、それにインパクトがなかったようなのも難問です。現代の経済研究者のおおまかな見解だと、量的緩和政策は国民に対する中央銀行のコミットメントをつうじてインフレや金融政策への予想にはたらきかけるもので、資産やその他の物価をじかに変えるということはまずありません。つまり、日本銀行のデフレ対策で大事だったのは、「インフレ率がプラスで推移するという確かな見とおしが得られるまで、日銀は低金利をつづける」という 2002 年の発表なんですね。けれども、こうした現象を間接的にではなく、はっきり説得力あるものとしてとらえるのは案外むずかしい [&lt;a href="#note_2"&gt;訳注2&lt;/a&gt;]。そうしたことを私たちはみな心にとめておかねばなりません。近ごろほかの国々の中央銀行によって実施されている非伝統的な (金融) 政策についても同じことが言えるのですから。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;2000 年代、日本の実質経済にはよかった頃もありました。そこには、他の主要市場ではなく、2003 年の
金融制度改革のおかげも幾らかはあったでしょう。その影響は広義のマネー [&lt;a href="#note_3"&gt;訳注3&lt;/a&gt;] の増加にあらわれてしかるべきだったのですけれど、そうなっていないのが現状です。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;そういうわけで、デフレがはじまったときに金融政策で何ができるか、私たちはもっと謙虚に考えねばなりません。とくに、金利がゼロあたりまで低くなり、従来とは違った政策 [&lt;a href="#note_4"&gt;訳注4&lt;/a&gt;] をとる時にはそうでしょう。日本は金融政策をつかって手っとりばやくデフレから逃れることができませんでした。かの国の物価 (今のイギリスでも実はそうなんですが) の動きは、実施された債券買いとりの規模からすると、マネタリストを信奉する人たちの多くが予想したであろう動きとはかなり違っていました。日本をみていると、金融引き締めの不安を払拭するために量的緩和をつかうのはまったく正しいことだったのがわかります。でも、量的緩和政策の結果どうなるかは予測できるものではありません。短期間でデフレを克服できるような大きい成果がえられるかどうかさえわからないんです。&lt;/p&gt;

    &lt;blockquote style="font-size:80%;border-style:solid; border-width:1px 0px 1px 0px; margin:10px;padding:2px 10px"&gt;
      &lt;p&gt;&lt;a id="note_1"&gt;訳注1: &lt;/a&gt;原文は "huge monetary creation"。&lt;/p&gt;
      &lt;p&gt;&lt;a id="note_2"&gt;訳注2: &lt;/a&gt;原文は "it is rather difficult to discern this effect in any convincing rather than suggestive manner." となっています。&lt;/p&gt;
      &lt;p&gt;&lt;a id="note_3"&gt;訳注3: &lt;/a&gt;"broad money"。 取引や決済に使われる通貨と貨幣だけでなく、財産としてのものも含まれる。&lt;/p&gt;
      &lt;p&gt;&lt;a id="note_4"&gt;訳注4: &lt;/a&gt;原文は "unconventional measures"。&lt;/p&gt;
    &lt;/blockquote&gt;&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/4358023851694157304-5353853897542433208?l=randomcage.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://randomcage.blogspot.com/feeds/5353853897542433208/comments/default' title='Post Comments'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=4358023851694157304&amp;postID=5353853897542433208' title='0 Comments'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/4358023851694157304/posts/default/5353853897542433208'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/4358023851694157304/posts/default/5353853897542433208'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://randomcage.blogspot.com/2010/09/tmpsoulcage-boe-mpc-economist-hicksian.html' title=''/><author><name>soulcage</name><uri>http://www.blogger.com/profile/09004893170655174551</uri><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-4358023851694157304.post-2998545914400693252</id><published>2010-04-17T17:30:00.002+09:00</published><updated>2010-04-17T17:33:34.091+09:00</updated><title type='text'>FT誌: 日本の議員たちがインフレーションターゲットを求めている。</title><content type='html'>&lt;p&gt;かえるくんごめん...浮気してしまいました。&lt;/p&gt;
    &lt;p&gt;しかし、日銀が何をしているかを追っていて、「高校生レベル」でわかりやすく解説してくれる人たちがほしいです。もしこの罠が長期で離れないなら、そして10年先を見すえるなら、必要だと思います。彼らのためにも。&lt;/p&gt;
    &lt;p&gt;コメントと助言をいただいた night_in_tunisia さんに感謝。&lt;/p&gt;
    &lt;p&gt;原文は FT誌の 「&lt;a href="http://m.ft.com/cms/s/bfe87a90-471a-11df-b253-00144feab49a.html"&gt;Japanese MP group to seek inflation target&lt;/a&gt;」。&lt;/p&gt;
   &lt;hr/&gt;
 
    &lt;p&gt;13 Apr 2010 12:00am&lt;/p&gt;
    
    &lt;h2&gt;日本の議員たちがインフレーションターゲットを求めている。[&lt;a href="#note_1"&gt;1&lt;/a&gt;] &lt;/h2&gt;
    &lt;p&gt;&lt;b&gt;By Mure Dickie in Tokyo&lt;/b&gt;&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;与党、民主党に属する 130 人ほどの国会議員が、日本銀行に対してイギリス式の明確なインフレーション・ターゲットを課す要求案の準備をすすめている。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;これは、最近になって民主党議員が結成した "デフレ脱却議員連盟"[&lt;a href="#note_2"&gt;2&lt;/a&gt;]  によるものだ。日本経済は物価の下落に苦しんでいるが、それに対する中央銀行の腰は重い。この動きによって、与党にひろまっている不満が浮き彫りになったといえよう。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;日本のメディアが伝えるところによると、彼らは火曜日の会見[&lt;a href="#note_3"&gt;3&lt;/a&gt;] で、インフレーション・ターゲットの実施を正式なものとして政策案に取りいれるよう訴えたとのことである。7月に予定されている参議院選挙は民主党にとって非常に重要なものとなりそうなので、デフレ脱却議員連盟は、そのマニフェストにインフレーション・ターゲットを盛りこみたいのだ。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;この民主党議員グループの動きによって、日本銀行が新しい緩和政策の実施を強いられると市場は考えるようにはなるだろう。日銀は自らのデフレーションに対する姿勢を、それに疑いを抱いている人たちに納得してもらわなければならないからだ。とはいうものの、中央銀行には公式には独立性というものがある。民主党幹部が、日銀にインフレーション・ターゲットを採用させることにどれくらい意欲的になれるかはまだまだ未知数だ。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;民主党の菅直人財務大臣兼副総理は、物価下落問題によりしっかり取りくむよう、日本銀行に公の場で促したことがある。 しかし、彼も中央銀行に対して明確なインフレーション・ターゲットを採用させるという考えを支持するまでには至っていない。実際はといえば、近ごろの彼の日銀に対する態度は軟化している。[&lt;a href="#note_4"&gt;4&lt;/a&gt;]&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;日銀の物価安定に対するアプローチは以前に比べれば柔軟になったものの、菅大臣の相手、白川方明日銀総裁は現状を堅持しようと頑なでありつづけている。彼は "現在の金融危機 によって、物価変動にあまりに注目しすぎ、他の経済的要素を無視してしまうことのマイナス面となりかねない部分が示されている。" と言っている。[&lt;a href="#note_5"&gt;5&lt;/a&gt;] &lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;しかし、目標についての議論の広まりは中央銀行への圧力となるだろうし、日本銀行は少なくとも限定的な政策緩和のようなものを実施しなければならないだろう。それが政府の圧力をかわすためにこれまで用いられてきたようなものだとしてもだ。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;このような動きのひとつとして、日銀は先月、銀行が使える3ヶ月の低金利な資金供給を倍額にした。[&lt;a href="#note_6"&gt;6&lt;/a&gt;] －これは日銀が比較的リスクが少ないと考える政策アプローチだ。しかしながら、アナリストによると、経済はデフレーションにはまってしまっており、ほとんどその効果はないとのことである。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;ところが、日銀への政治的な圧力も火曜日に発表されたデータのせいで弱まりかねない。[&lt;a href="#note__7"&gt;7&lt;/a&gt;] このデータでは原油と原材料の値上がりによって、3月の卸売物価 (年率換算) の下落幅は、2009年1月以降、これまでになく小さくなっているからである。[&lt;a href="#note_8"&gt;8&lt;/a&gt;] &lt;/p&gt;


    &lt;blockquote style="font-size:96%;border-style:solid; border-width:1px 0px 1px 0px; margin:10px;padding:2px 10px"&gt;
      &lt;p&gt;&lt;a id="note_1"&gt;訳注 1&lt;/a&gt;: MP は Member of Parliament の略かと。&lt;/p&gt;
      &lt;p&gt;&lt;a id="note_2"&gt;訳注 2&lt;/a&gt;: 正式名称は&lt;b&gt;「デフレから脱却し景気回復を目指す議員連盟」&lt;/b&gt;。原文では "anti-deflation league". 以下、おもに、『&lt;a href="http://blog.guts-kaneko.com/"&gt;金子洋一さんのブログ&lt;/a&gt;』から。彼の Twitter アカウントは&lt;a href="http://twitter.com/Y_Kaneko"&gt;こちら&lt;/a&gt;。&lt;/p&gt;
      &lt;ul&gt;
 &lt;li&gt;田中さんのブログから。&lt;a href="http://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20100325#p1"&gt;「デフレ脱却議連起動す！」&lt;/a&gt; (2010年3月25日、設立準備会、呼びかけ人と事務局名簿。) &lt;/li&gt;
 &lt;li&gt;&lt;a href="http://blog.guts-kaneko.com/2010/03/post_508.php"&gt;「デフレ脱却議連、立ち上げました！」&lt;/a&gt; (同上、金子さんによる報告。) &lt;/li&gt;
 &lt;li&gt;&lt;a href="http://blog.guts-kaneko.com/2010/03/post_510.php"&gt;「デフレ脱却議連関連のインターネット報道」&lt;/a&gt;&lt;/li&gt;
 &lt;li&gt;&lt;a href="http://blog.guts-kaneko.com/2010/03/post_509.php"&gt;「デフレ脱却議連第一回会合開催」&lt;/a&gt; (2010年3月30日、設立総会。イェール大の浜田宏一さんのメッセージあり。) &lt;/li&gt;
 &lt;li&gt;&lt;a href="http://blog.guts-kaneko.com/2010/04/post_512.php"&gt;「デフレ脱却議連第二回会合！」&lt;/a&gt; (2010年4月6日、with 暗黒卿。)&lt;/li&gt;
 &lt;li&gt;&lt;a href="http://blog.guts-kaneko.com/2010/04/post_514.php"&gt;「デフレ脱却議員連盟第三回開催」&lt;/a&gt; (2010年4月13日、勝間さん登場。本稿はこの会合の内容が話題。) &lt;/li&gt;
 &lt;li&gt;&lt;a href="http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20100405/plt1004051541002-n2.htm"&gt;Zakzak 「【激震２０１０　民主党政権下の日本】ボーナス・給与、雇用問題…デフレ議連発足は大チャンス」 &lt;/a&gt;(2010年4月5日、高橋洋一さんがデフレ脱却議連に言及した記事。短いけどおすすめ。) &lt;/li&gt;
      &lt;/ul&gt;
      &lt;p&gt;&lt;a id="note_3"&gt;訳注 3&lt;/a&gt;: 以下に4月13日会合の報道を。&lt;/p&gt;
      &lt;ul&gt;
 &lt;li&gt;&lt;a href="http://jp.reuters.com/article/foreignExchNews/idJPnTK038136120100413"&gt;ロイター 「UPDATE2: デフレ完全脱却に物価目標など大胆な金融政策求める＝民主党議連の政権公約要望案」&lt;/a&gt; (2010年4月13日、デフレ脱却議員連盟第三回についての報道。) &lt;/li&gt;
 &lt;li&gt;&lt;a href="http://jp.reuters.com/article/domesticJPNews/idJPJAPAN-14821820100414"&gt;ロイター 「民主・デフレ脱却議連が政権公約で党に提案、財政・金融政策の集中投入を」&lt;/a&gt; (2010年4月15日、提案は14日に提出された。) &lt;/li&gt;


      &lt;/ul&gt;
      &lt;p&gt;&lt;a id="note_4"&gt;訳注 4&lt;/a&gt;:  例えばここにある発言。&lt;a href="http://www.cao.go.jp/kaiken/0909kan/2009/1120kaiken.html"&gt;「平成21年11月20日、菅内閣府特命担当大臣記者会見要旨」&lt;/a&gt; (&lt;a href="http://www.cao.go.jp/kaiken/0909kan/kan_kaiken.html"&gt;『菅大臣記者会見要旨』&lt;/a&gt;から。これが菅さんの"デフレ発言"についての記事のソースでよいのかなと。)&lt;/p&gt;
      &lt;blockquote&gt;
      &lt;p&gt;「私たち自身、デフレ状況という認識を私も申し上げているところで、政府としては、内閣としては、やはりこういう状況の中で金融の果たすべき役割も多いわけですから、今日も日銀の政策会議が行われるわけで、津村政務官が出席をすることになっておりますので、そういう政府としての認識は、機会があればというか、多分機会がありますので、きちっと伝えたいと。」&lt;/p&gt;
 &lt;p&gt;&lt;b&gt;しか～し。&lt;/b&gt;菅さんの 4月バージョン ↓&lt;/p&gt;
 &lt;p&gt;「白川総裁とは政権スタートから私も当初は経済財政担当という立場で、現在はそれに加えて財務大臣という両面で色々意見交換を続けております。そういう意味で私自身は白川総裁、非常によくやっていただいていると。もちろんそれぞれの独立性とかそういうものをお互いが分かった上で、しかし同時に政府と日銀がある意味では一体となって、特にデフレに対する対応をしてきているわけで、そういう点では私は政府と日銀のこの間の対応は非常に共通の目標を持ってそれぞれの立場で努力するということで、かなりいい形で進んでいる、このように思っております。」 (&lt;a href="http://www.cao.go.jp/kaiken/0909kan/2010/0406kaiken.html"&gt;「平成22年4月6日 菅内閣府特命担当大臣記者会見要旨」&lt;/a&gt;)&lt;/p&gt;
      &lt;p&gt;ちなみに11月20日の菅発言に対する白川発言はこのあたりにまとまってます →&lt;a href="http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/2208"&gt;JBpress 「白川日銀総裁の正論と菅副総理の危機感 －デフレ問題めぐる2人の発言」&lt;/a&gt;&lt;/p&gt;
      &lt;/blockquote&gt;
      &lt;p&gt;&lt;a id="note_5"&gt;訳注 5&lt;/a&gt;: ソースとなる白川発言ですが、いかんせん対応する "日銀文学的表現" が不明なので、検索もできないというあり様でして...すまんそん。&lt;/p&gt;
      &lt;p&gt;&lt;a id="note_6"&gt;訳注 6&lt;/a&gt;:  手前みそだけど、これ→ &lt;a href="http://randomcage.blogspot.com/2010/03/blog-post.html"&gt;「気あいを入れずに化粧をかさねる日銀」&lt;/a&gt;。追加緩和と称される "新型オペ" のより詳しい内容については、&lt;a href="http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/3033"&gt;「日銀が新型オペ拡充」&lt;/a&gt; を参照。ドラめもんさんの辛辣な文体好きなら「&lt;a href="http://74.125.153.132/search?q=cache:IPqMbXjPDhMJ:www.h5.dion.ne.jp/~bond7743/doramemon1003.html+site:http://www.h5.dion.ne.jp/~bond7743/doramemon1003.html+%E6%96%B0%E5%9E%8B%E3%82%AA%E3%83%9A&amp;cd=1&amp;hl=en&amp;ct=clnk&amp;client=opera"&gt;「ドラめもんアーカイブ ２０１０年０３月」を "新型オペ" で Google 検索したキャッシュ(色がつくので便利)&lt;/a&gt;」。&lt;/p&gt;
      &lt;p&gt;&lt;a id="note_7"&gt;訳注 7&lt;/a&gt;: これのことかな→&lt;a href="http://www.boj.or.jp/theme/research/stat/pi/cgpi/index.htm"&gt;日銀「企業物価指数」&lt;/a&gt; (2010年4月13日発表、2010年3月分) &lt;/p&gt;
      &lt;p&gt;&lt;a id="note_8"&gt;訳注 8&lt;/a&gt;: この最後の部分、night_in_tunisia さんは以下のようにコメントしています。&lt;/p&gt;
      &lt;blockquote&gt;
 &lt;p&gt;"&lt;a href="http://twitter.com/night_in_tunisi/statuses/12206361677"&gt;night_in_tunisi: 最後の最後でイギリスのターゲットはコアCPIじゃないっていう弊害が出てるなぁ。。。FT.com / Asia-Pacific - Japanese MP group to seek inflation target http://is.gd/btmEk&lt;/a&gt;"&lt;/p&gt;
      &lt;p&gt;イギリスが使っている消費者物価指数 (CPI) の入口は、&lt;a href="http://www.economicshelp.org/blog/inflation/difference-between-rpi-rpix-and-cpi/"&gt;「Difference Between RPI, RPIX and CPI」&lt;/a&gt;。イギリスの消費者物価指数についてのしおりは &lt;a href="http://www.statistics.gov.uk/downloads/theme_economy/CPI-briefguide.pdf"&gt;「Consumer Price Indices A brief guide」&lt;/a&gt; (PDF直、1.3M、26頁)。←読まなきゃと思いつつまだ読んでない。イギリスの CPI 関連は Office for National Statictics のサイトにある &lt;a href="http://www.statistics.gov.uk/statbase/Product.asp?vlnk=868"&gt;「Consumer Price Indices」&lt;/a&gt;からどぞ。&lt;/p&gt;
      &lt;/blockquote&gt;
      &lt;/blockquote&gt;&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/4358023851694157304-2998545914400693252?l=randomcage.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://randomcage.blogspot.com/feeds/2998545914400693252/comments/default' title='Post Comments'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=4358023851694157304&amp;postID=2998545914400693252' title='2 Comments'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/4358023851694157304/posts/default/2998545914400693252'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/4358023851694157304/posts/default/2998545914400693252'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://randomcage.blogspot.com/2010/04/blog-post.html' title='FT誌: 日本の議員たちがインフレーションターゲットを求めている。'/><author><name>soulcage</name><uri>http://www.blogger.com/profile/09004893170655174551</uri><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>2</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-4358023851694157304.post-7448546304500016941</id><published>2010-03-24T13:26:00.005+09:00</published><updated>2010-03-24T13:57:43.366+09:00</updated><title type='text'>抜粋: ガイルズ・ウィルケス: 『Credit where it's due: 量的緩和を実体経済のために』</title><content type='html'>&lt;p&gt;Giles Wilkes &lt;a href="http://www.centreforum.org/publications/credit-where-its-due.html"&gt;『Credit where it's due: Making QE work for the real economy』&lt;/a&gt;(2010年 3月、CentreForum 96 頁、2.2M) から 「Executive Summary」のみ。&lt;/p&gt;
    &lt;p&gt;題名のとおり "量的緩和政策を改善しようぜ" という提案。要約しか読んでませんが、第三者による「まとめ」になっていて、ガイルズさんたちの提案は、「イングランド銀行は名目成長ターゲットを使うべし」と「信用リスクを緩和するために基金をつくりませんか?」 というもの。&lt;/p&gt;
    &lt;p&gt;イングランド銀行 (BoE) 側による「まとめ」には、金融政策委員会のスペンサー･デールさんの &lt;a href="http://www.bankofengland.co.uk/publications/news/2010/027.htm"&gt;『QE - ONE YEAR ON 』&lt;/a&gt; (2010年3月12日、16頁、44kb) があります。&lt;/p&gt;
    &lt;p&gt;イギリスのみなさんは総選挙前なので、今回の危機対策を一旦整理ですな。「よーく考えよー、お金は大事だよー♪」っと。&lt;b&gt;日本のよい子のみなさんはその動きに釣られないようにしましょう (自戒をこめて) 。&lt;/b&gt;ま、多くの人がマスメディアにひっぱられると思うので、カウンターが必要でしょうか。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;BoE は、つい先日、今年 1冊めの四半期報告 &lt;a href="http://www.bankofengland.co.uk/publications/news/2010/029.htm"&gt;『Bank of England Quarterly Bulletin 2010 Q1』&lt;/a&gt; と &lt;a href="http://www.bankofengland.co.uk/statistics/m4/2010/feb/index.htm"&gt;M4 についてのレポート&lt;/a&gt;を出版しました。また、それとは別にふたりの副総裁講演も。&lt;a href="http://www.bankofengland.co.uk/publications/news/2010/030.htm"&gt;チャールズ･ビーン副総裁 (通貨政策担当) の 『The UK Economy after the Crisis: Monetary policy when it is not so NICE』&lt;/a&gt; と、&lt;a href="http://www.bankofengland.co.uk/publications/news/2010/032.htm"&gt;ポール･タッカー副総裁 (金融安定担当) の 『Resolution of Large and Complex Financial Institutions』&lt;/a&gt; がそれです。FT にも量的緩和を云々する記事や FSA による規制についての記事が (下記) 。まぁでもやはり、イギリス世間にとっては財政問題がホットなのかしらん。にしても、さっぱり読むのが追いつきません...&lt;/p&gt;

    &lt;blockquote style="background-color:; font-size:98%; border-style:solid; border-width:0px 0px 0px 0px; margin:10px 50px 10px 50px; padding:2px 10px"&gt;
      &lt;p&gt;おまけの記事リンク:&lt;/p&gt; 
      &lt;p&gt;BoE の量的緩和については → &lt;a href="http://ftalphaville.ft.com/blog/2010/03/19/180936/reasons-to-be-miserable-uk-edition/"&gt;『"Reasons to be Miserable" UKバージョン』&lt;/a&gt; from FT など。&lt;/p&gt;

      &lt;p&gt;記事の題についてですが、「Reasons to Be Miserable (His Name is Marvin)」 という歌があるそうです。"Marvin"は、あの 『The Hitchhiker's Guide to the Galaxy』 にでてくる &gt;&gt; 偏執狂のアンドロイド &lt;&lt; (←ここ注意) 。えーっとw、マービンといえば BoE のマービン･キング総裁。深読みしすぎですかね? 記事は「Have a good weekend everyone!」で締めくくられてます(笑) ちなみに歌詞は&lt;a href="http://www.justsomelyrics.com/628749/Marvin-Reasons-to-be-Miserable-Lyrics"&gt;こちら&lt;/a&gt; ... "Reasons to be miserable: In my brain a pain, Very little turns me on, Marvin is my name..."。明るい歌...ではないようですw&lt;/p&gt;

      &lt;p&gt;FSA (金融サービス機構)  については → &lt;a href="http://www.ft.com/cms/s/0/3e9bf13a-322d-11df-b4e2-00144feabdc0.html"&gt;「FSAの強気なスタンスに City 街はびくびく」&lt;/a&gt;・&lt;a href="http://ftalphaville.ft.com/blog/2010/03/10/170391/the-fsa-says-now-is-not-time-for-bank-bondage/"&gt;『「今は締め上げの時期ではない」 by FSA』&lt;/a&gt; (ともにFTから) など。&lt;/p&gt;
    &lt;/blockquote&gt;

    &lt;p&gt;今回は &lt;a href="http://d.hatena.ne.jp/nyanko-wonderful/"&gt;『DeLTA Function』&lt;/a&gt; の にゃんこワンダフルさんに感謝です。まずは原文にある「著者について」から。&lt;/p&gt;
    &lt;p&gt;&lt;br/&gt;&lt;/p&gt;

    &lt;hr/&gt;

    &lt;h3&gt;著者について&lt;/h3&gt;

    &lt;p&gt;&lt;a href="http://www.centreforum.org/about/wilkes.html"&gt;ガイルズ・ウィルケス&lt;/a&gt;は CentreForum[&lt;a href="#note_pre_1"&gt;1&lt;/a&gt;]  の主任エコノミスト。2008 年 4 月に金融関係の調査員として当フォーラムに加わった人物だ。著書 『A balancing act: fair solutions to a modern debt crisis』 は "Prospect magazine think tank publication of the year for 2009" を受賞している。他に 『Fiscal Rules OK?』 (Alasdair Murray との共著) や 『Divided we fall: can the G20 save globalisation?』 (John Springford との共著) などの著作がある。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;オックスフォード大学出身。1994 年に経済哲学 (Philosophy and Economics) を修了し、ロンドン･ビジネス･スクール[&lt;a href="#note_pre_2"&gt;2&lt;/a&gt;] 在学中に MBA を取得、ロンドン･スクール･オブ･エコノミクス[&lt;a href="#note_pre_3"&gt;3&lt;/a&gt;] で 世界史[&lt;a href="#note_pre_4"&gt;4&lt;/a&gt;] の修士号を得た。この間、出版社に勤務した経験もあり、IG Group  (spread-betting and derivatives company) のディーラやマネージャとしても 10 年の経歴を持つ。&lt;/p&gt;

    &lt;blockquote style="background-color:; font-size:98%; border-style:solid; border-width:1px 0px 1px 0px; margin:10px 50px 10px 50px; padding:2px 10px"&gt;
      &lt;p&gt;&lt;a id="note_pre_1"&gt;訳注 1&lt;/a&gt;: CentreForum のサイトは&lt;a href="http://www.centreforum.org/index.html"&gt;こちら&lt;/a&gt;。Centre と Forum のあいだにスペースは入りません。爽やかガイルズくんは&lt;a href="http://freethinkingeconomist.com/"&gt;「Freethinking Economist」&lt;/a&gt; というブログ (毎日更新) を書いている。&lt;/p&gt;
      &lt;p&gt;&lt;a id="note_pre_2"&gt;訳注 2&lt;/a&gt;: London Business School、ロンドン大学のカレッジのひとつ。MBA 関連コースの評価が高いとか。&lt;/p&gt;
      &lt;p&gt;&lt;a id="note_pre_3"&gt;訳注 3&lt;/a&gt;: LSE、London School of Economics、こちらもロンドン大学のカレッジ。ロンドン大学はカレッジが複数あって、それぞれ結構独立している。"ロンドン大学連合" という訳もあるみたい。そのほうがあってる気がします。&lt;/p&gt;
      &lt;p&gt;&lt;a id="note_pre_4"&gt;訳注 4&lt;/a&gt;: Global History。&lt;/p&gt;
    &lt;/blockquote&gt;

    &lt;p&gt;&lt;br/&gt;&lt;/p&gt;
    &lt;p&gt;参考に目次を。&lt;/p&gt;

    &lt;blockquote style="background-color: ; font-size:98%; border-style:solid; border-width:1px 0px 1px 0px; margin:40px;padding:10px 10px"&gt;
      &lt;!-- Credit where it's due: Making QE work for the real economy --&gt;
      &lt;h2&gt;Credit where it's due: Making QE work for the real economy&lt;/h2&gt;

      &lt;h3&gt;Contents&lt;/h3&gt;
      &lt;ul style="list-style:none"&gt;
 &lt;li&gt;Executive summary&lt;/li&gt;
 &lt;li&gt;1. How we got here: from inflation busting to quantitative easing&lt;/li&gt;
 &lt;li&gt;2. Has QE worked?&lt;/li&gt;
 &lt;li&gt;3. Other effects of QE beyond boosting spending&lt;/li&gt;
 &lt;li&gt;4. Is QE dangerous?&lt;/li&gt;
 &lt;li&gt;5. Making QE work better through `fiscal dominance'&lt;/li&gt;
 &lt;li&gt;6. Conclusion&lt;/li&gt;
 &lt;li&gt;Appendix 1: insufficient demand, and its causes&lt;/li&gt;
 &lt;li&gt;Appendix 2: changing your mind about how it works&lt;/li&gt;
 &lt;li&gt;Appendix 3: assessing distributional consequences of asset growth&lt;/li&gt;
 &lt;li&gt;Appendix 4: auction prices for the same gilts before and after QE&lt;/li&gt;
 &lt;li&gt;Appendix 5: has the Bank given too much to the market?&lt;/li&gt;
 &lt;li&gt;Notes&lt;/li&gt;
      &lt;/ul&gt;
    &lt;/blockquote&gt;

    &lt;h2&gt;Credit where it's due: 量的緩和を実体経済のために&lt;/h2&gt;
    &lt;p&gt;&lt;br/&gt;&lt;/p&gt;
    &lt;h3&gt;本稿の要旨&lt;/h3&gt;

    &lt;p&gt;「Quantitative easing (量的緩和、QE)」は、政策金利がゼロになった時、景気回復のためにイングランド銀行が採用した政策である。世の中に流通しているお金を増やして消費を促進するため、これまでに 2000 億ポンド[&lt;a href="#note_1"&gt;1&lt;/a&gt;] の銀行準備が新たに用意されてきた。これにより、イングランド銀行のバランスシートは住宅金融組合程度から数千億ポンド規模にまで拡大をつづけてきた[&lt;a href="#note_2"&gt;2&lt;/a&gt;] 。今日、わが国でもっとも重要な投資家はスレッド・ニードルの公務員なのである。[&lt;a href="#note_3"&gt;3&lt;/a&gt;] &lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;このように膨大なお金を投入したにも関わらず、2009 年の実体経済[&lt;a href="#note_4"&gt;4&lt;/a&gt;] は急激な景気悪化に見舞われた。その激しさは政府が 2009 年度予算で見込んでいたものの 100 % 以上に達したのである。フランス経済とドイツ経済は (量的緩和なしで) 成長に転じたが、イギリスの景気悪化はさらに半年間も続いている。イングランド銀行による融資は経済回復に失敗し、ブロード・マネー [&lt;a href="#note_5"&gt;5&lt;/a&gt;] の伸びも目立つほどではない。量的緩和の効果がもっとも小さかったのは、イングランド銀行が影響を与えようとした分野、すなわち通貨供給量の増加であり、支出の増加であったのだ。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;イングランド銀行のマービン･キング総裁によれば、量的緩和は従来の金融政策の「延長線上にある」とのことだ。ところが、量的緩和は支出にあまり影響しなかったにもかかわらず、従来の金融政策の延長とはとても思えないほどの副作用があった。政策がスタートしてから 9 ヶ月になるが、この間にイギリス政府が売った英国債は年額で史上最多にのぼっている － しかも政府は比較的小さい借入れコストで国債を売ることができた。その結果、資産価格が尋常でないレベルまで反発している。住宅価格がふたたび上昇しはじめ、株価も 50% 以上の値上がりだ。投資銀行 [&lt;a href="#note_qt_1"&gt;5&lt;/a&gt;] にとっては豊年となり、あたかも危機がおきなかったかのように多額のボーナスが支払われている。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;経済成長への影響がみられないとなれば、量的緩和の副作用が現実問題として取りあげられるだろう。そうなれば、金利の決定とは違って政治家もこれを無視できなくなる。中でも問題なのは、量的緩和によって財政政策と通貨政策の境目がよくわからなくなってしまう点だろう。緊急に支出が求められていた時、政府が安上がりに借金できたのは事実として喜ぶべきことだ。けれど今度は、イギリス大蔵省が財政の健全性を中央銀行に左右されるようになり、困った立場に立たされてしまっている。つまるところ、中央銀行と大蔵省がこのような関係にあると、両者の施策上の独立性が脅かされてしまうということだ。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;一連の量的緩和政策は受益者への配分もゆがめてしまっている。量的緩和は多くの大企業や金融業に恩恵をもたらしてきた。社債を発行して資金調達するのは以前よりずっと楽になっている。大企業などによる大口の資金調達[&lt;a href="#note_6"&gt;6&lt;/a&gt;] は楽になって資産価格もうなぎ昇り、ロンドンの金融街は大もうけである。資産をたくさん持っている人たちにとって 2009 年はよい年だった。典型的な株のポートフォリオ[&lt;a href="#note_7"&gt;7&lt;/a&gt;] やロンドンの住宅価格は、ほぼリーマン･ショック以前の水準にもどっている。その一方、ほとんどの一般家庭や零細企業にとって、量的緩和で好転したなにかはまだ目に見えてこない。彼らこそ借りられるお金が少しでもないものかと目を皿のようにしている人々だ。そしてそれは、個人や中小企業向けの銀行[&lt;a href="#note_8"&gt;8&lt;/a&gt;] がいまだに弱気で融資を渋っているからなのだ。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;さまざまな意味で、量的緩和は金融業界と富裕層に多額の補助金をわたすようにはたらいてきた。けれど、それと銀行の救済とは別問題。銀行の救済だったなら会計監査というしくみが使えるからだ。量的緩和によるお金の行く先の大部分は不透明で、誰がその恩恵を受けたのかよくわからず、納税者はほとんど蚊帳の外だった。わが国の金融政策当局は、おそらくそれを国家経済を救う唯一の道だと信じ、所得格差が広がってしまうような"力"を使って経済のある部分をえこひいきしているのだろう。しかしながら、彼らのこの姿勢がそもそも議論すべきもので、その議論の結果、副作用による損害が軽くなるとしたらどうであろうか[&lt;a href="#note_9"&gt;9&lt;/a&gt;] 。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;わが国には、このような副作用のある試みにあまり頼らずとも、不況から力強く抜けだしていく可能性がある。ところが、経済の先ゆきがあやしいままなリスクも、それどころか景気が後もどりするリスクさえかなりの程度で存在している。財源は限界にきている。2008 年とはちがって、イギリス政府はこのさき 2、3 年は予算を引き締めるだろう。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;イギリス経済はふらふらと後退していく運命なのだろうか。量的緩和が金融街に活をいれるだけでなく、経済全体を効果的に刺激できるかどうかがその鍵になる。では、現時点でのわれわれのアドバイスを以下に記すことにしよう。&lt;/p&gt;

    &lt;ul style="list-style:none"&gt;
      &lt;li&gt;: 不況のあいだ、イングランド銀行は名目成長 (率) を目標としてはっきり示すべきだ。現在、イングランド銀行は目標をインフレーションにしぼっている[&lt;a href="#note_10"&gt;10&lt;/a&gt;] 。しかしこのままでは、まだ効果の出ないうちに量的緩和が引っこめられるのではないかという市場の危惧を完全には振りはらえない。市場がそう予想していると、量的緩和政策はひどく弱体化してしまう。イングランド銀行が目標として高い名目成長率をきっぱりと口にすれば、人々は投資家が安心するまで (ひいては彼らが活気づくまで) 流動性[&lt;a href="#note_11"&gt;11&lt;/a&gt;] が維持されると信じてくれるのではないだろうか。&lt;/li&gt;
      &lt;li&gt;&lt;br/&gt;&lt;/li&gt;

      &lt;li&gt;: 低インフレの不況だと、通貨政策と財政政策は力をあわせなければ効果を発揮できない。これはイギリス大蔵省が量的緩和を「信用緩和」[&lt;a href="#note_12"&gt;12&lt;/a&gt;] に変換するということだ。量的緩和に使われる資金の一部を使って、新しく「信用リスク基金」を設けるべきだろう。金融市場で問題がおきた際、必要な資金をすばやくそこに向かわせ、より早く需要が改善するようにしておくのである。&lt;/li&gt;
      &lt;li&gt;&lt;br/&gt;&lt;/li&gt;

      &lt;li&gt;: 信用収縮[&lt;a href="#note_13"&gt;13&lt;/a&gt;] に苦しみ続けている分野は多い。「信用リスク」基金があれば、彼らへの資金源として有効に使えるはずだ。借入れ保証制度[&lt;a href="#note_14"&gt;14&lt;/a&gt;] はすでに成功をおさめているし、零細企業への融資につかう基金としてもよい。アメリカで論じられている社会基盤整備銀行[&lt;a href="#note_15"&gt;15&lt;/a&gt;] のようにしてもよいだろうし、銀行部門への追加資本注入に利用してもよいのだ。&lt;/li&gt;
    &lt;/ul&gt;

    &lt;blockquote style="font-size:99%;border-style:solid; border-width:1px 0px 1px 0px; margin:10px 50px; 10px 50px; padding:2px 10px"&gt;
      &lt;p&gt;&lt;a id="note_1"&gt;訳注 1&lt;/a&gt;: 25兆円超くらい。&lt;/p&gt;
      &lt;p&gt;&lt;a id="note_2"&gt;訳注 2&lt;/a&gt;: ググれば出てくるだろうけど DeLTA Function にグラフがある。「&lt;a href="http://d.hatena.ne.jp/nyanko-wonderful/20091125/p1"&gt;円高とデフレ、あるいは某中央銀行のサボタージュ&lt;/a&gt;」や「&lt;a href="http://d.hatena.ne.jp/nyanko-wonderful/20100304/p1"&gt;日米英の"銀行券ルール&lt;/a&gt;」参照。&lt;/p&gt;
      &lt;p&gt;&lt;a id="note_3"&gt;訳注 3&lt;/a&gt;: スレッド・ニードル(街) はイングランド銀行がある通りの名前。&lt;a href="http://maps.google.com/maps?ll=51.51406,-0.08839&amp;spn=0.01,0.01&amp;t=m&amp;q=51.51406,-0.08839"&gt;Google Map で行ってみる?&lt;/a&gt;&lt;/p&gt;
      &lt;p&gt;&lt;a id="note_4"&gt;訳注 4&lt;/a&gt;: real economy。「実体経済」は経済のモノやサービスの生産に関わる部分、かな? この文脈では経済の "金融" とは別の部分というくらいの意味でしょう、たぶん。&lt;/p&gt;
      &lt;p&gt;&lt;a id="note_5"&gt;訳注 5&lt;/a&gt;:  M4 のこと。&lt;a href="http://www.bankofengland.co.uk/statistics/ms/articles/art1may09.pdf"&gt;『Measures of M4 and M4 lending excluding intermediate other financial corporations』&lt;/a&gt; (PDF直リンク) をみると、2007年9月以降、BoE は M4 をブロードマネーとして扱っています。以下がイングランド銀行のサイトにある説明。引用元は「&lt;a href="http://www.bankofengland.co.uk/statistics/ms/2009/dec/background.htm"&gt;Monetary &amp; Financial Statistics Brief Background to Tables&lt;/a&gt;」。より詳しくは、「&lt;a href="http://www.bankofengland.co.uk/mfsd/iadb/notesiadb/content.htm"&gt;Monetary &amp; Financial Statistics Explanatory Notes&lt;/a&gt;」以下の &lt;a href="http://www.bankofengland.co.uk/mfsd/iadb/notesiadb/m0.htm"&gt;M0&lt;/a&gt;、&lt;a href="http://www.bankofengland.co.uk/mfsd/iadb/notesiadb/m3.htm"&gt;M3&lt;/a&gt;、&lt;a href="http://www.bankofengland.co.uk/mfsd/iadb/notesiadb/m4.htm"&gt;M4&lt;/a&gt; を参照。&lt;/p&gt;
      &lt;ul&gt;
 &lt;li&gt;
            &lt;p&gt;Notes and coin (Table A1.1.1) is the UK丕ｻs narrow monetary aggregate, intended to capture money held for transactions rather than as wealth. The level of notes and coin in circulation is likely to be related to economic transactions such as retail sales.&lt;/p&gt;
            &lt;p&gt;表「紙幣と硬貨」はイギリスの狭義の通貨総量 (ナロー･マネー) で、財産としてのものではなく、取引や決済に使われる通貨だけを把握しようとするためのものである。&lt;/p&gt;
        &lt;/li&gt;
 &lt;li&gt;
            &lt;p&gt;M4 (Tables A2 to A4) is the UK's main broad monetary aggregate; M4 is held not only for transactions purposes but also as a form of wealth.&lt;/p&gt;
            &lt;p&gt;Measures of M4 and M4 lending excluding intermediate other financial corporations are published in Table A2.2.3.  These provide economically more relevant estimates of broad money and credit than M4 and M4 lending based on their traditional definitions.  An article in this publication (http://www.bankofengland.co.uk/statistics/ms/articles/art1may09.pdf) sets out the background.&lt;/p&gt;
            &lt;p&gt;M4 はイギリスの広義の通貨総量 (ブロード･マネー) の中心的なものである。M4 では取引･決済手段としての通貨だけでなく、財産としてのものも含まれる。&lt;/p&gt;
            &lt;p&gt;M4 と"その他金融関連企業"をのぞいた M4 lending を表 A2.2.3. に示した。これらの数字をつかって広義の通貨総量と信用量を評価すれば、従来の定義からの M4 と M4 lending よりも、経済学的に意味のあるものを得られる。われわれが出版した&lt;a href="http://www.bankofengland.co.uk/statistics/ms/articles/art1may09.pdf"&gt;『Measures of M4 and M4 lending excluding intermediate other financial corporations』&lt;/a&gt; (PDF直リンク、以下に抜粋して翻訳) は、その背景について明らかにしている。&lt;/p&gt;
        &lt;/li&gt;
      &lt;/ul&gt;
      &lt;blockquote style="background-color:gainsboro; font-size:98%; border-style:solid; border-width:1px 1px 1px 1px; margin:10px;padding:2px 10px"&gt;
 &lt;h4&gt;Measures of M4 and M4 lending excluding intermediate other financial corporations &lt;/h4&gt;
 &lt;p&gt;By Norbert Janssen&lt;/p&gt;

 &lt;h5&gt;はじめに&lt;/h5&gt;

 &lt;p&gt;2007 年 9月、イングランド銀行は国内のブロード･マネー (広義の通貨総量) の計測法の変更について一般から意見を募った。これは、イングランド銀行がもちいるブロード･マネーの計測法を、急速に発達している世界の金融システムにあわせてアップデートするためであった。そこでの主な提案は、"その他金融企業 (OFCs、other financial corporations) " などが保有する「通貨」をブロード･マネー (M4) から除外することだった。これによって、名目支出により密接なかたちで「通貨」 (の総量) を計れるようになると予想された。本稿は一般公募後の進捗状況を報告するものである。"その他金融企業" による預金や彼らへの貸付け/融資を除外した場合、ブロード･マネーと信用をどのように計るか、その内容についてもまとめてある。そして最後に、このデータをより頻繁に発表するために、われわれがどんな作業をすればよいのかについても軽くふれている。&lt;/p&gt;

 &lt;h5&gt;背景&lt;/h5&gt;

 &lt;p&gt;「通貨」という概念は次の 3 つの条件を満たすモノや財産をさしている。まず、会計勘定や銀行口座、商取引の一単位となるものであること、そして価値を保有するものであること。さらにモノやサービスに対する支払い方法であることがその条件だ。わが国のように金融システムが発達している場合には、経済学的に意味のある通貨総量 (通貨供給量/通貨流通量/マネー･サプライ) は次のようにして計らなければなければならない。すなわち、対象を幅広く広汎にとり、国内で流通している紙幣と硬貨をふくみ、同時に銀行[&lt;a href="#note_qt_1"&gt;1&lt;/a&gt;] や住宅金融組合[&lt;a href="#note_qt_2"&gt;2&lt;/a&gt;] が保有する預金もふくめねばならないのだ。預金を含めるのは、銀行と住宅金融組合の負債のほとんどが、支払いの手段としても利用されているからだ。上の条件に照らしあわせると、これらの事業体は「通貨」の役割をはたすものをつくりだし、それを取引して金融業 (MFI、monetary financial institutions) を営んでいることになる。しかし、ある MFI から別の MFI への債務はその部門のなかで相殺されてしまうので、MFI どうしの預金はわが国のブロード･マネーには含めない。そのため、ブロード･マネーを計るときに通貨を保有している部門としてあつかうのは、国内に籍のある民間の非 MFI 事業体、例えば一般家庭や民間の非金融関連企業、それと MFI でないという意味での "その他金融企業 (OFC)" などになる。&lt;/p&gt;

 &lt;p&gt;OFC 部門には異なる経済活動をおこなう様々な企業がたくさんふくまれている。例えば保険会社や年金基金、証券ディーラなどの預金を預かっている企業や団体がある。それらは資産価格に影響を与える事業体にふくめてもよいだろう。これらの企業が一般家計や 他の一般企業とじかにやりとりすることで、名目支出はきまってくるのだ。&lt;/p&gt;

 &lt;p&gt;OFC には他のタイプのものもある。彼らの仕事は主に銀行と住宅金融組合のあいだの仲介で、 MFI どうしでみられるような取引を効率的に提供している。仲介業務をおこなう OFC には次のようなものがある。セントラル･クリアリング･ハウス[&lt;a href="#note_qt_3"&gt;3&lt;/a&gt;] － 彼らは証券取引の決済/調整を手伝ってくれる －、証券化のための特別目的事業体[&lt;a href="#note_qt_4"&gt;4&lt;/a&gt;] 、担保つき債権をあつかう団体 (MFI はこの種の団体を融資の資金源に使っているし、資産やリスクをバランスシートから移転するのにも利用している)[&lt;a href="#note_qt_5"&gt;5&lt;/a&gt;]  が最も一般的だ。&lt;/p&gt;

 &lt;p&gt;2007 年 9 月の一般公募での案は、仲介業務にたずさわる OFC を通貨保有部門[&lt;a href="#note_qt_6"&gt;6&lt;/a&gt;] から除外するような提案だった。この案に沿ってブロード･マネーと信用を計れば、より有意義になると思われたからである。しかし、当時のデータには MFI 企業と仲介にたずさわる OFC 事業体の区別がない。そのため、この区分であきらかにできたのはブロード･マネーの概要だけであった。では次節から、2007 年以降、この計算方法がどう変遷してきたのか説明していくことにしよう。&lt;/p&gt;

 &lt;blockquote style="background-color:white; font-size:98%; border-style:solid; border-width:1px 0px 1px 0px; margin:10px;padding:2px 10px"&gt;
   &lt;p&gt;&lt;a id="note_qt_1"&gt;訳注 5-1&lt;/a&gt;: イギリスで "bank"といったら何のことか気になって調べてみた。ところが FSA のサイトには "There is no definitions " とあって、"bank" が実際に何をさすのかはよくわからなかった。だから「bank = 銀行」なのかもわからない。つか、日本の「銀行」についても知らないんだけど。&lt;/p&gt;
   &lt;p&gt;&lt;a id="note_qt_2"&gt;訳注 5-2&lt;/a&gt;: building society。&lt;/p&gt;
   &lt;p&gt;&lt;a id="note_qt_3"&gt;訳注 5-3&lt;/a&gt;: Central clearing couterparty。取引の契約期間が長いと、状況の変化しだいで、債務不履行がおきるリスクが大きくなってしまう (例: 先物取引) 。このようなリスクを減らすため、"特定の機関" が全体の取引の損益を計算して、一定の会員のあいだで儲けた人→損した人のように金額の調整がおこなわれている。この「特定機関」がクリアリング･ハウス (たぶん) 。清算機関には種類があって、"Central" がついてるのは "1箇所にまとめて" という方式のことだと思う。日本では日本証券クリアリング機構や東京金融先物取引所、アメリカではシカゴやニューヨークの証券取引所が該当するみたいです。参考: &lt;a href="g30625b08j.pdf"&gt;『クリアリング（清算）制度について』&lt;/a&gt; (PDF直リンク、2003年)。日銀の&lt;a href="http://www.boj.or.jp/type/exp/seisaku/expkess.htm"&gt;『決済について』&lt;/a&gt; も参考になります。&lt;/p&gt;
   &lt;p&gt;&lt;a id="note_qt_4"&gt;訳注 5-4&lt;/a&gt;: securitisation special purpose vehicles。英辞郎95には "資産買取り、資金調達証券発行、信用補完、収益配分を行う会社・組合・信託" とあります。&lt;/p&gt;
   &lt;p&gt;&lt;a id="note_qt_5"&gt;訳注 5-5&lt;/a&gt;: covered bond entities。&lt;/p&gt;
   &lt;p&gt;&lt;a id="note_qt_6"&gt;訳注 5-6&lt;/a&gt;: money-holding sector。&lt;/p&gt;
 &lt;/blockquote&gt;

 &lt;p&gt;続いて、&lt;a href="http://www.bankofengland.co.uk/publications/inflationreport/ir0902.htm#charts"&gt;『インフレーション･レポート 2009年5月版』&lt;/a&gt;の13頁の Box から。 (←これは「いつか」そのうち...) &lt;/p&gt;
      &lt;/blockquote&gt;
      &lt;p&gt;......訳注 5 は ここまで。しかし注釈が長いっすね...&lt;/p&gt;

      &lt;p&gt;&lt;a id="note_6"&gt;訳注 6&lt;/a&gt;: wholesale financing。&lt;/p&gt;
      &lt;p&gt;&lt;a id="note_7"&gt;訳注 7&lt;/a&gt;: ポートフォリオ。"The entirety of the financial assets (and usually also liabilities) that an economic agent or group of agents owns." 経済主体やそのグループが保有する金融資産のまとまり (ふつうは債務も含める)。金融資産には株式、社債、預金、現金がふくまれる。『Deardorff's Glossary of International Economics』より。&lt;/p&gt;
      &lt;p&gt;&lt;a id="note_8"&gt;訳注 8&lt;/a&gt;: retail bank。&lt;/p&gt;
      &lt;p&gt;&lt;a id="note_9"&gt;訳注 9&lt;/a&gt;: But if this is their view it should be debated － and damaging side-effects mitigated.&lt;/p&gt;
      &lt;p&gt;&lt;a id="note_10"&gt;訳注 10&lt;/a&gt;: イングランド銀行 (BoE) 謹製の量的緩和政策のパンフレットには日本語訳があります(『イングランド銀行パンフレット「量的緩和とは何か」』、リンクが張れなかった)。現状、BoE は 2% を目安にインフレをコントロールしてる。"インフレの指標" が上下に 1% 以上目標からずれると、BoE 総裁は金融政策委員会 (MPC) 名義で大蔵大臣に「始末書」を書かねばなりません (「始末書」現物はPDFで公開されていて、&lt;a href="http://www.bankofengland.co.uk/monetarypolicy/pdf/cpiletter100216.pdf"&gt;こういうもの&lt;/a&gt;。"Open letter" っていうらしい。最近では 2010 年 2月のがあります。これはキング総裁の任期中で 3 回目で、リンク先の PDF には、その理由や MPC の見とおし、今後の政策についてもちゃんと書いてあります)。彼らが使っている "インフレの指標"(CPI インフレ率) の内容は、このリーフレット &lt;a href="http://www.statistics.gov.uk/downloads/theme_economy/CPI-briefguide.pdf"&gt;『Consumer Price Indices - A Brief Guide』&lt;/a&gt; (PDF直、1.3M、2004年) や &lt;a href="http://www.statistics.gov.uk/statbase/product.asp?vlnk=10913"&gt;『The New Inflation Target: the Statistical Perspective』&lt;/a&gt; (2007年) にあるものかと。たぶん後者を参照したほうがよい。&lt;/p&gt;
      &lt;p&gt;&lt;a id="note_11"&gt;訳注 11&lt;/a&gt;: "The capicity to turn assets into cash, or the amount of assets in a portfolio that have that capacity. Cash itself (i.e., money) is the most liquid asset."
資産を現金に交換できるかどうか。もしくはポートフォリオに含まれる資産のうち、現金に換えられる資産の量。現金 (例えば、通貨) が一番流動的な資産。 『Deardorff's Glossary of International Economics』より。&lt;/p&gt;
      &lt;p&gt;&lt;a id="note_12"&gt;訳注 12&lt;/a&gt;: 信用緩和/Credit Easing は、アメリカの連邦準備銀行が採用している政策。ベン・バーナンキ議長の 2009年 1月の講演でふれられた。両者はともに、ゼロ金利な状況でもちいられるが、量的緩和/Quantative Easing とは異なる政策。&lt;/p&gt;
 &lt;p&gt;僕はまだそこまで詳しく理解していないので、白塚重典 『わが国の量的緩和政策の経験: 中央銀行バランスシートの規模と構成を巡る再検証』 (2009年 1月) の 2ページ目にある注釈を引用してお茶を濁しておきます。&lt;/p&gt;
      &lt;blockquote style="background-color:; font-size:99%; border-style:solid; border-width:0px; margin:0px 50px 0px 50px;"&gt;
 &lt;p&gt;"Bernanke[2009a]は、クレジット市場を支援する Fed のアプローチを、最初に信用緩和と呼び、日本銀行が 2001～06 年にかけて実施した量的緩和政策との概念的な相違を指摘した。Yellen[2009]も、現在の Fed の政策実践と日本銀行の経験を比較すると「相違点が共通点を上回る」とし、Fed がバランスシートの資産サイドに注目し、特定の市場における与信フローを改善させようとしていることを指摘した。このほか、Bean[2009]は、BOE による量的緩和は、主として民間非銀行セクターから資産を買い入れるよう設計されており、日銀による量的緩和政策と異なるとしている。"&lt;/p&gt;
      &lt;/blockquote&gt;
      &lt;p&gt;上記引用に出てくるバーナンキとビーンの講演は以下。Yellen さんのは白塚さんの参考文献リストには載ってませんでした。バーナンキさんはアメリカ連邦準備制度の議長、ビーンさんはイングランド銀行の副総裁。&lt;/p&gt;
      &lt;ul style="list-style:none"&gt;
 &lt;li&gt;Ben Bernanke  &lt;a href="http://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/berake20090113a.htm"&gt;『The Crisis and the Policy Response,” Speech at the Stamp Lecture, London School of Economics, January 13』&lt;/a&gt;&lt;/li&gt;
 &lt;li&gt;Charles Bean &lt;a href="http://www.bankofengland.co.uk/publications/speeches/2009/speech405.pdf"&gt;『Quantitative Easing: An Interim Report,” Speech to the London Society of Chartered Accountants, October 13, 2009.』&lt;/a&gt;  (PDF直、116kb) &lt;/li&gt;
      &lt;/ul&gt;
&lt;/p&gt;

      &lt;p&gt;&lt;a id="note_13"&gt;訳注 13&lt;/a&gt;: 信用収縮...あとでしらべようっと。&lt;/p&gt;
      &lt;p&gt;&lt;a id="note_14"&gt;訳注 14&lt;/a&gt;: loan guarantee schemes. 具体的には、&lt;a href="http://www.businesslink.gov.uk/bdotg/action/gsdDetail?r.lc=en&amp;type=GSD&amp;searchQueryId=1021&amp;searchTerm=enterprise+finance+guarantee&amp;page=1&amp;itemId=1081834978&amp;searchId=3&amp;refpage=4"&gt;ビジネス・イノベーション省 (Department for Business, Innovation and Skills、BIS) の零細企業支援策&lt;/a&gt;。&lt;/p&gt;
      &lt;p&gt;&lt;a id="note_15"&gt;訳注 15&lt;/a&gt;: 「National Infrastructure Bank」 たぶんアメリカで提案されている制度のこと。&lt;/p&gt;
    &lt;/blockquote&gt;&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/4358023851694157304-7448546304500016941?l=randomcage.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://randomcage.blogspot.com/feeds/7448546304500016941/comments/default' title='Post Comments'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=4358023851694157304&amp;postID=7448546304500016941' title='0 Comments'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/4358023851694157304/posts/default/7448546304500016941'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/4358023851694157304/posts/default/7448546304500016941'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://randomcage.blogspot.com/2010/03/credit-where-its-due.html' title='抜粋: ガイルズ・ウィルケス: 『Credit where it&apos;s due: 量的緩和を実体経済のために』'/><author><name>soulcage</name><uri>http://www.blogger.com/profile/09004893170655174551</uri><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-4358023851694157304.post-8751681753383449979</id><published>2010-03-17T20:26:00.003+09:00</published><updated>2010-04-17T17:32:34.291+09:00</updated><title type='text'>FT誌: 気あいを入れずに化粧をかさねる日銀</title><content type='html'>&lt;p&gt;FT.com の「BoJ move to be more cosmetic than radical」 の訳です。原文は&lt;a href="http://www.ft.com/cms/s/0/3133ad04-3060-11df-bc4a-00144feabdc0.html"&gt;こちら&lt;/a&gt;。&lt;/p&gt;
    &lt;p&gt;...と訳していたら、&lt;a href="http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920000&amp;sid=ahDskEHcan0U"&gt;「日銀：新型オペを20兆円に拡大－特別支援オペ終了に対応(Update2)」&lt;/a&gt; from Bloomberg.co.jp (更新日時: 2010/03/17 13:25 JST) だそうで。&lt;/p&gt;
    &lt;p&gt;P.S. さっきトイレに行ったらヤモリ (小) がいました。この 10 数年ずっといるんですが、ちゃんと世代交代しているようです。5cm くらいのかわいいやつでしたよ。僕らの世代交代は、いったいどうなるんでしょうか orz...&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;2010/03/19 追記: "政府～電気会社" のあたりを訂正。東京電力の元副社長が日銀の審議委員になるようで。『過去のドラめもん』 を読んでいて判明。この場を借りて、ドラめもんさんに御礼おば。&lt;/p&gt;
    &lt;hr/&gt;

    &lt;p&gt;&lt;b&gt;2010年3月15日23時11分&lt;/b&gt;&lt;/p&gt;

    &lt;h2&gt;気あいを入れずに化粧をかさねる日銀&lt;/h2&gt;

    &lt;p&gt;&lt;b&gt;ロビン･ハーディング&lt;/b&gt;、東京発&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;日本銀行は今週の政策決定会合でトリッキーな決定をおこなった。しかし、その内容は金融政策ではなく、おもに景気見通しの調整についてのものだった。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;ウォッチャーの多くは日銀が金融政策をわずかにゆるめるだろうとみている。日銀の考えは、経済が弱りきってしまったわけでもないのに、デフレ対策として自分たちにできることは少ないというものだが、とにかくウォッチャーたちはそう予想している。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;ところが、変化を求める声に耳をかたむけると、むしろ政治家の怒りをなだめ (soothe)、市場をしずめ (placate)、消費者を「ゆくゆくは自分たちがデフレを打破しますよ」と説きふせる (persuade) ために、日本銀行が物価の下落を心配しているようにきこえてくる。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;東京にいる JPMorgan のエコノミスト、カンノ･マサアキは、「日銀から追加発表する可能性のほうが大きいでしょう、どちらかといえば。」と思っている。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;ゴールドマン･サックスのエコノミストも、限定的な緩和が"ありそうだ"と判断している。最近では、政府からも"もっと気あいを入れろ"との圧力が微妙に高まってきた。ノダ･ヨシヒコ財務副大臣は"適切かつ柔軟な政策"を期待していると述べ、日銀は"危機感"を持つよう求めてもいる。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;日銀の審議委員&lt;span style="text-decoration: line-through"&gt;政府&lt;/span&gt;には電力&lt;span style="text-decoration: line-through"&gt;電気&lt;/span&gt;会社の重役もいる。彼なら日銀の政策決定会合による緩和を支持するだろうし、その気持ちはエコノミストより強そうなものだ。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;このような状況だが、日本銀行は自分たちがデフレと闘うとは絶対に思われたくないようだ。これでは市場はがっかり、消費者もデフレが続くと思って自分の影におびえるようになりかねない。そうなれば日銀はもっと政治圧力を受けやすくなるだろう[&lt;a href="#note_1"&gt;1&lt;/a&gt;]。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;いっぽうで、日銀の政策決定会合には、日本経済の何が変わってしまったのか、そしてなぜもっと緩和したほうがよいのかを理解していない委員もいる。3月初めのロイター報道によると、「今のところ、1月の私の予想とくらべ、物価下落ペースに何か大きな変化があったようには見えない」、政策委員のノダ・タダオはそう述べたとある[&lt;a href="#note_2"&gt;2&lt;/a&gt;]。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;3月15日月曜日の発表では、日本政府でさえ景気は「わずかだが次第に上むいてきている」としている[&lt;a href="#note_3"&gt;3&lt;/a&gt;]。実際には 1月末の物価は 1年間で 1.3% も下落しているのに。政府がこんな認識なので、日本銀行が政策を変えたとしても、物価の回復不足を指摘されてしまうかもしれないとはいえる。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;&lt;a href="http://www.ft.com/cms/feb686a6-1b0d-11df-88fa-00144feab49a.html"&gt;日銀は国債を買って通貨を生みだすような積極策には反対&lt;/a&gt;で、政策はこけおどしなものになりそうだ。昨年 12月にはじめた 3ヶ月間で 10兆円 (1000億ドル、810億ユーロ、730億ポンド)、金利 0.1% の資金供給[&lt;a href="#note_4"&gt;4&lt;/a&gt;] を拡大するのが、彼らにとっては当然の選択であろう。しかし、無担保コールレート(オーバーナイト物) を 0.1% からさらにゼロに引きさげるなど、他にも選択肢はある[&lt;a href="#note_5"&gt;5&lt;/a&gt;]。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;日本銀行は 3ヶ月間の資金供給を 20兆円にまで増やしてもよいし、その返済期日を 3ヶ月から 6ヶ月にのばしてもよい[&lt;a href="#note_6"&gt;6&lt;/a&gt;]。中期金利とオーバー・ナイト金利を押しさげるのが目的である。これらの金利をさげ、安く借り入れができるようにして経済を刺激するのだ。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;しかしこのような政策には限界もある。3ヶ月や 6ヶ月の日本国債の金利 (利回り) はすでに 0.12 ～ 0.13% の低さになっているからだ[&lt;a href="#note_7"&gt;7&lt;/a&gt;]。&lt;/p&gt;

      &lt;p&gt;それに、これらの国債の金利を 0.1% にまでさげたとしても、その差はわずかだ。銀行からの融資がほしいという需要もまだ少ない。さらには、たとえ銀行が低い金利で安く資金調達できても、それを貸し出せる先がない可能性もある。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;このような政策が機能するのは、日銀が無担保コールレートを「より長いあいだ、かつより低く」してくれるはず、と市場が信じているあいだだ。もし市場がそう信じてくれれば、イールド・カーブ (利回り曲線) 全体を引きさげることができるはずである。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;欧米の金利が上がりはじめても、日本の金利が低いままなら円安になる。そうなれば輸出は有利になって、日本が輸出主導で回復する、より大きな起爆剤となってくれるだろう。&lt;/p&gt;

    &lt;blockquote style="font-size:98%;border-style:solid; border-width:1px 0px 1px 0px; margin:10px;padding:2px 10px"&gt;

      &lt;p&gt;&lt;a id="note_1"&gt;訳注 1&lt;/a&gt;: 日銀さん墓穴を掘ってるんじゃないの? というロビンさんの老婆心ですかね。&lt;/p&gt;
      &lt;p&gt;&lt;a id="note_2"&gt;訳注 2&lt;/a&gt;: 野田氏のセリフの部分の原文は、"I can't observe any moves now that would show much change in the pace of price falls from my forecast in January"。&lt;a href="http://special.reuters.co.jp/contents/boj/index_article.html?storyID=2010-03-04T164521Z_01_NOOTR_RTRMDNC_0_JAPAN-141847-1.xml"&gt;ロイターの記事&lt;/a&gt;には、"野田委員は、個人的見方として「1月に私が想定した物価下落幅について、ここにきて、大きいとか、小さいとかはっきり言うほどの動きは観察できていない」としたうえで「1月、2月の決定会合での政策運営方針を、現時点で何か変えなくてはいけないということは一切ない」と述べた。"とある。FTのこの記事は、ロイターの記事をふくらませただけな感じ。ロイターの記事でも文中に出てるターム物についてもふれているし。&lt;/p&gt;
      &lt;p&gt;&lt;a id="note_3"&gt;訳注 3&lt;/a&gt;: &lt;a href="http://www5.cao.go.jp/keizai3/2010/0315getsurei/main.pdf"&gt;『内閣府月例経済報告、平成22年3月』&lt;/a&gt; (PDF直リンク) より引用すると、「景気は、 着実に持ち直してきているが、 なお自律性は弱く、失業率が高水準にあるなど厳しい状況にある。」平成22年3月15日発表。←ふーん... そしてそれに対する日経の記事はこちらから (Google の検索結果) → &lt;a href="http://www.google.com/search?client=opera&amp;hs=08l&amp;rls=en-GB&amp;q=%E3%80%8C%E6%99%AF%E6%B0%97%E3%80%81%E7%9D%80%E5%AE%9F%E3%81%AB%E6%8C%81%E3%81%A1%E7%9B%B4%E3%81%97%E3%80%8D+%E6%9C%88%E4%BE%8B%E7%B5%8C%E6%B8%88%E5%A0%B1%E5%91%8A%E3%80%81%EF%BC%98%E3%82%AB%E6%9C%88%E3%81%B6%E3%82%8A%E4%B8%8A%E6%96%B9%E4%BF%AE%E6%AD%A3&amp;lr=&amp;hl=en&amp;aq=f&amp;aqi=&amp;aql=&amp;oq=&amp;gs_rfai="&gt;『「景気、着実に持ち直し」　月例経済報告、８カ月ぶり上方修正』&lt;/a&gt;&lt;/p&gt;
      &lt;p&gt;&lt;a id="note_4"&gt;訳注 4&lt;/a&gt;: 日銀より、12月2日付 &lt;a href="http://www.boj.or.jp/type/press/kaiken07/kk0912b.pdf"&gt;『総裁記者会見要旨』&lt;/a&gt; (PDF直リンク)&lt;/p&gt;
      &lt;p&gt;&lt;a id="note_5"&gt;訳注 5&lt;/a&gt;: 無担保コ－ルレートは日本銀行の政策金利。参考: &lt;a href="http://www.nomura.co.jp/terms/japan/mu/mutanpo_call_yoku.html"&gt;「無担保コールオーバーナイト物」&lt;/a&gt; by 野村證券など。ググってね。&lt;/p&gt;
      &lt;p&gt;&lt;a id="note_6"&gt;訳注 6&lt;/a&gt;: 参考: &lt;a href="http://www.findai.com/yogo/0033.htm"&gt;「コール市場」&lt;/a&gt; by 『よくわかる! 金融用語辞典』。&lt;a href="http://www.nochuri.co.jp/kinri/pdf/kinri01.pdf"&gt;『金利の変動要因』&lt;/a&gt; (PDF直リンク、拾っただけでまだ読んでない...)&lt;/p&gt;
      &lt;p&gt;&lt;a id="note_7"&gt;訳注 7&lt;/a&gt;: risk-free rate = 国債の金利とした。たぶん、&lt;a href="http://www.bloomberg.co.jp/markets/rates.html"&gt;ここ&lt;/a&gt;の「割引短期国債」の金利 (利回り) のこと。&lt;a href="http://rnavi.ndl.go.jp/research_guide/entry/theme-honbun-102604.php"&gt;「日本の金利について調べる」 by 国会図書館&lt;/a&gt; ← 勉強になりました...&lt;/p&gt;
    &lt;/blockquote&gt;&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/4358023851694157304-8751681753383449979?l=randomcage.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://randomcage.blogspot.com/feeds/8751681753383449979/comments/default' title='Post Comments'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=4358023851694157304&amp;postID=8751681753383449979' title='0 Comments'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/4358023851694157304/posts/default/8751681753383449979'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/4358023851694157304/posts/default/8751681753383449979'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://randomcage.blogspot.com/2010/03/blog-post.html' title='FT誌: 気あいを入れずに化粧をかさねる日銀'/><author><name>soulcage</name><uri>http://www.blogger.com/profile/09004893170655174551</uri><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-4358023851694157304.post-7625061173283060222</id><published>2010-03-05T03:31:00.003+09:00</published><updated>2010-03-06T19:49:37.031+09:00</updated><title type='text'>ブランシャールほか 『 マクロ経済政策再考』より 「I. はじめに」と「II. われわれが知っていると思っていたこと。」</title><content type='html'>&lt;p&gt;IMF の『&lt;a href="http://www.imf.org/external/pubs/ft/spn/2010/spn1003.pdf"&gt;Rethinking Macroeconomic Policy&lt;/a&gt;』(PDF直リンク,19頁,206KB) から「&lt;b&gt;II. What we thought we knew&lt;/b&gt;」 を抜粋して訳しました。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;まず感謝の言葉を。そもそものきっかけを頂いた田中秀臣さんと night_in_tunisia さんに。大変お待たせして恐縮です。そして、実際に同じペーパーの 「IV. Implications for the Design of Policy」 をすばやく訳出した矢野さん、同じ翻訳でも別の切り口でせまった飯田さんからは、記事を通して訳語や言いまわしのアイディアをいただきました。また Twitter でポイントを示してくれた hicksian さん、このペーパーをネタにやりとりしていた皆さんにも感謝。同じく参考にさせていただきました。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;以下に示した目次からわかるように、各章の A ～ F が対応しています。田中さんの『ベン･バーナンキ 世界経済の新皇帝』(講談社、2006年) とあわせて読むと幸せになれると思います。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;誤訳は僕の責任です。読んでいただければ分かるとおり経済学については初心者。そのため、傾向としては、かみ砕く過程で誤ることがありそう。それもまた僕の力不足。自己責任でご利用くださいませ。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;最後に、僕が「どひぇ～やっちまったべ...」と思っている時に、淡々と、いつものように「くだらないこと/くだること」を僕の TL に流してくれた数人の方々にとくに感謝したいと思います。今後もよろしく(笑)&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;以下に関連リンクを。&lt;/p&gt;

    &lt;ul&gt;
      &lt;li&gt;&lt;a href="http://www.imf.org/external/pubs/ft/spn/2010/spn1003.pdf"&gt;原文(PDF直リンク)&lt;/a&gt;&lt;/li&gt;
      &lt;li&gt;night_in_tunisia さんによる「III. What We Have Learned from the Crisis」の&lt;a href="http://mathdays.blog67.fc2.com/blog-entry-1024.html"&gt;翻訳&lt;/a&gt;。&lt;/li&gt;
      &lt;li&gt;night_in_tunisia さんによる Gauti B. Eggertsson 『Fiscal Multipliers and Policy Coordination』 の&lt;a href="http://mathdays.blog67.fc2.com/blog-entry-1021.html"&gt;部分訳&lt;/a&gt;。&lt;/li&gt;
      &lt;li&gt;矢野さんによる「IV. Implications for the Design of Policy」の訳。「&lt;a href="http://d.hatena.ne.jp/koiti_yano/20100215/p1"&gt;マクロ経済政策の再検討～より高いインフレ目標値の検討～&lt;/a&gt;」&lt;/li&gt;
      &lt;li&gt;飯田さん訳の 「&lt;a href="http://d.hatena.ne.jp/Yasuyuki-Iida/20100215#p2"&gt;勝手な解釈より本人の説明&lt;/a&gt;」(ブランシャールインタビュー)、&lt;a href="http://www.imf.org/external/pubs/ft/survey/so/2010/INT021210A.htm"&gt;その原文&lt;/a&gt;&lt;/li&gt;
      &lt;li&gt;VOXの縮約版&lt;a href="http://www.voxeu.org/index.php?q=node/4617"&gt;『Rethinking macro policy』&lt;/a&gt;&lt;/li&gt;
    &lt;/ul&gt;

   &lt;hr/&gt;

    &lt;h2&gt;マクロ経済政策再考&lt;/h2&gt;
    &lt;p&gt;&lt;b&gt;Olivier Blanchard, Giovanni Dell'Ariccia, and Paolo Mauro&lt;/b&gt;&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;マクロ経済学者や政策担当者は「Great Moderation」[&lt;a href="#note_1_1"&gt;1&lt;/a&gt;] によって安心し、自分たちはマクロ経済政策の使い方を知っているのだと思ってしまうことになった。今回の危機の発生によって、われわれが自分たちの考えを問い直さねばならないことははっきりしている。本稿において、われわれは危機以前のコンセンサスの主なポイントをふり返っている。われわれのどこが間違っていたのか、危機前の枠組みについての見解のうちどれがいまだに有効なのかを整理していく。そして最後に、今後のマクロ経済政策の新しい枠組みについて、その輪郭を描いてみることにする。&lt;/p&gt;

    &lt;h3&gt;Contents&lt;/h3&gt;

    &lt;ul style="list-style-type:none"&gt;
      &lt;li&gt;&lt;b&gt;I. Introduction&lt;/b&gt;&lt;/li&gt;
      &lt;li&gt;&lt;b&gt;II. What We Thought We Knew&lt;/b&gt;&lt;/li&gt;
      &lt;li&gt;&lt;ul style="list-style-type:none"&gt;
   &lt;li&gt;A. One Target: Stable Inflation&lt;/li&gt;
   &lt;li&gt;B. Low Inflation&lt;/li&gt;
   &lt;li&gt;C. One Instrument: The Policy Rate&lt;/li&gt;
   &lt;li&gt;D. A Limited Role for Fiscal Policy&lt;/li&gt;
   &lt;li&gt;E. Financial Regulation: Not a Macroeconomic Policy Tool&lt;/li&gt;
   &lt;li&gt;F. The Great Moderation&lt;/li&gt;
 &lt;/ul&gt;&lt;/li&gt;
      &lt;li&gt;&lt;b&gt;III. What We Have Learned from the Crisis&lt;/b&gt;&lt;/li&gt;
      &lt;li&gt;&lt;ul style="list-style-type:none"&gt;
   &lt;li&gt;A. Stable Inflation May Be Necessary, but Is Not Sufficient&lt;/li&gt;
   &lt;li&gt;B. Low Inflation Limits the Scope of Monetary Policy in Deflationary Recessions&lt;/li&gt;
   &lt;li&gt;C. Financial Intermediation Matters&lt;/li&gt;
   &lt;li&gt;D. Countercyclical Fiscal Policy Is an Important Tool&lt;/li&gt;
   &lt;li&gt;E. Regulation Is Not Macroeconomically Neutral&lt;/li&gt;
   &lt;li&gt;F. Reinterpreting the Great Moderation&lt;/li&gt;
 &lt;/ul&gt;&lt;/li&gt;
      &lt;li&gt;&lt;b&gt;IV. Implications for the Design of Policy&lt;/b&gt;&lt;/li&gt;
      &lt;li&gt;&lt;ul style="list-style-type:none"&gt;
   &lt;li&gt;A. Should the Inflation Target Be Raised?&lt;/li&gt;
   &lt;li&gt;B. Combining Monetary and Regulatory Policy&lt;/li&gt;
   &lt;li&gt;C. Inflation Targeting and Foreign Exchange Intervention&lt;/li&gt;
   &lt;li&gt;D. Providing Liquidity More Broadly&lt;/li&gt;
   &lt;li&gt;E. Creating More Fiscal Space in Good Times&lt;/li&gt;
   &lt;li&gt;F. Designing Better Automatic Fiscal Stabilizers&lt;/li&gt;
 &lt;/ul&gt;&lt;/li&gt;
      &lt;li&gt;&lt;b&gt;V. Conclusions&lt;/b&gt;&lt;/li&gt;
      &lt;li&gt;&lt;br/&gt;&lt;/li&gt;
      &lt;li&gt;&lt;b&gt;References&lt;/b&gt;&lt;/li&gt;
    &lt;/ul&gt;
    &lt;p&gt;&lt;br/&gt;&lt;/p&gt;
    &lt;hr/&gt;

    &lt;h3&gt;I. はじめに&lt;/h3&gt;

    &lt;p&gt;1980 年代初め以降、景気の循環的な変動[&lt;a href="#note_1_2"&gt;2&lt;/a&gt;] が穏やかになっている。そのため、マクロ経済学者や政策立案者たちは、ついつい自分たちがそれに大きく貢献していると考えてしまいがちだったし、自分たちはマクロ経済政策をどう行なえばよいかわかっていると結論づけてしまいそうにもなった。われわれはその誘惑を否定はしない。いずれにせよ、今回の危機によって、われわれがそのような自己評価に疑問を持たざるを得なくなっているのは明らかなのだ。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;その疑問がまさに本稿のテーマである。3 段階に分けて論じていこう。まずはじめに、「自分たちにはわかっている」とわれわれが思っていたことについて。次に、それのどこが間違っていたか。最後に、3 つのうちで最も不確かな、新しいマクロ経済政策の枠組みの青写真について論じてみよう。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;本論に入る前にまず注意点を。本稿は一般原則に焦点をあわせて論じている。これらの原則を特定の政策アドバイスとして翻訳し、先進国や新興国、そして開発途上国むけに仕立てていくのは今後の課題だ。また、本稿は今回の危機による幾つかの大きな問題にはほとんどふれていない。国際通貨制度の成りたち[&lt;a href="#note_1_3"&gt;3&lt;/a&gt;] や金融規制とその監督のしくみ全体などがそれだ。これらについては本稿で取りあげる課題に直接関わる範囲でふれるにとどめた。&lt;/p&gt;


    &lt;h3&gt;II. われわれが知っていると思っていたこと。&lt;/h3&gt;

    &lt;p&gt;まず全体を簡単に描き出してみよう (より細かな差異については後述する)。: 通貨政策の目標はインフレーションで、そのツールが政策金利というように、われわれは単純化して考えていた。インフレが安定している限り産出量ギャップは小幅で安定し、その状況では通貨政策がうまく機能するだろうと見込んでいたのだ。一方で、財政政策は政治的にかなり制限のある本来の有用性を発揮できない補助的なもの、金融規制にいたってはマクロ経済政策の枠外のものとしてしまっていた。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;正直なところ、このような見方は研究者に多かった。政策当局者はもっと実際的な人たちである。しかしともかく、政策は多くの人の合意にしたがって立案されていたし、制度設計にしてもそれは同じだった。そこで重要な役割を果たしていたのは人々のコンセンサスである。そして、われわれは上に述べたような考えを徐々に増幅させ、変調させていくことになる。&lt;/p&gt;

    &lt;h4&gt;A. ひとつの目標: 安定したインフレーション&lt;/h4&gt;

    &lt;p&gt;中央銀行の使命に反しない範囲で、低率かつ安定したインフレが一番の目標にすえられた。これはひとつには、経済活動よりインフレを重視したいという中央銀行幹部の世間体[&lt;a href="#note_2_4"&gt;4&lt;/a&gt;]の問題だった (当初、彼らは 1970 年代の高いインフレ率を下げたいと望んでもいたのだ)。そして同時に、専門家がニュー･ケインジアンモデルによるインフレ目標政策を支持していたことにもよる。標準的なニュー･ケインジアンモデルによると、インフレの継続は実によい政策なのだ。このモデルでは、インフレを継続させて産出量ギャップをゼロに近づければ、不完全な市場で行なわれる経済活動の産出をもっともうまく引き出せる[&lt;a href="#note_2_5"&gt;5&lt;/a&gt;]ことになっている。産出量ギャップとは、名目硬直性がないときにみられる産出レベルからとの差として定義されるものだ (Blanchard and Gali, 2007) [&lt;a href="#note_2_6"&gt;6&lt;/a&gt;] 。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;中央銀行が自らへの信任を重視し、インフレ目標政策はニュー･ケインジアンモデルによって裏づけられていた。このふたつのめぐり合わせは天啓だ (そう呼ばれてもいる)。しかし、それが暗示していたのは、たとえ政策当局が十分経済活動に配慮しても、可能なのは、せいぜい安定したインフレの維持くらいだということ。経済が「アニマル･スピリッツ」に影響されていようが、消費者の選択にショックを与えるような出来事や衝撃的な技術革新に影響されようが、はたまた原油価格の変化に影響されようが、政策はこのふたつに照らしあわせて考えられることになった。市場がより不完全になり標準的な状況から離れるにつれ、この組みあわせによる政策はうまく行かなくなった。しかし、そこにあったメッセージだけは残った。それがつまり、安定したインフレ状態はそれ自体には問題がなく[&lt;a href="#note_2_7"&gt;7&lt;/a&gt;] 、経済活動にとってもよいものなのだというメッセージである。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;しかし、実際に中央銀行が行なったことをみればこのような言い方は言いすぎだろう。インフレだけを気にする中央銀行などほとんどなかったと言ってよい。中央銀行の多くは「柔軟なインフレ目標」を採用していたのである。使われていたインフレの安定目標は、その数字を何が何でも守るというものではなく、インフレ率をあるレベル以上に維持する際の基準として扱われるものだった。多くの中央銀行は、原油価格高騰などによる参照インフレ値[&lt;a href="#note_2_8"&gt;8&lt;/a&gt;] の変動を考慮していたし、インフレ予想が大きくぶれないよう備えてもいたのである。&lt;/p&gt;

    &lt;h4&gt;B. 穏やかなインフレーション[&lt;a href="#note_2_9"&gt;9&lt;/a&gt;] &lt;/h4&gt;

    &lt;p&gt;やがて、インフレーションは安定すべきだけでなく、値もかなり低くあるべきだというコンセンサスが広まった (多くの中央銀行が選んだ数字は 2% 近辺だった。Romer and Romer, 2002.) 。同時に、流動性の罠におちいる可能性があるのに低いインフレ率を採用するのはいかがなものか、という議論もおきた。平均インフレ率を低くすると、短期名目金利の平均も低くなる[&lt;a href="#note_2_10"&gt;10&lt;/a&gt;] 。そして、名目金利がゼロに近くなれば、金利の下がる余地はだんだん減っていく。金利にそれ以上下がる余地があまりなくなっていくということだ。これはつまり、景気の足を引っぱる出来事がおきても、通貨政策を使ってインフレをおこす余地が小さくなってしまうということでもある。これが流動性の罠と呼ばれるものだ[&lt;a href="#note_2_11"&gt;11&lt;/a&gt;] 。ところが低いインフレ率の危険性は小さいとみなされた。これは次のような論理による[&lt;a href="#note_2_12"&gt;12&lt;/a&gt;] 。いま仮に、中央銀行がマネーの名目成長率を高く保つと確約できたとする。つまり、中央銀行が将来的にインフレ率を高めると宣言し、それにしたがってきちんと手を打つことを信用してもらえたらどうなるだろうか。この場合、中央銀行は将来的にインフレ率が上がりそうだという人々の予想を高められる。人々のインフレ予想が高まれば将来の実質金利は下がるので、現在の経済活動を活性化できることになる (Eggertsson and Woodford, 2003.)。経済に大きなショックがなければ、2% のインフレ率は緩衝材として十分そうだし、名目金利がゼロより低くなれない問題[&lt;a href="#note_2_13"&gt;13&lt;/a&gt;] を気にしなくてもよさそうに思われた。こうして、中央銀行のコミットメントの重要性と彼らが人々のインフレ予想に働きかける能力は特に重視されるようになったのである。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;「大恐慌」の際におきた流動性の罠では、激しいデフレーションと低い名目金利が結びついていた。それは歴史上のお話のように思えたし、今なら避けられる類の政策の誤りのせいでもあった。われわれの行く手には、'90年代の日本のデフレやゼロ金利、長びく景気低迷が不穏な感じで立ちふさがっていた。しかしその日本の状況は、日本の中央銀行が将来のマネーの成長やインフレ率にコミットする能力に欠けていたか、もしくは彼らがそうしたがらなかったのが問題で、その上さらに他の面の改善が遅れがあわさっただけだ。(公平を期すためにつけ加えるなら、アメリカ連邦準備銀行も 2000 年代初頭には日本銀行同様デフレのリスクを心配していたし、彼らが日本の経験に学んだのも確かである。Bernanke, Reinhart, and Sack, 2004. 参照。) [&lt;a href="#note_2_14"&gt;14&lt;/a&gt;] [&lt;a href="#note_2_15"&gt;15&lt;/a&gt;] &lt;/p&gt;

    &lt;h4&gt;C. ひとつの政策ツール: The 政策金利&lt;/h4&gt;

    &lt;p&gt;通貨政策はだんだんひとつの政策ツールを集中して使うようになった。政策金利、つまり中央銀行がしかるべき公開市場操作によって直接コントロールできる短期金利がそれである。中央銀行がこの政策ツールを選んだ背景には仮定がふたつあった。ひとつめは、通貨政策の実際の効果は金利と資産価格を通じてあらわれ、通貨供給量に直接影響を与えることによってではまったくないのだという点 (例外は、欧州中央銀行の「ふたつの柱」政策だ[&lt;a href="#note_2_16"&gt;16&lt;/a&gt;] 。欧州中銀は経済に存在する信用の量に直接注目している。この政策は十分な理論的根拠がない、と馬鹿にされることも多いのだが)。ふたつめの仮定は、金利と資産価格はすべて裁定取引[&lt;a href="#note_2_17"&gt;17&lt;/a&gt;] によってリンクしているというもの。そのため、長期金利は適切に重みづけされたリスク調整済みの将来の平均短期金利によって、資産価格はファンダメンタルズ － リスク調整され割引かれた現在の資産価格 － によって決まることになる [&lt;a href="#note_2_18"&gt;18&lt;/a&gt;] 。&lt;/p&gt;
    &lt;p&gt;この仮定にしたがうなら、通貨政策は現在と将来の短期金利の予想に影響を与えるだけでよいことになる。他の金利や価格はすべてそれについてくるからだ。そしてそれを実施するには、暗示的･明示的に、透明性があって予測可能なルールを使えばよい (そのため、透明性や予測可能性がこの20年間の通貨政策のメインテーマだった)。例えば、アメリカ連邦準備銀行の政策を説明するテイラー･ルールでは、現状の経済環境の関数によって政策金利を計算している [&lt;a href="#note_2_19"&gt;19&lt;/a&gt;]。短期･長期両方の社債市場のように、一度にひとつ以上の市場に介入しようとすると、重複してしまったり矛盾してしまったりするものなのである。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;これらの仮定がなりたっていると、金融の仲介活動のこまごまとした部分はほとんど重要でなくなってしまう。しかし銀行 (特に商業銀行) は例外で、ふたつの点で特殊だとされた。まず 1 点目 － これは通貨政策の運営からというより理論的な文献においてだが － は、銀行の信用は特殊で他のタイプの信用で置き換えられないように思えた。これによって「信用経路 (信用チャンネル) [&lt;a href="#note_2_20"&gt;20&lt;/a&gt;] 」の重要性が浮き彫りになった。信用経路という考えのもとでは、通貨政策は準備金の量から銀行の信用を通じて経済に影響を与える。銀行の特殊性の 2 点目は流動性の置き換えにかかわっていた。当座預金は銀行の負債として、融資は銀行の資産として捉えることができる。したがって、これらは取りつけ騒ぎ [&lt;a href="#note_2_21"&gt;21&lt;/a&gt;] の問題をはらんでもいる。そのため、政府による預金の保証や、中央銀行の昔からの最後の貸し手としての役割が十分な根拠を持つことになった。こうして、銀行に対する規制や監督を正当化するような政策決定上のゆがみが生じた。結果として、マクロ経済レベルでみた金融システムの残りの部分には、あまり注意が払われなくなってしまったのである。&lt;/p&gt;

    &lt;h4&gt;D. 財政政策の役割の限界&lt;/h4&gt;

    &lt;p&gt;「大恐慌」の後遺症やケインズの影響によって、財政政策は － おそらく代表的な －マクロ経済政策のツールだと考えられてきた。1960年代から1970年代には財政政策と通貨政策の序列はほぼ同じだった。このふたつのツールはそれぞれ －内向きと外向きのバランスという － 別々の目標を目指しているだけのようにみえた。しかし、この 20 年間は財政政策が通貨政策のカゲにかくれてしまっていた。それにはたくさんの理由がある。まず、財政政策の効果に広く疑念が持たれていたこと。リカードの中立命題がその根拠だった [&lt;a href="#note_2_22"&gt;22&lt;/a&gt;] 。2 つめは、もし通貨政策によって安定した産出量ギャップを保てるなら、財政政策のような他の政策ツールを使う必要はあまりないのではないかということ。この文脈では、財政政策を使って景気循環を調整しなくてもよくなったのは、金融市場が発展して通貨政策がよく効くようになってきたからかもしれないということになる。3 番目は、先進国が優先するのは、財政赤字を安定させ、できるかぎりそれを減らすことだということ。先進国は多額の財政赤字を抱えているのが普通だ。新興国ではどうかというと、新興国では国内社債市場がまだ未発達で、景気循環を押しとどめるような政策 [&lt;a href="#note_2_23"&gt;23&lt;/a&gt;] の余地がどうしても小さくなってしまうのである。4 番目はタイムラグの問題。財政政策を立案してから実施するまでにはタイムラグがある。短期の景気後退に対して財政的な対策をとっても、手遅れになる可能性があるのだ。最後の 5 番目の理由は、財政政策というものは金融政策よりずっと政治的な制限を受けやすいというものだ。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;自由裁量な財政政策を、景気循環にブレーキをかけるための政策ツールとして用いることへの拒否感は、とくに専門家のあいだで強かった。しかし、通貨政策と同じで、この言い方は実際に適用された政策をうまく表してはいなかったろう。例えば、1990 年代初頭の危機的状況で日本が財政政策を使ったように、政府の財政出動は深刻な経済ショックに対しては一般的だった。それに、政策当局は「通常の景気後退」期においてさえ、自由裁量な財政刺激策に頼りがちなのものである。このような当局のスタンスは、新興国市場でも － 実践的には分かりにくくはなるものの － 原則的には望ましいものと思われていた。新興国市場では自動安定化機構が未発達だからである。しかし、経済の急成長期に激しい財政慎重論が唱えられることからもわかるように、新興国市場にとってさえ、中期的な政策方針についてのコンセンサスは、自動安定化機能を強化し、自由裁量な財政出動を遠ざけておくことだったのである。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;こうして、政策当局の関心の第 1 は財政赤字をいつまで維持できるかということと、それを実現する財政的なルールはどのようなものか、ということに絞られた。先進国の政策当局は、長期的視野に立って、せまりくる高齢化問題が財政にあたえる影響を考えねばならなかった。一方、新興国が注目したのは債務危機の可能性を減らすこと、そして景気循環を促進してしまう財政政策 [&lt;a href="#note_2_24"&gt;24&lt;/a&gt;] を抑制できるような制度を用意することであった。新興国はこうしてバブル発生とその破裂というサイクルを避けようとしたのである。自動安定化機構はなすがまま － あくまでそれを融資できるような国々にとってはということだが － であったし、それは財政の持続性とも矛盾しなかったのである。実際、国家経済が発展して政府支出が GDP に占める割合が増えるにつれ (ワグナーの法則)、自動安定化機構の役割も大きくなった。矛盾するようだが、従来の安定化機構も受容できるものとされ、どちらがよりよい仕組みなのかについてはあまり注意が払われなかった。&lt;/p&gt;

    &lt;h4&gt;E. 金融規制: マクロ経済政策の政策ツールではないもの。&lt;/h4&gt;

    &lt;p&gt;C の第 3 パラグラフで述べたように、金融仲介業のマクロ経済の中心としての性質が軽視され、金融規制や監督においては個々の企業や市場が重視された。さらに、個々の企業や市場がマクロ経済レベルでどう関わりあっているかもほとんど無視されてしまっており、金融規制は各企業の健全性や市場の失敗を正すことを目標に定められた。市場の失敗は情報の非対称性や有限責任の存在、また直接･間接の政府保証のような不完全さによって発生する現象だ。先進国はシステム内の密接な関係やマクロ経済レベルでの関係を無視してしまったのだ。しかし、新興国にはこれが当てはまらない国もあった。そのような国では、為替の変動に制限が設けられるなど、マクロ経済の安定のためにプルーデンシャルな[&lt;a href="#note_2_25"&gt;25&lt;/a&gt;] ルールが定められていた (このような国では、為替の変動だけでなく外貨建ての融資が完全に禁止されることもあった)。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;自己資本比率や融資比率 [&lt;a href="#note_2_26"&gt;26&lt;/a&gt;] の規制は、循環要因をコントロールする政策ツールとしては、あまり考慮されなかった (注目すべき例外はスペインとコロンビアで、事実上、この 2 ヶ国は信用の成長にしたがって準備金 (引当金) を変化させていた。Caruana 2005 参照)。金融規制の自由化の波が押し寄せていたが、循環要因をコントロールする目的でプルーデンシャルなルールを使うのは、信用市場の機能に関わるため不適切だと考えられた。&lt;/p&gt;

    &lt;h4&gt;F. The Great Moderation - 長く平穏な時代 -&lt;/h4&gt;

    &lt;p&gt;こうして築かれたマクロレベルの枠組みは首尾一貫しており、しだいに信任も厚くなっていった。これが「Great Moderation」によって強化されていたのは間違いない。「Great Moderation」とは、先進国のほとんどで GDP やインフレ率の変化がしだいに小さくなる現象が見られる時期のことである。ただ、この現象が始まったのはもっと前で 1970年代だけが違ったとみるべきなのか、それとも本当に 1980年代初めの通貨政策の変更ではじまった現象なのかは、まだどちらとも言えない (Blanchard and Simon 2001、Stock and Watson 2002 参照)。他にも曖昧な点はある。「Great Moderation」期に見られる変動幅の減少が、たまたま経済的なショックが小さかったせいによるのがどれくらいで、構造改革の影響はどれくらいなのか、さらには政策改善の影響はどれくらいなのかが、よくわかっていないのだ。在庫管理システムの改善やたまたまおきた急速な生産性の成長、そして中国とインドの世界貿易への参入[&lt;a href="#note_2_27"&gt;27&lt;/a&gt;] が何らかの影響を与えていると思われる。とはいうものの、先進国でみられた現象は 1970 年代と 2000 年代の原油価格高騰によく似ており、「Great Moderation」が政策改善によるものだという説を裏づけている。また、「Great Moderation」がインフレ予想とより緊密に連動しているというデータも存在する。これらを根拠に、経済へのショックの緩和に政策改善が重要な役割を果たしたと考え、それは中央銀行がより明確なシグナルを出して行動してきたせいだと考えてもおかしくはない。さらに、中央銀行は 1987 年の株式市場崩壊や LTCM の破綻、IT バブル [&lt;a href="#note_2_28"&gt;28&lt;/a&gt;] の破裂をうまく処理した。これらによって、通貨政策は資産バブル崩壊が金融に与える影響もうまく扱えるのだという見方が補強されてきたといえる。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;こうして 2000 年代中盤まで、もっとよいマクロ経済政策が実施できると考える理由は特になかった。そして実際、経済をさらに安定させるような政策も実施されなかった。そこに今回の危機がやってきたのである。&lt;/p&gt;

    &lt;blockquote style="font-size:80%;border-style:solid; border-width:1px 0px 1px 0px; margin:10px;padding:2px 10px"&gt;
      &lt;p&gt;&lt;a id="note_1_1"&gt;訳注 1&lt;/a&gt;: 1980年代初初頭から現在までの GDP やインフレ率の変動幅が小さくなっている時代。詳細は下記参照。VOX は短編。後者は「Great Moderation」の名づけ親さんたちの論文(48頁)。&lt;/p&gt;
      &lt;ul style="list-style:none"&gt;
 &lt;li&gt;Olivier Coibion, Yuriy Gorodnichenko 『Does the Great Recession really mean the end of the Great Moderation?』 VOX 16 January 2010.&lt;/li&gt;
 &lt;li&gt;James H. Stock, Mark W. Watson 『Has the Business Cycle Changed?  Evidence and Explanations』 August 2003.&lt;/li&gt;
      &lt;/ul&gt;
      &lt;p&gt;&lt;a id="note_1_2"&gt;訳注 2&lt;/a&gt;: cyclical fluctuations&lt;/p&gt;
      &lt;p&gt;&lt;a id="note_1_3"&gt;訳注 3&lt;/a&gt;: the organization of the international monetary system&lt;/p&gt;
      &lt;p&gt;&lt;a id="note_2_4"&gt;訳注 4&lt;/a&gt;: reputational need (of central bankers). (中央銀行幹部の) 信用、信頼性のほうがふさわしいかも。&lt;/p&gt;
      &lt;p&gt;&lt;a id="note_2_5"&gt;訳注 5&lt;/a&gt;: the best possible outcome. ニュー・ケインジアンモデルについては、田中秀臣『ベン･バーナンキ 世界経済の新皇帝』 (講談社 2006. 以下、田中 2006 と略記) p.91あたりなど。&lt;/p&gt;
      &lt;p&gt;&lt;a id="note_2_6"&gt;訳注 6&lt;/a&gt;: 田中 2006. pp.88 - 90.&lt;/p&gt;
      &lt;p&gt;&lt;a id="note_2_7"&gt;訳注 7&lt;/a&gt;: "...inflation is good in itself" good = 「問題のないもの」とした。&lt;/p&gt;
      &lt;p&gt;&lt;a id="note_2_8"&gt;訳注 8&lt;/a&gt;: headline inflation.&lt;/p&gt;
      &lt;p&gt;&lt;a id="note_2_9"&gt;訳注 9&lt;/a&gt;: Low Inflation. いわゆる「マイルドインフレ」のことかな。&lt;/p&gt;
      &lt;p&gt;&lt;a id="note_2_10"&gt;訳注 10&lt;/a&gt;: このあたりはフィッシャー効果 (名目金利=実質金利+期待インフレ率) が念頭にあるのだろう。&lt;/p&gt;

      &lt;p&gt;&lt;a id="note_2_11"&gt;訳注 11&lt;/a&gt;: 「流動性の罠」についてもっと詳しく知りたければ、山形さんによるクルーグマンの『Japan's Trap』の邦訳、『&lt;a href="http://cruel.org/krugman/japtrapj.html"&gt;日本がはまった罠&lt;/a&gt;』 や『FURTHER NOTES ON JAPAN'S LIQUIDITY TRAP』の訳、『&lt;a href="http://cruel.org/krugman/liquid-j.html"&gt;日本の流動性トラップについて：追記&lt;/a&gt;』を参照。&lt;/p&gt;
      &lt;p&gt;&lt;a id="note_2_12"&gt;訳注 12&lt;/a&gt;: formal argument. 以下に、ブランシャールのインタビューから同じ内容を言いかえた部分を訳しておく。&lt;/p&gt;
      &lt;blockquote&gt;
 &lt;p&gt;&lt;b&gt;IMF survey online&lt;/b&gt;: Central banks have chosen low inflation targets, around 2 percent. In your paper, you argue that maybe we should revisit this target. Why? &lt;/p&gt;
 &lt;p&gt;&lt;b&gt;IMF サーベイ･オンライン&lt;/b&gt;: 中央銀行は 2% 近辺の低いインフレ率を採用しています。今回の論文で、ブランシャールさんはこの値を考え直すべきかもしれないとおっしゃっています。その理由を教えてください。&lt;/p&gt;
 &lt;p&gt;&lt;b&gt;Blanchard&lt;/b&gt;: The crisis has shown that interest rates can actually hit the zero level, and when this happens it is a severe constraint on monetary policy that ties your hands during times of trouble.&lt;/p&gt;
 &lt;p&gt;&lt;b&gt;ブランシャール&lt;/b&gt;: 今回の危機によって、金利が底を打ち、実際にゼロになってしまいかねないことが分かりました。こうなってしまうと、通貨政策が厳しく制限され、問題が起きている時に打つ手がなくなってしまいます。&lt;/p&gt;
 &lt;p&gt;As a matter of logic, higher average inflation and thus higher average nominal interest rates before the crisis would have given more room for monetary policy to be eased during the crisis and would have resulted in less deterioration of fiscal positions. What we need to think about now if whether this could justify setting a higher inflation target in the future.&lt;/p&gt;
 &lt;p&gt;論理的に言うと、もし危機前の平均インフレ率が高く、したがって名目金利の平均も高かったなら、通貨政策を使って今回の危機を緩和する余地はもっとあったでしょう。また、財政状況 (finacial position) の悪化もそうひどくはならなかったでしょう。今、考えなければならないのは、このような話が、今後の目標インフレ率引き上げの十分な根拠になるかどうかです。&lt;/p&gt;
      &lt;/blockquote&gt;

      &lt;p&gt;&lt;a id="note_2_13"&gt;訳注 13&lt;/a&gt;: the zero lower bound. いわゆる「名目金利の非負制約」。&lt;/p&gt;
      &lt;p&gt;&lt;a id="note_2_14"&gt;訳注 14&lt;/a&gt;: つまり、日銀と FRB はともにデフレのリスクに直面し、日本は失敗したものの、その経験は FRB によって活かされた...ということ。だから OK ってわけでは全然ないのは、僕らが一番よく知っているはず。&lt;/p&gt;
      &lt;p&gt;&lt;a id="note_2_15"&gt;訳注 15&lt;/a&gt;: 2000年代初頭の FRB については、田中 2006. p. 85 あたり参照。&lt;/p&gt;
      &lt;p&gt;&lt;a id="note_2_16"&gt;訳注 16&lt;/a&gt;: "two-pillar" policy of ECB. &lt;/p&gt;
      &lt;p&gt;&lt;a id="note_2_17"&gt;訳注 17&lt;/a&gt;: arbitrage. &lt;/p&gt;
      &lt;p&gt;&lt;a id="note_2_18"&gt;訳注 18&lt;/a&gt;: 原文は「So that long rates were given by proper weighted averages of risk-adjusted future short rates, and asset prices by fundamentals, the risk-adjusted present discounted value of payments on the asset.」&lt;/p&gt;
      &lt;p&gt;&lt;a id="note_2_19"&gt;訳注 19&lt;/a&gt;: テイラー･ルールは実際の FRB の行動から導きだされた関係で、必ずしも FRB がこれに拘束されているわけではないことに注意。その最も古典的な形は「産出量ギャップ=潜在産出量-現実の産出量・潜在産出量」で表せるとのこと。田中 2006. p.80、pp.162-165 参照。&lt;/p&gt;
      &lt;p&gt;&lt;a id="note_2_20"&gt;訳注 20&lt;/a&gt;: credit channel.&lt;/p&gt;
      &lt;p&gt;&lt;a id="note_2_21"&gt;訳注 21&lt;/a&gt;: 銀行の信用に対する不安の問題。詳しくはググって頂戴。&lt;/p&gt;
      &lt;p&gt;&lt;a id="note_2_22"&gt;訳注 22&lt;/a&gt;: 原文は「first was wide skepticism about the effects of fiscal policy, itself largely based on Ricardian equivalence arguments.」&lt;/p&gt;
      &lt;p&gt;&lt;a id="note_2_23"&gt;訳注 23&lt;/a&gt;: countercyclical policy tool. 反循環的な政策ツール。&lt;/p&gt;
      &lt;p&gt;&lt;a id="note_2_24"&gt;訳注 24&lt;/a&gt;: procyclic/procyclical fiscal policy. 「順景気循環的な財政政策」。もともと存在する景気循環をさらに後押しするような効果のある財政政策。参考: あずさ監査法人 http://www.azusa.or.jp/b_info/keyword/pro-cyclicality.html 具体的にはどのようなものが想定できるだろう? &lt;/p&gt;
      &lt;p&gt;&lt;a id="note_2_25"&gt;訳注 25&lt;/a&gt;: prudential.  研究社リーダーズには、「慎重な、細心な; 分別のある、万全を期する。(商取引などで) 自由裁量の権限をもつ」とある。&lt;/p&gt;
      &lt;p&gt;&lt;a id="note_2_26"&gt;訳注 26&lt;/a&gt;: loan-to-value raitio.&lt;/p&gt;
      &lt;p&gt;&lt;a id="note_2_27"&gt;訳注 27&lt;/a&gt;: the trade integration of China and India.&lt;/p&gt;
      &lt;p&gt;&lt;a id="note_2_28"&gt;訳注 28&lt;/a&gt;: Long-Term Capital Management. ヘッジファンド。原文では「the tech bubble」だが、たぶん 1987 年頃の IT バブルのこと。&lt;/p&gt;
      &lt;p&gt;&lt;a id="note_2_27"&gt;訳注 &lt;/a&gt;: &lt;/p&gt;
   &lt;/blockquote&gt;

   &lt;h3&gt;参考文献&lt;/h3&gt;
      &lt;ul style="list-style:none"&gt;
 &lt;li&gt;Bank of England, 2009, "The Role of Macroprudential Policy," Discussion Paper, November.&lt;/li&gt;
 &lt;li&gt;Baunsgaard, Thomas, and Steven A. Symansky, 2009, "Automatic Fiscal Stabilizers," IMF Staff Position Note SPN/09/23.&lt;/li&gt;
 &lt;li&gt;Bernanke, Ben, Vincent Reinhart, and Brian Sack, 2004 "Monetary Policy Alternatives at the Zero Bound: An Empirical Assessment," Brookings Papers on Economic Activity, No. 2, pp. 1-100&lt;/li&gt;
 &lt;li&gt;Blanchard, Olivier, and Jordi Gali, 2007, "Real Wage Rigidities and the New Keynesian Model," Journal of Money, Credit, and Banking, Vol. 39, No. 1, Supplement, pp. 36-65.&lt;/li&gt;
 &lt;li&gt;Blanchard, Olivier, and John Simon, 2001, "The Long and Large Decline in U.S. Output Volatility," Brookings Papers on Economic Activity, No. 1, pp. 135-64.&lt;/li&gt;
 &lt;li&gt;Caruana, Jaime, 2005, "Monetary Policy, Financial Stability, and Asset Prices," Documentos Ocasionales No. 0507, Banco de Espa‰a.&lt;/li&gt;
 &lt;li&gt;Eggertsson, Gauti, and Michael Woodford, 2003, "The Zero Bound on Interest Rates and Optimal Monetary Policy," Brookings Papers on Economic Activity, No. 1, pp. 139-233.&lt;/li&gt;
 &lt;li&gt;Elmendorf, Doug, 2009, "Implementation Lags of Fiscal Policy," presentation at the FAD/RES Conference on Fiscal Policy, June.&lt;/li&gt;
 &lt;li&gt;------, and Jason Furman, 2008, "If, When, How: A Primer on Fiscal Stimulus," The Brookings Institution.&lt;/li&gt;
 &lt;li&gt;Feldstein, Martin, 2007, "How to Avert a Recession," The Wall Street Journal, December 5.&lt;/li&gt;
 &lt;li&gt;Holmstrom, Bengt, and Jean Tirole, 2008, "Inside and Outside Liquidity" unpublished manuscript.&lt;/li&gt;
 &lt;li&gt;Mishkin, Frederic, 2008, "Challenges for Inflation Targeting in Emerging Market Countries," Emerging Markets Finance and Trade, Vol. 44, No. 6, pp. 5-16.&lt;/li&gt;
 &lt;li&gt;Musgrave, Richard A., 1959, The Theory of Public Finance (New York: McGraw-Hill).&lt;/li&gt;
 &lt;li&gt;Phillips, A.W., 1954, "Stabilization Policy in a Closed Economy," Economic Journal, Vol. 64, pp. 290-323.&lt;/li&gt;
 &lt;li&gt;Romer, David, and Christina Romer, 2002, "The Evolution of Economic Understanding and Postwar Stabilization Policy," in Rethinking Stabilization Policy, Federal Reserve Bank of Kansas City.&lt;/li&gt;
 &lt;li&gt;------, 2007, "The Macroeconomic Effects of Tax Changes: Estimates Based on a New Measure of Fiscal Shocks," University of California, Berkeley.&lt;/li&gt;
 &lt;li&gt;Seidman, Laurance, 2003, Automatic Fiscal Policies to Combat Recessions, M.E. Sharpe, New York.&lt;/li&gt;
 &lt;li&gt;Stock, James, and Mark Watson, 2002, "Has the Business Cycle Changed and Why?" in NBER Macroeconomics Annual, ed. by M. Gertler and K. Rogoff, Cambridge: National Bureau of Economic Research.&lt;/li&gt;
 &lt;li&gt;Williams, John, 2009, "Heeding Daedalus: Optimal Inflation and the Zero Lower Bound," Brookings Papers on Economic Activity, forthcoming.&lt;/li&gt;
      &lt;/ul&gt;&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/4358023851694157304-7625061173283060222?l=randomcage.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://randomcage.blogspot.com/feeds/7625061173283060222/comments/default' title='Post Comments'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=4358023851694157304&amp;postID=7625061173283060222' title='0 Comments'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/4358023851694157304/posts/default/7625061173283060222'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/4358023851694157304/posts/default/7625061173283060222'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://randomcage.blogspot.com/2010/03/i-ii.html' title='ブランシャールほか 『 マクロ経済政策再考』より 「I. はじめに」と「II. われわれが知っていると思っていたこと。」'/><author><name>soulcage</name><uri>http://www.blogger.com/profile/09004893170655174551</uri><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-4358023851694157304.post-6729992145909811771</id><published>2010-02-15T13:51:00.001+09:00</published><updated>2010-02-15T13:52:07.623+09:00</updated><title type='text'>抜粋: ブランシャールほか 『 マクロ経済政策再考』より 「I. はじめに」</title><content type='html'>&lt;p&gt;いやぁどじっちゃいました。あとで辞書をひいたら「曲解」の意味を適当に理解してたんですね。朝っぱらから TL 汚してすみませんでした → 各位。というわけで、IMF の『&lt;a href="http://www.imf.org/external/pubs/ft/spn/2010/spn1003.pdf"&gt;Rethinking Macroeconomic Policy&lt;/a&gt;』(PDF直リンク,19頁,206KB) から「I. Introduction」のみ抜粋です。ちびちびで申し訳ないけど、かぶるのも嫌なのでご容赦を。&lt;/p&gt;
    &lt;hr/&gt;

    &lt;h2&gt;抜粋: マクロ経済政策再考&lt;/h2&gt;
    &lt;p&gt;&lt;b&gt;Olivier Blanchard, Giovanni Dell'Ariccia, and Paolo Mauro&lt;/b&gt;&lt;/p&gt;

    &lt;h3&gt;I. はじめに&lt;/h3&gt;

    &lt;p&gt;1980 年代初め以降、景気の循環的な変動[&lt;a href="#note_1"&gt;1&lt;/a&gt;]が緩やかになっている。マクロ経済学者や政策立案者たちは、ついつい自分たちがそれに大きく貢献していると考えてしまいがちだったし、自分たちはマクロ経済政策をどう行なえばよいかわかっていると結論づけてしまいそうにもなった。われわれはその誘惑に耐えられなかったのだ。しかし今回の危機によって、われわれがそのような自己評価に疑問を持たざるを得なくなっているのはあきらかである。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;まさにそれが本稿でやろうとしていることである。3 段階に分けて論じていこう。まずはじめに「自分たちにはわかっている」とわれわれが思っていることについて。次に、それのどこが間違っていたかについて。そして最後に、3 つのうちで最も不確かなこと、すなわち新しいマクロ経済政策の枠組みの青写真について論ずることにする。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;本論に入る前にまず注意点を。本稿は一般原則に焦点をあわせて論じている。これらの原則を特定の政策アドバイスとしてどのように翻訳し、先進国や新興国、そして開発途上国むけに仕立てていくかは今後の課題となる。また、本稿は今回の危機によってもちあがった幾つかの大きな問題についてもほとんどふれていない。国際通貨制度の成りたち[&lt;a href="#note_2"&gt;2&lt;/a&gt;]や金融規制とその監督のしくみ全体などがそれにあたる。これらについては本稿で取りあげる課題に直接関わる範囲でふれるに留めた。&lt;/p&gt;

    &lt;blockquote style="font-size:80%;border-style:solid; border-width:1px 0px 1px 0px; margin:10px;padding:2px 10px"&gt;
      &lt;p&gt;&lt;a id="note_1"&gt;訳注1&lt;/a&gt;: cyclical fluctuations&lt;/p&gt;
      &lt;p&gt;&lt;a id="note_2"&gt;訳注2&lt;/a&gt;: the organization of the international monetary system&lt;/p&gt;
    &lt;/blockquote&gt;&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/4358023851694157304-6729992145909811771?l=randomcage.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://randomcage.blogspot.com/feeds/6729992145909811771/comments/default' title='Post Comments'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=4358023851694157304&amp;postID=6729992145909811771' title='0 Comments'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/4358023851694157304/posts/default/6729992145909811771'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/4358023851694157304/posts/default/6729992145909811771'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://randomcage.blogspot.com/2010/02/tl-imf-rethinking-macroeconomic-policy.html' title='抜粋: ブランシャールほか 『 マクロ経済政策再考』より 「I. はじめに」'/><author><name>soulcage</name><uri>http://www.blogger.com/profile/09004893170655174551</uri><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-4358023851694157304.post-4589817281156182697</id><published>2010-02-15T08:54:00.001+09:00</published><updated>2010-02-15T13:53:01.159+09:00</updated><title type='text'>抜粋: ブランシャールほか 『 マクロ経済政策再考』より 「V. 結論」</title><content type='html'>&lt;p&gt;Twitter で話題になっている IMF の『&lt;a href="http://www.imf.org/external/pubs/ft/spn/2010/spn1003.pdf"&gt;Rethinking Macroeconomic Policy&lt;/a&gt;』(PDF直リンク,19頁,206KB) から「&lt;b&gt;V. Conclusion&lt;/b&gt;」のみ抜粋。&lt;span style="text-decoration:line-through"&gt;4% 云々が話題ですが「自動安定化装置」が本題だと思うな。&lt;/span&gt;参考文献にも載っている BoE のワーキングペーパー同様、もっと議論しようぜということだと思います。&lt;span style="text-decoration:line-through"&gt;ブランシャールさんに釣られたんじゃないの～(笑)&lt;/span&gt; 田中先生ありがとうございます。つぶやき、勉強になります。この場をかりて感謝 m(_ _)m&lt;/p&gt;


&lt;p&gt;お詫びと訂正: 上記取り消し線部分、僕の&lt;a href="http://twitter.com/tmpsoulcage/status/9108350334"&gt;Twitter 上における同様の発言&lt;/a&gt;について、田中先生から「読み違いである」との厳しいご指摘をいただいたので訂正しました。リンク先の発言にある「曲解」という言葉についても、不用意な発言と考え取り消させていただきます。Twitter での引用を含め、田中先生にご迷惑をおかけしたことをこの場を借りてお詫びします。2010年2月15日8:44&lt;/p&gt;

   &lt;hr/&gt;
&lt;h2&gt;抜粋: マクロ経済政策再考&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;&lt;b&gt;Olivier Blanchard, Giovanni Dell'Ariccia, and Paolo Mauro&lt;/b&gt;&lt;/p&gt;

    &lt;h3&gt;V. 結論&lt;/h3&gt;

    &lt;p&gt;今回の危機はマクロ経済政策が引きおこしたものではなかった。しかしながら、危機によって従来の政策枠組みの欠点が露呈し、政策当局者は危機のさなかに新しい政策を探し求めざるを得なくなったし、われわれとて今後のマクロ経済政策の構成について考えさせられているような状況である。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;様々な理由から、全体としての政策枠組みに変更を加えるべきではない。その枠組みの究極の目標は、これまで同様 GDP ギャップ[&lt;a href="#note_1"&gt;1&lt;/a&gt;]とインフレーションを安定させることであるべきだ。とはいうものの、今回の危機のおかげで、GDP の内訳や資産価格の動向、異なる金融主体の資産構成[&lt;a href="#note_2"&gt;2&lt;/a&gt;]など、政策当局には監視せねばならない指標が多いのがはっきりしたし、彼らが自由に使える政策ツールについても、危機以前よりずっとたくさんありそうなことが明らかになってきた。これらの政策ツールの一番効果的な使い方を学ぶことが課題である。従来の通貨政策[&lt;a href="#note_3"&gt;3&lt;/a&gt;]と規制ツールをどう組みあわせるか、また財政政策上よりよい自動安定化装置とはどんなものなのかが、今後のもっとも有望な取り組みである。われわれはこれらのテーマについてさらに探っていかねばならない。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;最後になるが、今回の危機はわれわれがいつも意識してきた教訓を補強してくれたし、危機を経験することでその教訓をさらに深く心に刻むことにもなった。平時に財政赤字の規模が小さければ、必要な時に大胆で効果的な政策をとる余地ができる。われわれの経済システムをうまく機能させるには、規制に細心の注意を払い[&lt;a href="#note_4"&gt;4&lt;/a&gt;]、通貨･金融･財政上のデータをわかりやすくかつ入手し易くして[&lt;a href="#note_5"&gt;5&lt;/a&gt;]、うまく手はずを整えておくことが必要不可欠である。われわれに課されているのは、今回の危機の経験を利用して創意あふれる新政策を考えだすことだけではない。ここで述べたような教訓から生じる困難だが必要な政策の修正や改革において、一般国民の助けとなっていくこともまた、われわれの仕事なのである。&lt;/p&gt;

    &lt;blockquote style="font-size:80%;border-style:solid; border-width:1px 0px 1px 0px; margin:10px;padding:2px 10px"&gt;
      &lt;p&gt;&lt;a id="note_1"&gt;訳注1&lt;/a&gt;: output gap&lt;/p&gt;
      &lt;p&gt;&lt;a id="note_2"&gt;訳注2&lt;/a&gt;: the leverage of different agents&lt;/p&gt;
      &lt;p&gt;&lt;a id="note_3"&gt;訳注3&lt;/a&gt;: traditional monetary policy&lt;/p&gt;
      &lt;p&gt;&lt;a id="note_4"&gt;訳注4&lt;/a&gt;: prudential regulation&lt;/p&gt;
      &lt;p&gt;&lt;a id="note_5"&gt;訳注5&lt;/a&gt;: transparent data in ...&lt;/p&gt;
    &lt;/blockquote&gt;&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/4358023851694157304-4589817281156182697?l=randomcage.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://randomcage.blogspot.com/feeds/4589817281156182697/comments/default' title='Post Comments'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=4358023851694157304&amp;postID=4589817281156182697' title='0 Comments'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/4358023851694157304/posts/default/4589817281156182697'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/4358023851694157304/posts/default/4589817281156182697'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://randomcage.blogspot.com/2010/02/blog-post_15.html' title='抜粋: ブランシャールほか 『 マクロ経済政策再考』より 「V. 結論」'/><author><name>soulcage</name><uri>http://www.blogger.com/profile/09004893170655174551</uri><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-4358023851694157304.post-303516062894909773</id><published>2010-02-14T00:23:00.000+09:00</published><updated>2010-02-14T00:23:49.697+09:00</updated><title type='text'>抜粋: ピーター･テミン「大不況は再び起きうるだろうか?」</title><content type='html'>&lt;p&gt;天から降ってきたのではなく、地から沸いてきたテミンさんの 1993 年論文の一部を訳しました。「&lt;a href="http://ideas.repec.org/a/aea/jecper/v7y1993i2p87-102.html"&gt;Journal of Economic Perspectives Volume 7, Number 2 Spring 1993 pp.87-102. Peter Temin "Transmission of the Great Depression"&lt;/a&gt;」 の pp.99-100 の翻訳です。まいどお世話になりますです(業務連絡w)。&lt;/p&gt;
    &lt;p&gt;1993 年とちょっと古い話で、ここで述べられている"危機"は 1992年の欧州通貨危機です。ヨーロッパはマーストリヒト条約でごたごたしていましたし、まだユーロにもなっていません。話題になっている通貨制度は「欧州通貨制度(European Monetary System)」で、当時は原則的に為替レートの変動幅が年 ±2.25% 以内とされていたそうです。1992 年 9月 17日、イギリスは欧州通貨制度を脱退。&lt;a href="http://ja.wikipedia.org/wiki/ポンド危機"&gt;ポンド危機&lt;/a&gt;あたりを参照してみてください。&lt;/p&gt;
    &lt;p&gt;テミンさんの邦訳が読みにくく、でもやだやだ言っててもしかたがない...で、いただきものの翻訳に逃避してみました(笑)&lt;/p&gt;
   &lt;hr/&gt;
 
    &lt;h2&gt;「大不況」は再び起きうるだろうか?&lt;/h2&gt;

    &lt;p&gt;「大不況」は、為替レートの固定以上に、金本位制度という政策枠組みへのこだわりによって世界中に拡大した。われわれが再び時代遅れのイデオロギーに執着し、世界経済をぶちこわしてしまうことはあり得るだろうか?&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;1992 年 9月におきたヨーロッパ通貨危機は、この文脈では好ましいニュースであったといえる。通貨危機というマクロ経済的ショックに直面したヨーロッパ各国の政府は、教条主義的 (訳注: ドグマティズム、コチコチに頭の硬い) にではなく柔軟に対応したのである。最優先すべきは通貨危機のショックを回避することであったと言えよう。万一これが達成できなかった場合、次善の策は 欧州通貨制度 (European Monetary System) が命じている変動幅の小さい為替レートを一時停止することであった。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;1992 年の通貨危機は、東西ドイツが統一されたことと、そのドイツ国内でコール首相 (訳注: 旧西ドイツ首相) が増税に足踏みした (もしくは彼にはそもそも増税できなかった) こと、のふたつがあわさっておきた。歴史家は東ドイツ再建にかかるコストが選挙前 (訳注: 1990年の選挙、東ドイツでもおこなわれた) にわかっていたかどうか論じあうだろうが、統一前にはわからなくとも、きっと選挙後すぐそのコストは明らかになったはずだ。マクロ経済的にみて、統一ドイツにとっての最善の選択は、一時的に増税し、それを旧東ドイツへの投資に使うことであった。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;コール首相は借金によって旧東ドイツへの投資を融資することにし、これとは別の道を選んだ。マクロ経済的にみると、かなりの財政拡大政策を非常にタイトな金融政策が押さえ込んでいるというのが統一ドイツであった。このように設定された政策によって、ドイツはヨーロッパ経済と欧州通貨制度に大きな衝撃を与えることになったのである。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;しかしながら、ヨーロッパを襲ったこのショックは真新しいものではない。 1980 年代のアメリカもレーガン政権下でまったく同じ政策をとっていた(Blanchard, 1987)。財政拡大政策 － 東ドイツ再建にくらべれば、アメリカのそれはまっとうな目的には欠けるが － とタイトな金融政策との組みあわせは、多額の資本流入をまねくような政策であり、結果としてドル高をもたらすものでもある。数年後、ドイツは同じ政策をとったわけだが、それはアメリカのものと同じ効果があるはずだった。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;ドルは他の通貨に固定されてはいないし、マルクにしてもそれは同じだ。しかし、欧州通貨制度がヨーロッパの他の通貨に対するマルクの上昇を許さなかった。その結果、まわりの国々に大きな圧力がかかって、ヨーロッパ各国は政策金利を上げて自国の通貨を守らねばならなくなり、 (見当違いな) ブンデスバンクへの激しい非難が巻きおこったのである。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;この緊張によって、1992 年 9 月にフランスでおこなわれたマーストリヒト条約批准を決める国民投票があやうくなったのである (訳注: 結果はほぼ半々の僅差だった)。1930 年代初頭と同じで、欧州通貨制度による為替レート固定へのこだわりがマクロ経済的ショックをヨーロッパ全域に広めてしまう恐れがあったのだ。ところが、フィンランド･イタリア･イギリス政府は、戦間期の為政者たちとは違って、自国経済が深刻な影響を受ける前に欧州通貨制度を破棄したのである。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;この通貨危機がヨーロッパの通貨体制にどう影響するかを判断するのはまだ早い。しかし、抽象的な理想への奴隷的な盲従や固執ではなく、柔軟さと創意にあふれた対応が予想できる。新しい均衡状態が訪れるまで、投機行為がおきたり不安定になったりするかもしれない。しかしそれでも、「大不況」が示唆するのは、新体制構築にともなう痛みは従来の体制にしがみつこうとしてこうむる痛みに比べれば小さいだろうということだ。かつて金本位制に遅くまでしがみついた国の多く(訳注: "the gold bloc"、フランス･ポーランド･ベルギーなどかな?) は、(少なくともしばらくは) 欧州通貨制度を維持しようとしている。これらの国々が 1930 年代中頃のような経済収縮を再現してしまう運命にあるかどうかは、時間が経ってみないとわからない。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;「大不況」がまわりの国々へと伝わっていく様子は、現在のわれわれに次のような教訓を残してくれている。マクロ経済的ショックを避けるのが一番の方法だというのがそれだ。しかし、そのショックに遭遇してしまったなら、次善の策は為替レートを固定している縛りを一旦解くか棄てるかすることである。「大不況」の初期、各国は為替レートの固定によって結びついていたのだから。そのマクロ経済的なショックが 欧州通貨制度のような枠組みを放棄せねばならないくらい強くて大きなものだったら? 政府と中央銀行はどれくらい早く反応すべきか? これらについては、歴史をつかさどる女神クレイオーも沈黙を守ったままだ。「あまり待ちすぎないように」としか彼女は言っていない。ラルフ･ホートレイ(訳注: 1879-1975、イギリスの経済学者でケインズの友人) は、1931年のポンド切り下げ後、イングランド銀行がインフレと闘うために金利を上げた時、「それは間違っとる。それは"ノアの洪水のさなかに火事だ火事だと叫ぶようなもの"だ」と言っているのだが(Hawtrey 1938, p.145)。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;■ コメントをくれたベン･バーナンキとエルハナン･ヘルプマンに感謝したい。誤りがあれば、もちろんすべて私の責任である。&lt;/p&gt;&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/4358023851694157304-303516062894909773?l=randomcage.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://randomcage.blogspot.com/feeds/303516062894909773/comments/default' title='Post Comments'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=4358023851694157304&amp;postID=303516062894909773' title='0 Comments'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/4358023851694157304/posts/default/303516062894909773'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/4358023851694157304/posts/default/303516062894909773'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://randomcage.blogspot.com/2010/02/blog-post_14.html' title='抜粋: ピーター･テミン「大不況は再び起きうるだろうか?」'/><author><name>soulcage</name><uri>http://www.blogger.com/profile/09004893170655174551</uri><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-4358023851694157304.post-3346179753935747278</id><published>2010-02-10T14:33:00.006+09:00</published><updated>2010-02-10T14:45:01.558+09:00</updated><title type='text'>バラバラな援助: 国際援助の断片化はなぜ問題なんだろうか?</title><content type='html'>&lt;p&gt;VOX のコラムの翻訳です。この話題って、これまでに誰か考えたことがなかったのかな? まさかね... 実際に市場メカニズムを組みこむのが、色々と面倒なのかもしれない。&lt;/p&gt;
    &lt;p&gt;色々やった方がよいんだろうけど、僕らの税金も、彼らの時間も限られてるわけで。ともかく有効活用しませう。&lt;/p&gt;
    &lt;p&gt;原文は &lt;a href="http://www.voxeu.org/index.php?q=node/4497"&gt;「Crushed aid: Why is fragmentation a problem for international aid?」&lt;/a&gt;です。&lt;/p&gt;
   &lt;hr/&gt;

    &lt;h2&gt;バラバラな援助: 国際援助の断片化はなぜ問題なんだろうか?&lt;/h2&gt;
    &lt;p&gt;&lt;b&gt;Emmanuel Frot と Javier Santiso&lt;/b&gt;&lt;br/&gt;18 January 2010&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;ドナー&lt;a href="#note_1"&gt;[1]&lt;/a&gt;によって提供される援助がどんどん細切れになり、援助を受けとる国々の多くにとってそれが重荷になっています。私たちがこのコラムで主張したいのは、援助が細切れになりすぎたのが問題なのではなく、援助を提供する側に競争が少なすぎることが問題なのだということです。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;国家間の開発援助 (ODA、official development assistance) は急速に発展してきました。100年前はドナーが数えるほどしかなく、補助金を受けとれる国もわずかでした。しかしそれ以降、援助活動は驚くほどの勢いで広まってきています。新しいドナーが登場し、途上国も次々とそれらの国と協力関係を結ぶようになりました。さらに、昔は受け入れ先だった途上国が、今日では援助を提供する側にまわるようになっています。援助される側から援助する側になった国々は、ブラジル･中国･ロシア･サウジアラビア･ベネズエラなど多くはないものの、これによって援助拡大の流れはますます勢いを増しています。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;このように援助業界の舞台にあがる役者が増え、援助の分配され方も大きくさま変わりしました。今の援助はてんでバラバラ。つまり、細切れになった(少額の)案件が、多くのドナーからたくさん提供されるという風です(Deutscher and Fyson 2009)。このような援助の断片化は、今ドナーが優先的にとり組みたいと思っている問題です。これまでのところ、ドナー側は調整や分業で援助の断片化を防ごうとしています。この課題は OECD の『援助の効果に関するパリ宣言、およびアクラ行動計画』&lt;a href="#note_2"&gt;[2]&lt;/a&gt;でもはっきりと示されており、OECD 開発援助委員会 (DAC 委員会、Development Assistant Committee &lt;a href="#note_3"&gt;[3]&lt;/a&gt;) が断片化の状況を熱心にモニタリングしています。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;援助の断片化は緊急課題だと考えられています。なぜかというと、援助の受け手にかかる断片化のコストが、援助の効果を著しく低下させるくらい大きいからです。援助にはドナーが設定した目的や必要条件があまりに多く、事業に関わってくるコンサルタントもたくさんいます。援助の受け手はこのような状況に対応しなければならず、これが負担になって援助の価値が著しく減ってしまうのです。このような作業には相当数の人手が必要で、援助を受けるような国々には管理運営にたずさわる能力のある人が少ないのも普通です。それに、彼ら(のように有能な人たち)はどこか他で働いたほうが国のためにもなるでしょう。これから、私たちの最近の研究成果 (Frot and Santiso 2008, Frot 2009, Frot and Santiso 2010) を使って、問題の広がりや深まりをざっと見てみようと思います。そうすることで援助の断片化についての議論に一石を投じたいのです。&lt;/p&gt;

    &lt;blockquote style="font-size:80%;border-style:solid; border-width:1px 0px 1px 0px; margin:10px;padding:2px 10px"&gt;
      &lt;p&gt;訳注:&lt;/p&gt;
      &lt;p&gt;&lt;a id="note_1"&gt;[1]&lt;/a&gt; 援助を提供する国･国際機関･民間の非営利組織など。このコラムは OECD のデータを使っているので「政府」に限られる(はず)。詳細は Frot, Emmanuel and Javier Santiso (2010), "Crushed Aid: Fragmentation in Sectoral Aid", OECD Development Centre, Working Paper, No. 284. 参照のこと。&lt;/p&gt;
      &lt;p&gt;&lt;a id="note_2"&gt;[2]&lt;/a&gt; 原文は"2005 The Paris Declaration on Aid Effectiveness and the 2008 Accra Agenda for Action"。前者は外務省では「援助効果向上に関するパリ宣言」と呼ばれている。パリ宣言には国際協力銀行による&lt;a href="http://www.oecd.org/dataoecd/12/48/36477834.pdf"&gt;邦訳&lt;/a&gt;があるが、アクラ行動計画の邦訳は見つからない。"2008 Accra Agenda for Action"の原文は&lt;a href="http://www.oecd.org/dataoecd/11/41/34428351.pdf"&gt;『The Paris Declaration on Aid Effectiveness and the Accra Agenda for Action』&lt;/a&gt;に収録されている。&lt;/p&gt;
      &lt;p&gt;&lt;a id="note_3"&gt;[3]&lt;/a&gt;  OECD の開発援助委員会のメンバーは 24ヶ国。オーストラリア、オーストリア、ベルギー、カナダ、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、アイルランド、イタリア、日本、韓国、ルクセンブルグ、オランダ、ニュージーランド、ノルウェイ、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、スイス、イギリス、アメリカ、欧州委員会。出典: OECD &lt;a href="http://www.oecd.org/faq/0,3433,en_2649_33721_1798258_1_1_1_1,00.html"&gt;「DAC FAQ」&lt;/a&gt;&lt;/p&gt;
    &lt;/blockquote&gt;
    &lt;p&gt;&lt;br/&gt;&lt;/p&gt;

    &lt;h3&gt;援助はどれくらいバラバラなんだろうか?&lt;/h3&gt;

    &lt;p&gt;援助の断片化についての数字はかなり刺激的です。援助の分配ががらっと変わってしまった様子をつかむため、ふたつの簡単なグラフでこの40年間の変遷を見てみましょう。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;図 1 ではそれぞれのドナーが提供した援助の数を数えてみました。すべてのドナーについて援助の数を数え、ドナー全体の平均値をとって点でおとし、線でつないだグラフです。上の線は私たちが使ったデータに含まれていた開発途上国の総数。つまり、それぞれの年にドナーが援助できる国の上限です。1960 年代のドナーは平均 50ヶ国に援助していました。2006 年にはその数が 100ヶ国以上に増えていることがわかります。もっとも大きなドナーに限って言うと、最近の援助の数は途上国の総数に匹敵するほど多くなっているのが実情です。しかし、このグラフは平均値を使っているため、そのような特定のドナーがどのように援助を分配しているかまではわかりません。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;ドナーがより多くの国を援助するようになったため、開発途上国がますます多くのドナーから援助をもらうようになったのは明らかです。1960年には途上国 1ヶ国あたり平均 2つのドナーからしか援助を受けていませんでした。これが 2006年になると平均 28 以上にまで増えているのです。それを示したのが図 2 です。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;&lt;img src="http://www.voxeu.org/sites/default/files/image/santiso%20fig%201(1).jpg" alt="Figure 1"/&gt;&lt;br/&gt;&lt;b&gt;図1. ドナー 1ヶ国あたりの援助関係の平均 (1960年-2007年)&lt;/b&gt;&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;&lt;img src="http://www.voxeu.org/sites/default/files/image/santiso%20fig%202(1).jpg" alt="Figure 2"/&gt;&lt;br/&gt;&lt;b&gt;図2. 援助の受け手 1ヶ国あたりのドナーの数の平均 (1960年-2006年)&lt;/b&gt;&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;&lt;br/&gt;&lt;/p&gt;

    &lt;h3&gt;援助の断片化の進行状況。&lt;/h3&gt;

    &lt;p&gt;援助の断片化が意味しているのは、単にドナーやその相手国の数が増えたということだけではありません。現状の援助の多くは少額で、普通その管理コストは途上国が格安で負担しています。図 3 はそれぞれのドナーの相手国の数&lt;a href="#note_4"&gt;[4]&lt;/a&gt;を数えてその平均値を計算したもの、そこに含まれる援助のうち「緊密な援助関係」に該当するものの平均です。DAC 委員会の断片化の定義では、「ある途上国がもらっている援助総額において、あるドナーからの援助額が占める割合」が「そのドナーが実施している援助の総額が世界全体での援助総額に占める割合」より少なければ、「緊密な援助関係」ではないとされています。&lt;a href="#note_5"&gt;[5]&lt;/a&gt;&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;&lt;img src="http://www.voxeu.org/sites/default/files/image/santiso%20fig%203.jpg" alt="Figure 3."/&gt;&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;図 3 を見ると、ドナーが援助している国の数と「緊密な援助関係」の総数とのギャップが開いてきているのがわかります。これが断片化の進行です。図 3 の上の線はドナーが相手国をどんどん増やしているのを示しています。それにも関わらず、図 3 の下の線が示しているように「緊密な援助関係」の数はほとんど増えていません。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;典型的な場合だと、ドナーの援助予算総額の 80%以上が「緊密な援助関係」に費やされます。「緊密な援助関係」は相手国の総数に比べれば少ないにも関わらず、そのような状況になっているのです。同様に、ある途上国が受けとる援助総額の 80%以上が「緊密な援助関係」にあるドナーからのお金です。ドナーはこれまで相手国を大幅に増やしてきました。たとえそれによって、相対的に少額の援助しか受けられない国々が出てきたとしても、ドナーはそうすることを選んできたということになります。&lt;/p&gt;

    &lt;blockquote style="font-size:80%;border-style:solid; border-width:1px 0px 1px 0px; margin:10px;padding:2px 10px"&gt;
      &lt;p&gt;訳注:&lt;/p&gt;
      &lt;p&gt;&lt;a id="note_4"&gt;[4]&lt;/a&gt; 原文は "the average donor portfolio size"。ドナーの「事業数」の平均かもしれない。上の線が図 1 のものとなぜ微妙に違っているのかは不明。&lt;/p&gt;
      &lt;p&gt;&lt;a id="note_5"&gt;[5]&lt;/a&gt; OECD の「緊密な援助関係」の定義については「&lt;a href="#omake"&gt;訳者によるおまけ&lt;/a&gt;」参照。&lt;/p&gt;
    &lt;/blockquote&gt;

    &lt;p&gt;&lt;br/&gt;&lt;/p&gt;

    &lt;h3&gt;もう少し掘りすすめてみる: 断片化はセクターで起きているのだ。&lt;/h3&gt;

    &lt;p&gt;ここまでは援助の断片化を国レベルで見てきました。しかし、そこからは断片化の概要しかわかりません。もし DAC 委員会がアドバイスしているように、分業によって断片化を確実に防げるなら、どの部分を補完してやれば断片化を減らせるのでしょうか。それを理解するには、断片化をもっと詳しく見てみる必要があります。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;2010年、私たちはセクターごとに断片化の分析を行って、「Crushed Aid: Fragmentation in Sectoral Aid」という論文を書きました。その結果、どのセクターでも断片化が起きていて、その度合いも深まっていることがわかりました。断片化がもっとも激しかったのは社会インフラセクター&lt;a href="#note_6"&gt;[6]&lt;/a&gt;で、このセクターでは断片化がさら進みそうでした。このセクターが他と違う理由は次のふたつです。&lt;/p&gt;

    &lt;ol&gt;
      &lt;li&gt;まず、農業･工業･エネルギー関連から社会インフラセクターへと援助項目ががらりと移ってきたこと。社会インフラセクターは今ではかなりの数の援助を獲得する分野になっています。&lt;/li&gt;
      &lt;li&gt;通常、社会インフラセクターは投資額が少なくてすむ分野で、他より断片化の影響を受けやすい分野であること。&lt;/li&gt;
    &lt;/ol&gt;

    &lt;p&gt;このように、数を増やしやすい小規模プロジェクトが好まれてきたことも、断片化を生む原因になっているのです。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;セクターごとの分析からは、ひとつの国の国内の断片化でさえ複雑な現象なのだということもわかりました。他が断片化していなくとも、社会インフラセクターだけ断片化が激しいのはよくあることなのです。ある国の状況を他の国々にも当てはめるのは難しいと言ってよいでしょう。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;こういう事情があったので、私たちは各セクターの断片化がひと目で分かるよう、クモの巣グラフ&lt;a href="#note_7"&gt;[7]&lt;/a&gt;を使うことを提案しています。これで国どうしの比較が楽になります。この図を比べれば、どの国のどのセクターが一番断片化の影響を受けているかが見えてくるでしょう。&lt;/p&gt;

    &lt;blockquote style="font-size:80%;border-style:solid; border-width:1px 0px 1px 0px; margin:10px;padding:2px 10px"&gt;
      &lt;p&gt;訳注:&lt;/p&gt;
      &lt;p&gt;&lt;a id="note_6"&gt;[6]&lt;/a&gt; 原文は "social sectors"。教育･保健･政府関連のことかと。&lt;/p&gt;
      &lt;p&gt;&lt;a id="note_7"&gt;[7]&lt;/a&gt; レーダー･チャート。あの6角形や星形のグラフ。&lt;/p&gt;
    &lt;/blockquote&gt;

    &lt;p&gt;&lt;br/&gt;&lt;/p&gt;

    &lt;h3&gt;断片化を他の切り口で見てみる。&lt;/h3&gt;

    &lt;p&gt;援助に関わる国々がふつう議論するのは断片化の激しさです。ドナーが多すぎるという議論もよくあります。しかしながら、世界には、援助を提供してくれるドナーがほんの数えるほどしかいない国がたくさんあります。そのため、断片化の度合いが小さくなりすぎて、援助をもらえない国が出てきても&lt;a href="#note_8"&gt;[8]&lt;/a&gt;困ります。この問題をより的確に言いあわらすなら、ドナーどうしの競争が少なすぎるのが問題だということです。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;2007年、ある国では一度に 2000件もの事業が同時進行していました。その一方で、ひとつのセクターあたりの事業数の中央値は 19件、平均では 44件になっていました。この数字を見た私たちは、ある特定のドナーがこの国の援助関係を独占しているのではないかと考えました。そして、そのような状況にある開発途上国を見分ける指標をつくることにしたのです。特定のドナーが相手国国内でたくさんのセクターに資金提供しようとすると上の数字のような状況になるのです。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;これまでの断片化の研究では、たったひとつの優勢なドナーが得をするのだとするのがふつうでした(例えば、Knack and Rahman 2007)。文献に目をとおしたかぎりだと、データや観察にもとづいた研究も同じような見方をしています。ところが、このように競争がない状況では、私たちの身近な市場のどれもがそうであるように、援助にかかる費用は増えてしまうものなのです。つまり、援助にかかる費用は、(市場原理で決まったものではないので) 実は適切な価格ではないのです。ところが、援助に関する文献をみても、その解決策として挙げられているのは「非競争的な」手段なのです。文献に出てくるのは、例えば、ひもつき援助だとか、外部から影響を与えるだとか、高価なコンサルタントを雇うなどといったものです。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;援助「市場」には供給する側が欠けている、という指摘は奇妙ですね。経済学では、ほぼどんな市場でも、競争があったほうがうまくいくことがはっきりしているのですから。けれど、援助業界にはドナーがたくさんいるにも関わらず、競争によって援助の価格が決まるという風にはなっていません。それどころか、援助のコストがかさんだり管理運営上の手続きが増えたりといったことのほうがふつうです。先ほど、相手国を独り占めするような援助を行なっているドナーがいることに触れました。援助を独り占めすると、競争がないせいで、ただでさえ膨れあがっている費用がさらに値上がりするのはあきらかです。しかし、独占的な援助というかたちをとることがコスト削減につながるならば、という理由で好まれているようなのです。&lt;/p&gt;

    &lt;blockquote style="font-size:80%;border-style:solid; border-width:1px 0px 1px 0px; margin:10px;padding:2px 10px"&gt;
      &lt;p&gt;訳注:&lt;/p&gt;
      &lt;p&gt;&lt;a id="note_8"&gt;[8]&lt;/a&gt; 援助が分配されるセクターが少なく、援助の幅が狭いこと。&lt;/p&gt;
    &lt;/blockquote&gt;

    &lt;p&gt;&lt;br/&gt;&lt;/p&gt;

    &lt;!-- What to do about a lack of competition? --&gt;
    &lt;h3&gt;競争の欠如にどう対処しようか?&lt;/h3&gt;

    &lt;p&gt;私たちの意見はシンプルで、援助の断片化問題の核心は「競争がほとんどないこと」なのだということを示しています。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;数え切れないほど多くのドナーが独占状態にあって、競争の恩恵に授かることのないまま、ただコストを倍増させています。ドナーたちが断片化をなくそうと懸命に努力している状況には、そんな裏があるのです。現在とられている方法は、ドナーと相手国が国際会議で約束を交わし、国や組織レベルで断片化を防ごうというものです。約束が守られているかを監視するのは、多くの国々が関わる OECD の DAC 委員会です。ところが DAC 委員会は強制的に約束を守らせることはできません。DAC 委員会にできるのは「悪いのはどっちかな～?」と、まるでお遊びのように問題をデリケートに扱うことだけなのです。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;OECD のやり方に効果があるかは怪しいと思います。管理運営コストが大きすぎて困っているのに、さらに DAC 委員会のような管理組織をつくって問題を解決しようとするのは皮肉な感じがします。このような新しい体制で処理コストを減らせるかどうかはまだわかりません。分業体制についても同様です。なかなか分業しようとしないのがドナーの常ですから。OECD のアプローチの問題点は、援助がなぜ断片化するのかという根本的な部分を無視していること。彼らはドナーやその相手国のインセンティブを変えようとはしていません。ですから、彼らの振舞いも大きく変わる見込みもありません。はっきり言えば、OECD のやり方は断片化を生む「競争の欠如」を軽んじているのです。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;「中央集権的でない」、OECD とは違った視点でみてみましょう。援助市場において、ドナーはより効率的に、かつもっと説明責任を果たせるようになろうとします。そのため、援助市場を改革し発展させてやれば、断片化を減らすことができるはずです。援助市場がうまく機能すれば、受け入れ国側はもっとも経験豊富で効率的なドナーを選べるようになるのです。このような世の中が実現すると、「緊密でない援助関係」&lt;a href="#note_9"&gt;[9]&lt;/a&gt; は非効率なので駆逐されてしまいます。また、多くのドナーが競争するようになり、ただコストだけが増えていくような状況にとって換わると思われます。このテーマ、援助業界でどのように市場メカニズムを築くか、について書かれたのが Barder の 2009年の論文です。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;中央集権的でない(市場メカニズムを利用した)視点からわかるのは、ドナーどうしが競争しない今の体制が行きついた結果、援助の断片化がおきているということです。市場メカニズムによる方法は、相手国との約束に頼って断片化を阻止するのではありません。そうではなく、競争原理を使って、援助の断片化が長続きしないようにしてしまうやり方なのです。難しいのは、決まり事をつくってインセンティブを適切に設定してやること、そしてドナーにそれを受け入れさせることです。これは決して簡単な作業ではありませんが、今の体制よりやりがいのある将来有望な取り組みでしょう。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;援助ドナーたちは、これまで失敗してきたにも関わらず、中央集権的な DAC 委員会方式を採用しました。このような失敗のくり返しが、貧しい国々にとって残念な出来事なのは当然です。援助体制の改革は切実な問題ですが、ふたたび遅れることになりそうです。&lt;/p&gt;

    &lt;blockquote style="font-size:80%;border-style:solid; border-width:1px 0px 1px 0px; margin:10px;padding:2px 10px"&gt;
      &lt;p&gt;訳注:&lt;/p&gt;
      &lt;p&gt;&lt;a id="note_9"&gt;[9]&lt;/a&gt; 原文では "insignificant partnerships" 「緊密でない援助関係」と訳したが、定義は以下のものだろう。以下に続く&lt;a href="#omake"&gt;「訳者によるおまけ」&lt;/a&gt;も参照のこと。&lt;/p&gt;
      &lt;blockquote&gt;
      &lt;h5&gt;III. FRAGMENTATION ON THE DONORS' SIDE&lt;/h5&gt;
      &lt;p&gt;We make use of the OECD DAC definition of fragmentation and extend it to sectors. In each recipient-sector-year, donors・ shares are computed and compared to donors・ shares in the sector at the global level. If the former is smaller than the latter then the partnership is said to be insignificant. Assume for instance that Austria provides 2% of total health aid to Vietnam. If Austria provides 5% of global health aid then its partnership with Vietnam is considered as fragmented or, in other words, insignificant.&lt;/p&gt;
      &lt;p&gt;訳: われわれは OECD の開発援助委員会による断片化の定義を用い、それをセクターまで拡張した。それぞれの援助受け入れ国における各セクターへの年間割当て額とドナーのシェアを計算し、それを当該ドナーの援助額が世界の援助総額に占める割合と比較した。前者が後者より小さい場合、その2国間の関係を「緊密ではない援助関係」と呼ぶことにする。例えばオーストラリアがベトナムの健康分野の援助で 2%を占めているとする。また、オーストラリアの援助は世界の健康分野における援助総額の 5%だったとしよう。この時、この2国間の関係は断片化していると評価され、「緊密ではない援助関係」にあたることになる。&lt;/p&gt;

      &lt;p&gt;This first measure suffers from a negative bias towards large donors. Small donors・ global shares are often so low that they correspond to quite small amounts of money for a recipient. It is therefore more often the case that a small donor・s partnership is more significant than that of a large donor. Large donors・ portfolios are likely to appear more fragmented because of this bias. For this reason OECD DAC also takes into account, as a complementary measure, if the donor is among the group of donors that together disburse 90% of total aid to the recipient.&lt;/p&gt;
      &lt;p&gt;訳: このひとつめの基準には、規模の大きいドナーを過小評価する傾向がある。小規模なドナーの援助は相手国への提供額がごく少なく、世界の援助総額に占める割合も小さくなる。そのため、大規模ドナーの援助に比べて、小規模ドナーの援助のほうがより「緊密な援助関係」だと評価されがちになる。このようなバイアスがあるため、見かけ上、大規模ドナーの援助がより断片化したものだと評価されてしまうのだ。このバイアスには OECD 開発援助委員会も配慮し、当該相手国が受けとる援助総額の 90%の金額で線引きし、当該ドナーによる援助がそのラインを越えるかどうかで欠点を補おうとしている。&lt;/p&gt;
      &lt;/blockquote&gt;
      &lt;p&gt;出典: Frot, Emmanuel and Javier Santiso (2010), "Crushed Aid: Fragmentation in Sectoral Aid", OECD Development Centre, Working Paper, No. 284. p.20&lt;/p&gt;
      &lt;p&gt;&lt;/p&gt;
    &lt;/blockquote&gt;

    &lt;p&gt;&lt;br/&gt;&lt;/p&gt;


    &lt;h3&gt;&lt;a id="omake"&gt;訳者によるおまけ&lt;/a&gt;&lt;/h3&gt;
    &lt;p&gt;「significant partnership」というものの内容が分からなかったので探してみた。たぶん以下がそれ。まとめると、こういうことではないかと... 一応、原文も残しておいた。&lt;/p&gt;

      &lt;dl&gt;
      &lt;dt&gt;&lt;b&gt;基準 1:&lt;/b&gt;&lt;/dt&gt;
      &lt;dd&gt;「当該ドナーの援助総額が世界の援助総額に占める割合」(&lt;b&gt;A&lt;/b&gt;)を計算する。この数字(割合)と、「当該ドナーからの援助が当該相手国がもらっている援助総額に占める割合」(&lt;b&gt;B&lt;/b&gt;)を比べる。&lt;/dd&gt;
      &lt;dt&gt;&lt;b&gt;基準 2:&lt;/b&gt;&lt;/dt&gt;
      &lt;dd&gt;当該ドナーの援助額が当該相手国が受けとっている援助総額の &lt;b&gt;90%&lt;/b&gt; を越えるかどうか。&lt;/dd&gt;
      &lt;/dl&gt;

      &lt;ul&gt;
 &lt;li&gt;B &gt; A、かつ 90% 以上 : 「集中し、かつ重要」&lt;/li&gt;
 &lt;li&gt;B &gt; A、かつ 90% 以下 : 「集中」&lt;/li&gt;
 &lt;li&gt;B &lt; A、かつ 90% 以上 : 「重要」&lt;/li&gt;
 &lt;li&gt;B &lt; A、かつ 90% 以下 : 「特に目立った関係ではない」&lt;/li&gt;
      &lt;/ul&gt;

    &lt;blockquote style="padding:10px;border-style:solid;border-width:1px"&gt;
      &lt;dl&gt;
 &lt;dt&gt;&lt;b&gt;Concentrated and important:&lt;/b&gt;&lt;br/&gt;(集中し、かつ重要な援助関係)&lt;/dt&gt;
 &lt;dd&gt;The donor gives more aid to this recipient than its global share of aid would suggest, and is among the larger donors that together provide at least 90% of this recipient・s aid (i.e. the answer to both questions above is yes).&lt;br/&gt;&lt;/dd&gt;
 &lt;dt&gt;&lt;b&gt;Concentrated:&lt;/b&gt;&lt;br/&gt;(集中した援助関係)&lt;/dt&gt;
 &lt;dd&gt;The donor gives more aid to this recipient than its global share of aid would suggest, but is still among the smaller donors that together account for less than 10% of this recipient・s aid (i.e. yes to question 1 and no to question 2).&lt;/dd&gt;
 &lt;dt&gt;&lt;b&gt;Important:&lt;/b&gt;&lt;br/&gt;(重要な援助関係)&lt;/dt&gt;
 &lt;dd&gt;The donor gives less aid to this recipient than its global share of aid would suggest, but is among the larger donors that together account for at least 90% of this recipient・s aid (i.e. no to question 1 and yes to question 2).&lt;/dd&gt;
 &lt;dt&gt;&lt;b&gt;Non-significant:&lt;/b&gt;&lt;br/&gt;(特に目立った関係ではない)&lt;/dt&gt;
 &lt;dd&gt;The donor gives less aid to this recipient than its global share of aid would suggest, and is among the smaller donors that together account for less than 10% of this recipient・s aid (i.e. no to both questions).&lt;/dd&gt;
    &lt;/dl&gt;

      &lt;blockquote style="padding:10px;border-style:solid;border-width:1px"&gt;
      &lt;h4&gt;Box 4.1. Examples of a donor・s relative presence at country level&lt;/h4&gt;
      &lt;p&gt;Sweden・s core aid amounted to USD 1.1 billion in 2008, representing 1.5% of global core aid. This was extended to 68 recipient countries, of which 31 were priority countries (which received 79% of total Swedish core aid). The average core aid in its priority countries was USD 28 million - versus an average in its non priority countries of USD 6 million.&lt;/p&gt;
      &lt;p&gt;訳: &lt;span style="text-decoration:underline"&gt;スウェーデンの援助総額(2008年)のうちコア援助に該当するのは 11億ドルで、世界のコア援助総額の 1.5%である。&lt;/span&gt;スウェーデンはこれを 68ヶ国に分配している。68ヶ国中 31ヶ国が(OECDが決めた)「優先的に援助すべき国」で、スウェーデンの援助総額に対する 31ヶ国の割合は 79%。一方、世界の「優先的に援助すべき国々」がもらっているコア援助の平均は 2800万ドル、それに該当しない国々では平均 600万ドルになっている。&lt;/p&gt;
      &lt;ul&gt;
 &lt;li&gt;In Macedonia, FyR, Sweden provided USD 9 million in 2008 representing 4.9% of all core aid to the country. Therefore Sweden・s core aid contribution to Macedonia, FyR  is concentrated. Furthermore, Sweden is among the “top 90%” donors in Macedonia, FyR and therefore important in terms of significance. This aid relationship is in category A (concentrated and important).&lt;br/&gt;訳: マケドニア FYR はスウェーデンから 900万ドルの援助を受けた(2008年)。これはマケドニアがもらったコア援助総額の 4.9%である。したがって、スウェーデンからマケドニアへのコア援助は&lt;b&gt;「集中」&lt;/b&gt;状態に該当する。さらに、スウェーデンからマケドニアへの援助額は、マケドニアがもらっている援助総額の「90%」を越えている。そのため、援助関係の「重要性」は&lt;b&gt;「重要」&lt;/b&gt;にも該当することになる。すなわち、この 2ヶ国の援助関係はカテゴリー A、 &lt;b&gt;「集中し、かつ重要」&lt;/b&gt;な関係であるとされる。&lt;/li&gt;
 &lt;li&gt;In Sudan, Sweden provided USD 12.3 million, representing 1.6% of total core aid to the country and therefore above its global share. However, in Sudan, Sweden is not among the top 90% donors. This aid relationship is in category B (concentrated).&lt;br/&gt;訳: スーダンはスウェーデンから1230万ドルの援助を受けた。これはスーダンがもらっているコア援助の 1.6%、スウェーデンのコア援助が世界のコア援助に占める割合である 1.5%よりも多い。しかし、スウェーデンからスーダンへの援助は、スーダンがもらっている援助総額の「90%」を越えるほど多くはない。したがって、スウェーデンとスーダンの援助関係はカテゴリー B、&lt;b&gt;「集中」&lt;/b&gt;した関係にだけ該当することになる。&lt;/li&gt;
 &lt;li&gt;In Vietnam, Sweden extended USD 32.6 million representing 1.3% of core aid to the country. Despite this smaller share, Sweden is among the top 90% donors. This aid relationship  is in category C (important).&lt;br/&gt;訳: ベトナムは金額にして 3260万ドル、コア援助全体の 1.3%をスウェーデンから受けとっている。割合は小さいながら、スウェーデンからベトナムへの援助は、ベトナムがもらっている援助総額の「90%」以上だ。したがって、この 2ヶ国の関係はカテゴリー C の&lt;b&gt;「重要」&lt;/b&gt;な援助関係に該当している。&lt;/li&gt;
 &lt;li&gt;In Sri Lanka, Sweden provided USD 6.4 million, representing 0.7% of total core aid to the country, significantly below its global share. Sweden is also not among the top 90% donors to that country. This aid relationship  is in category D (non-significant). &lt;br/&gt;訳: スリランカはスウェーデンから 640万ドル、コア援助総額の 0.7%の援助を受けている。0.7%という数字は、先程の 1.3%からかなり低い数字だ。また、スウェーデンからスリランカへの援助総額も少なく「90%」ラインを越えていない。このような関係はカテゴリー D、&lt;b&gt;「特に目立った関係ではない」&lt;/b&gt;援助関係に該当する。&lt;/li&gt;
      &lt;/ul&gt;
      &lt;/blockquote&gt;
      &lt;p&gt;出典: &lt;a href="http://www.oecd.org/dataoecd/18/52/44318319.pdf"&gt;『2009 OECD Report on Division of Labour: Addressing fragmentation and concentration of aid across countries』&lt;/a&gt; (pp.19-20. PDF直リンク、全66頁、4MB)&lt;/p&gt;
    &lt;/blockquote&gt;

    &lt;h4&gt;References&lt;/h4&gt;
    &lt;ul style=":none"&gt;
      &lt;li&gt;Barder, Owen, (2009), "Beyond Planning: Markets and Networks for Better Aid", Centre for Global Development, Working Paper 185.&lt;/li&gt;
      &lt;li&gt;Frot, Emmanuel and Javier Santiso (2008), "Development Aid and Portfolio Funds: Trends, Volatility and Fragmentation", OECD Development Centre, Working Paper No. 275.&lt;/li&gt;
      &lt;li&gt;Frot, Emmanuel (2009), "Early vs. Late in Aid Partnerships and Implications for Tackling Aid Fragmentation", Working Paper, 2009.&lt;/li&gt;
      &lt;li&gt;Frot, Emmanuel and Javier Santiso (2010), "Crushed Aid: Fragmentation in Sectoral Aid", OECD Development Centre, Working Paper, No. 284.&lt;/li&gt;
      &lt;li&gt;Deutscher, Eckhard and Sara Fyson (2008). "Improving the Effectiveness of Aid", Finance and Development, September, Volume 45, Number 3.&lt;/li&gt;
    &lt;/ul&gt;&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/4358023851694157304-3346179753935747278?l=randomcage.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://randomcage.blogspot.com/feeds/3346179753935747278/comments/default' title='Post Comments'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=4358023851694157304&amp;postID=3346179753935747278' title='0 Comments'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/4358023851694157304/posts/default/3346179753935747278'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/4358023851694157304/posts/default/3346179753935747278'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://randomcage.blogspot.com/2010/02/blog-post.html' title='バラバラな援助: 国際援助の断片化はなぜ問題なんだろうか?'/><author><name>soulcage</name><uri>http://www.blogger.com/profile/09004893170655174551</uri><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-4358023851694157304.post-1822139317807921674</id><published>2010-02-07T21:02:00.001+09:00</published><updated>2010-02-10T16:44:49.297+09:00</updated><title type='text'>FT論説 － 量的緩和が中断されたが、英国債市場は冷静なのである。</title><content type='html'>&lt;p&gt;さて、2 月&lt;span style="text-decoration:line-through"&gt;4～5&lt;/span&gt; 3 ～ 4 日、イングランド銀行の金融政策委員会が開かれました。金利はすえ置き、資産買取りプログラム(APF)は一時中断とのこと。ちょっと動きましたね。ニュースリリースは&lt;a href="http://www.bankofengland.co.uk/publications/news/2010/008.htm"&gt;こちら&lt;/a&gt;。議事録は 10 日に公表され、イングランド銀行のサイトでダウンロードできるようになるでしょう。インフレーションレポートも&lt;span style="text-decoration:line-through"&gt;10&lt;/span&gt; 17 日発表。現地時間 午前 10 時 30 分からオンラインで会見が見られるようです。再び麗しのキングさまの動くお姿に...いや何でもありませんw&lt;/p&gt;
    &lt;p&gt;この記事の本意は、&lt;b&gt;イギリスで今年行なわれる選挙を見すえて、イングランド銀行をせっつくことであって、量的緩和が駄目だと言っているわけではないことに注意。&lt;/b&gt;くれぐれも誤解なきよう。イギリス総選挙に向けての今後の動向から、何らかの教訓が得られるかもしれないですね。原文は&lt;a href="http://www.ft.com/cms/s/0/155e5cea-117b-11df-9195-00144feab49a.html"&gt;こちら&lt;/a&gt;。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;2010年2月10日: 日付の誤りを訂正しました。&lt;/p&gt;
   &lt;hr/&gt;

    &lt;h2&gt;量的緩和が中断されたが、英国債市場は冷静なのである。&lt;/h2&gt;
    &lt;p&gt;&lt;b&gt;クリス･ガイルズ、経済部･編集者、4 Feb 2010 8:14pm&lt;/b&gt;&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;木曜日、イングランド銀行は資産買い入れによって通貨を供給する(creating money)プログラムの中断を発表した。しかし、イギリス政府債市場は砂漠のオアシスのような穏やかさを保ったままだ。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;2009年3月に始まった量的緩和制度は、300 年のイングランド銀行史上はじめての試みで、マネーの量を増やして国内の支出が増えるようにし向けるための政策であった。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;懸念されていたのは、イングランド銀行が政策金利を 0.5 %に据えおき、マネーの供給を 2000 億ポンドで止めてしまった場合、英国債の利回りへに上昇圧力がかかるのではないかということだった。イングランド銀行はこれまで英国債の最大の買い手だったからである。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;しかし、投資家はイングランド銀行の分かりやすい振舞いを読み取っていたし、資産買取りで発生した負債を政府が払い戻す能力も心配してはいなかったということになる。木曜日の英国債 10 年ものの利回りは、発表があった正午過ぎに跳ねあがったが、すぐに下がったのだ。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;この日、エコノミストたちは量的緩和が機能していたかどうか議論し続けていた。イングランド銀行の金融政策委員会によると、2000 億ポンドの資産買取りは「しばらくの間、国内経済に金融的刺激を与え続けるのには十分」だろうとのことだ。しかし、量的緩和の効果には具体例が少ないと指摘することもできるだろう。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;野村證券のピーター･ウェスタウェイは「量的緩和の導入は(市場の)動向に大きく影響したと思っています。」と述べているが、ファソム･コンサルティングのダニー･ガーベイは「イングランド銀行の量的緩和プログラムによって、何か実質的な変化がおきたことを示す説得力ある証拠はほとんど見つかりませんね。」と主張している。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;誰も本当にはっきりしたことは言えない。イングランド銀行が 2009 年 3 月に行動をおこさなかった場合の結末が分からないのは、われわれにとって大問題である。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;量的緩和の効果には状況証拠があるものの、効果があると言い切るには証拠がまだまだ足りない。2009 年第 4 四半期、イギリス経済はなんとか景気後退を抜けだし、第 3 四半期には現金支出が 1.1 %上昇してもいる。ともに、不況を阻止して回復を支えるというイングランド銀行の目標をいくぶんは満たすものだ。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;この回復が量的緩和のおかげかどうかがはっきりしない。現在、見通しがわずかに上向いているのは、他にたくさんある要素の影響でもあるからだ。経済にはもともと成長する傾向があるし、財政刺激もおこなわれてきた。エネルギー価格は安価で、世界的に見れば資産価格も上昇している。景気見通しの回復にはこれらも影響している。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;量的緩和の効果をはかる中間指標には残念な結果に終わっているものもある。一般家計と非金融関連企業の手元にあるマネーの伸び率(平均、年率換算)は、量的緩和後も衰え続け、2009 年 12 月にやっと前年比 1.1 %上向くだけに留まっている。イングランド銀行は量的緩和がなかったなら、その伸び率はもっと小さかった可能性があると指摘する。しかし、そもそも彼らが目指していたのは、この 10 年間の多くの年でみられたような 7 ～ 8 %の伸び率ではなかったか?&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;社債市場において、イングランド銀行は社債を買い取ってきた。量的緩和の開始とともに、イングランド銀行の買取り要件を満たす証券の利回りが他の証券に比べて下がった。しかしこの効果はやがて弱まってしまった。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;政府債市場でも、量的緩和やそれを拡張するような施策が発表されると、政府の借入れコストははっきりと下がった。しかし、2008 年末の金利引き下げに比べればその影響は小さかったし、これまた時とともに減衰してしまうこととなった。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;ひとつ成功したのではないかと思われる印がある。それはイギリスの社債市場で企業が － 事実上、(一般の)銀行を通さずに － より多額の借金をするようになり、昨年に比べて社債市場が流動性を増してきているように見えることだ。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;このように量的緩和の効き目は証拠不十分。エコノミストも肩をすくめ、量的緩和には「まぁ害はなかったみたいだね」と言っている。しかし、イギリスがジンバブエのようなハイパーインフレに見舞われることはなかったし、経済も今のところは回復しているように見える。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;このように、量的緩和について確信のあることを言えないのが問題だ。これから、政治家が財政赤字削減の適切なペースを論ずることになるだろう(訳注: イギリスでは 2010 年前半に総選挙が行なわれる)。その際の討論を有意義にしたければ、金融政策が財政引き締めをうまく相殺できるということを政治家に理解させておく必要がある。イングランド銀行がまだそれを保証できないでいるのは問題として残っているということだ。&lt;/p&gt;&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/4358023851694157304-1822139317807921674?l=randomcage.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://randomcage.blogspot.com/feeds/1822139317807921674/comments/default' title='Post Comments'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=4358023851694157304&amp;postID=1822139317807921674' title='0 Comments'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/4358023851694157304/posts/default/1822139317807921674'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/4358023851694157304/posts/default/1822139317807921674'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://randomcage.blogspot.com/2010/02/ft.html' title='FT論説 － 量的緩和が中断されたが、英国債市場は冷静なのである。'/><author><name>soulcage</name><uri>http://www.blogger.com/profile/09004893170655174551</uri><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-4358023851694157304.post-8857673844153024014</id><published>2010-01-30T14:08:00.002+09:00</published><updated>2010-02-02T02:20:22.315+09:00</updated><title type='text'>FT論説 － デフレーションにはまっている日本のとある一日。</title><content type='html'>&lt;p&gt;テミンさんの本ばかり読んでいるので、英語がご無沙汰... というわけで、こっそりと。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;原文は&lt;a href="http://blogs.ft.com/money-supply/2010/01/29/just-another-day-of-deflation-in-japan/"&gt;こちら&lt;/a&gt;。&lt;/p&gt;
   &lt;hr/&gt;

    &lt;h2&gt;デフレーションにはまっている日本のとある一日。&lt;/h2&gt;
    &lt;p&gt;&lt;b&gt;January29, 2010 10:38am by RobinHarding&lt;/b&gt;&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;今日、日本の"コアコア"消費者物価指数が発表された。コアコア消費者物価指数は食料とエネルギー関連物価をのぞいた物価指数だ。日本の12月のコアコア消費者物価指数は前年比 マイナス 1.2%、1971年以来最大の下げ幅である。日本の政治経済界でデフレーションの議論が盛んだった 2001年当時より悪化した数字だ。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;ところが、東京のエコノミストたちはこれに無関心なようである。日本銀行の火曜日の会合でもたいしたことは言われていない。日本銀行自身が 2010年と 2011年にもデフレーションが居つくだろうと予測しているにも関わらず、である。大臣から日本銀行への働きかけは形だけで、2001年から続けられてはいるものの、日本銀行への圧力にはまったくなっていないと専門家は言う。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;本誌名物の「Lex コラム」は、水曜版で自信たっぷりに次のように書いている。(訳注: 該当する「Lex コラム」は&lt;a href="http://www.ft.com/cms/s/3/092306f4-0a5c-11df-ab4a-00144feabdc0.html"&gt;こちら&lt;/a&gt;。「Lex column」は &lt;a href="http://en.wikipedia.org/wiki/Jo_Johnson"&gt;Jo Johnson&lt;/a&gt; が編集担当。)&lt;/p&gt;

    &lt;blockquote&gt;
      &lt;p&gt;「さらに、データは日本銀行のさらなる金融緩和の十分な根拠にもならない。&lt;a href="http://www.boj.or.jp/en/type/stat/boj_stat/cspi/cspi0912.pdf"&gt;デフレーション&lt;/a&gt;(訳注: 日銀の英文統計レポート、PDF直リンク)は改善していないが、悪化してもいない。円相場もまだ本当に危機的なわけでもない...(中略)...白川氏がまだ強硬なのはもっともである。」&lt;/p&gt;
    &lt;/blockquote&gt;

    &lt;p&gt;驚きましたね... デフレーションは日本経済に10年も毒を盛りつづけてきた。今回、コアコア消費者物価指数の下げ幅は記録更新している。もちろん、物価の下落幅はエネルギー価格の値上がりで緩和されるだろうが、人々はこの状況に頭を悩ますべきだ。物価はただただ下がりつづけ、これ以上ひどくなりようがないところまできている。デフレ期待がしっかり根を張ってしまえば抜けだすことはほぼ不可能になってしまう。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;議論が盛んかどうかは別にして、極端な金融政策に反対意見があるのは理解できる。しかし、デフレーション(もしくは、そのようなもの)が10年以上続いたにも関わらず、まだこのような意見があること自体、日本や日本銀行がいかに物価の下落を成りゆきまかせにし、ほとんど対処してこなかったかを示しているように私には見えるのだ。(政策的)態度がこんなでは、デフレーションに終わりがくるなどと楽観的になれるはずもない。「期待」が経済に果たす役割は大きい。人々が楽観的になれなければ、デフレーションも終わらないだろう。&lt;/p&gt;&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/4358023851694157304-8857673844153024014?l=randomcage.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://randomcage.blogspot.com/feeds/8857673844153024014/comments/default' title='Post Comments'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=4358023851694157304&amp;postID=8857673844153024014' title='0 Comments'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/4358023851694157304/posts/default/8857673844153024014'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/4358023851694157304/posts/default/8857673844153024014'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://randomcage.blogspot.com/2010/01/ft_30.html' title='FT論説 － デフレーションにはまっている日本のとある一日。'/><author><name>soulcage</name><uri>http://www.blogger.com/profile/09004893170655174551</uri><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-4358023851694157304.post-5190971473426703316</id><published>2010-01-21T14:07:00.004+09:00</published><updated>2010-01-21T14:23:32.356+09:00</updated><title type='text'>FT論説 － イギリスのインフレ警報に騙されてはいけない。</title><content type='html'>&lt;p&gt;イギリスでインフレ率が上がってきました。ハイパーインフレになるんですかねw この記事は、そういう人たちへの苦言でありクギを刺すような内容です。&lt;/p&gt;
    &lt;p&gt;文中に登場するキング総裁の言葉、「ディスコ...云々」は&lt;a href="http://www.bankofengland.co.uk/publications/speeches/2010/speech419.pdf"&gt;「Speech by the Governor, Mervyn King(To the University of Exeter Business Leaders’Forum)」&lt;/a&gt;(PDF直リンク)に納められています。僕は未読。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;原文は&lt;a href="http://www.ft.com/cms/s/0/029046e0-0600-11df-8c97-00144feabdc0.html"&gt;こちら&lt;/a&gt;。&lt;/p&gt;
   &lt;hr/&gt;

    &lt;h2&gt;FT論説 － イギリスのインフレ警報に騙されてはいけない。&lt;/h2&gt;
    &lt;p&gt;Published January20 2010 20:16 | Last updated January20 2010 20:16&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;イギリスのインフレ率が予想よりずっと早く上昇してきている。消費者物価指数(前年比)は 11月の 1.9% から 12月の 2.9% へと跳ねあがった。神経質な人たちが騒いでいるが、インフレが制御不能になるという懸念にはほぼ根拠がない。イギリス経済にとっては、依然デフレと低成長のほうがずっと危険なのである。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;いくぶんのインフレ率上昇は多くの人が予想していたことでもある。政府のインフレ指標は物価水準が前年からどれくらい変化したかを調べている。つまり、一年前に物価がどれくらいだったかを見て、それを今の物価と比べるわけだ。最新の数字がこのように大きく出たのは、2008年12月の特殊な状況にその多くを負っている。2008年12月の物価は、付加価値税率引き下げ･小売り業の必死の値下げ･原油価格暴落で低下していたのだ。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;これらすべての揺りもどしが今きていると考えてよい。加えて、劇的なポンド安も小売価格低下の追い風になっている。今週イングランド銀行のマービン･キング総裁が講演をおこなったが、彼もこの数字を重く見てはいない。総裁はご自分の言葉を引用してこうおっしゃっている。マクロ経済データは「時代遅れのディスコダンス － 意外な向きに急に動いたほうが人を興奮させられるもの。五月蠅い騒音のおまけつき。」のようであると。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;今回はディスコのビート音が特に大きくなっているのかもしれない。2.9% という数字はエコノミストが予想していた 2.6% より随分大きい数字なのだ。キング総裁の喩えがうまいかどうか判断は読者にまかせよう。しかしとにかく、彼のメッセージ全般 － あなたがお立ち台の上にいようが下にいようが － とにかく落ち着くように、というメッセージはまったく正しいのである。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;物価上昇圧力が賃金に飛び火しないかぎり、やがて一時的な要素が除かれインフレ率は再びゆっくりと下がっていくだろう。本当の懸念はインフレ率が上がってこないことのほうなのだ。これはすなわち、イギリス経済にデフレ圧力が居すわってしまうことを意味するのだから。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;キング総裁が指摘したように、危機がおきなければイギリスの国家収入は今より 10% 増えていたはずだ。一部は永久に失われてしまったかもしれないが、国内生産能力にはまだかなりの余裕があるのである。火曜(訳注: 2010年1月19日)発表の雇用統計は失業率の低下を示している。しかし、それとてこの見方を変えるようなものではない。その統計では被雇用者数も同時に減っているからだ。つまり、労働者は職を得て失業状態から抜けだしたわけではなく、労働力が活用されることなくすっかり放置されたままになっているということである。そしてそのような状況にもかかわらず、半年経っても職を探しつづけている人々の数はまだ増え続けている。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;このような状況で、インフレを危惧するあまり、積極的な金融政策の足をひっぱるようなことは断じてしてはならない。英国債買い入れによる「量的緩和」を含め、イングランド銀行による緩和的な政策は今もまだ適切である。物価連動債と名目債の利回り格差をみると、市場は今後10年の小売価格のインフレ率を平均 3% と考えている。これまでの英国小売物価指数(RPI、訳注)を調べると RPI は CPI より 0.66% 大きい。したがって、市場の期待インフレ率はイングランド銀行のインフレ目標、CPI 成長で 2% という値に近いのである。&lt;/p&gt;

    &lt;blockquote&gt;
      &lt;p&gt;&lt;small&gt;訳注: イギリスの消費者物価指数には CPI と RPI のふたつがある。バスケットの中味･重みづけ･対象人数･計算式などが違う。CPI は国民所得勘定から計算し RPI は数千戸の追跡データを使う。そして CPI の値は常に RPI より低く出る。国際基準に沿っているのは CPI のほう。その違いについてはイギリス統計局の&lt;a href="http://www.statistics.gov.uk/statbase/product.asp?vlnk=62"&gt;「Consumer Price Indices - A Brief Guide」&lt;/a&gt;ページにある「Consumer Price Indices - A brief guide」というブックレット参照(24頁)。&lt;/small&gt;&lt;/p&gt;
    &lt;/blockquote&gt;

    &lt;p&gt;実際、イングランド銀行の現状の計画からは量的緩和の終わりが間近であることが読みとれる。彼らが購入できる英国債の上限は2000億ポンド。その上限まであと50億ポンドしか残っていない。再度量的緩和にとり組むことを考えれば、今インフレのデマに騙されてイングランド銀行の足をひっぱるべきではない。&lt;/p&gt;&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/4358023851694157304-5190971473426703316?l=randomcage.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://randomcage.blogspot.com/feeds/5190971473426703316/comments/default' title='Post Comments'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=4358023851694157304&amp;postID=5190971473426703316' title='0 Comments'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/4358023851694157304/posts/default/5190971473426703316'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/4358023851694157304/posts/default/5190971473426703316'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://randomcage.blogspot.com/2010/01/ft.html' title='FT論説 － イギリスのインフレ警報に騙されてはいけない。'/><author><name>soulcage</name><uri>http://www.blogger.com/profile/09004893170655174551</uri><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-4358023851694157304.post-2161709458404526807</id><published>2010-01-20T17:07:00.004+09:00</published><updated>2010-01-20T17:45:03.669+09:00</updated><title type='text'>Great Moderation はどとめをさされたってか?</title><content type='html'>&lt;p&gt;Twitter で hicksian さんが「Great Moderation、まだまだ続いてます(今後も継続しそうだよ）」と&lt;a href="http://twitter.com/hicksian/status/7876076877"&gt;つぶやいていた&lt;/a&gt;。Great Moderation ってナニ? と思ったので、紹介されていた Vox の論文をチラ見してみた...&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;ボラティリティ? (調べる) ほーほー。Great Moderation? (また調べる) ははぁ...(笑)。グーグル先生にお伺いを立てると"The Great Moderation" は「大平穏(期)･超安定化･大いなる安定･マクロ経済の安定（Great Moderation)･大安定(化の時代)...」と訳されている。僕は「マクロ経済の安定（Great Moderation)」が親切だと思うけど、night_in_tunisia さんは&lt;a href="http://twitter.com/night_in_tunisi/status/7881107170"&gt;「今のところ大安定期がしっくりくる」&lt;/a&gt;と言っている。ちなみに日銀は「大いなる安定」を使っている。皆さんはいかがでしょうか。&lt;/p&gt;
    &lt;p&gt;イメージとしては海の「大凪(おおなぎ)」がぴったり来るんだけどなぁ。あとは「間氷期」とか。もし、あなたのところに翻訳の神様が降臨してひらめいたら、こっそり教えてくださいませ。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;原文は&lt;a href="http://www.voxeu.org/index.php?q=node/4496"&gt;「Does the Great Recession really mean the end of the Great Moderation?」&lt;/a&gt;です。&lt;/p&gt;

    &lt;hr/&gt;

    &lt;h2&gt;今回の金融危機で Great Moderation が終わったというのは本当なんだろうか?&lt;/h2&gt;
    &lt;p&gt;&lt;b&gt;&lt;a href="http://www.voxeu.org/index.php?q=node/4435"&gt;Olivier Coibion&lt;/a&gt; &lt;a href="http://www.voxeu.org/index.php?q=node/940"&gt;Yuriy Gorodnichenko&lt;/a&gt;&lt;/b&gt;&lt;br/&gt;
16 January2010&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;はたして Great Moderation は「たまたまおきたこと」だったのかな? &amp;nbsp;いやいや、金融政策がうまくインフレを手なずけたんだよ、僕らはこのコラムでそう主張するつもりだ。現在の景気後退が歴史的にみてもひどいのははっきりしてる。でも、ボラティリティは 1970 年代のレベルにはもどらない感じだ。以下ではそれについても述べていこうと思う。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;&lt;i&gt;「Great Moderation の原因についてはっきり知っている人はどこにもいない。金融市場がより洗練されてきたからだと言う人もいれば、FRB の叡智うんぬん...と言う者もいる。しかしだね、それがたまたまだったってことは分かってるんじゃないかね?」－ロバート･ライシュ、2008年7月15日。&lt;/i&gt;&lt;/p&gt;

    &lt;h3&gt;Great Moderation は終わったのか?&lt;/h3&gt;

    &lt;p&gt;戦後最悪の不況が目前にせまってきた時、たくさんの人が Great Resession が Great Moderation に終止符をうつぞと騒ぐようになった。Great Moderation の研究者は「たまたまだったなw」とか「グッド･ラックwww」などと嘲笑された。&lt;small&gt;(訳注: 後述のように Great Moderation の原因には「たまたま運がよかっただけ」説と「よくできた政策のおかげ」説がある。で、ここでは、運がよかった="good luck" にかけて嗤っているわけです。後ろのやつは「あーあ、君これからどうすんのよ?」的に。)&lt;/small&gt;&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;Great Moderation は、とくに「よくできた政策」説をこきおろすことで劇的な終わりを迎えたようにみえる。「よくできた政策」説というのは、ポール･ヴォルカー元FRB議長の姿勢 － インフレには積極的な金融政策で対応し、インフレをおこしそうなイベントに厳しく対処したりインフレ率をしっかりコントロールしたりする － をベースに Great Moderation の原因を説明するお話だ。 (Clarida, Gali, and Gertler 2000, Boivin and Giannoni 2006, Lubik and Schorfheide 2004, and Coibion and Gorodnichenko 2009)&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;「今の金融政策だって上のヴォルカーの態度とそんなに変わらないんですがなにか?」&lt;/p&gt;
    &lt;p&gt;僕らが Great Moderation の終わりを主張する人に言いたいのはそういうことだ。&lt;/p&gt;


    &lt;h3&gt;それはとっても誇張されているのデス(A greatly exaggerated death)&lt;/h3&gt;

    &lt;p&gt;僕らが思うに、今の不況は Great Moderation の終わりなんかじゃない。たしかに景気後退はとても厳しいけれど、ボラティリティは 1970 年代に比べればかわいいもんだ。ということで図1。図1 は実質GDP成長率(四半期)を年率換算してその標準偏差をプロットしたもの。上のグラフで使ったのはこれまでの研究にあった値の5年平均、下は同じものの幾何平均に脚注のように重みづけしてある。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;1990 年代のボラティリティが 1970 年代の半分くらいになっているのがはっきりわかる。これが Great Moderation。5年平均グラフ(上)にあるボラティリティの跳ねあがりは、Great Moderation 期におきた景気後退だ。今回の景気後退によるボラティリティ上昇が他より大きいのもわかるでしょう。とはいえ、現在のボラティリティもマクロ経済評論家やフィラデルフィア連銀のようなプロの予測値(2009年 12月)も 1970 年代のまだずっと下なんだけどね。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;幾何平均に重みづけしたグラフ(下)をみると、ボラティリティがそのピークを過ぎたことがよーくわかる。僕らが使った重みづけは時間的に離れた期間の影響を軽くするようなもので、2009 年のボラティリティのピークがよりはっきりわかる。さらにさらに、プロの予想屋さんたちの最悪の予測でさえ、1970 年代のボラティリティに比べればずっと小さいのもよーくわかるんじゃないでしょうか。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;図1. 実質GDP成長率の標準偏差(上: 重みづけなし、下: 重みづけあり)&lt;br/&gt;&lt;img src="http://www.voxeu.org/sites/default/files/image/coibion%20fig%201.JPG" alt=""/&gt;&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;Great Moderation の原因には「たまたま運がよかっただけ」説と「よくできた政策のおかげ」説がある。どちらも景気後退がおきないだろうなんてことはほのめかしもしてないし、それがひどい景気後退になるかもしれないなんてこともまったく言ってない。アメリカ経済は 1980 年代からつい最近まで安定していたけれど、今後はどうなんだろうか? 意外なことに、ふたつの説が描くアメリカ経済の将来はまったく違っている。「たまたま」説によると、このさきも安定するなんて可能性はほとんどない、運はつきちゃったから。逆に、「よくできた政策」説は著しく大きいボラティリティなどあり得ないと言っている。というのも、マクロ経済学者や為政者には 1970 年代の有用な教訓があるから。彼らは経済を安定させる方法についてそこから学べるというわけだ。図1 は「よくできた政策」説を裏づけているようにみえる。今回の景気後退は歴史的惨事ではあるけれど、だからといって 1970 年代のようなボラティリティが戻ってくる感じではない。今回の事件も、せいぜい穏やかな時代に嵐が激しく荒れ狂ったくらいのものだろう。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;脚注&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;1  僕らがやった幾何平均の重みづけというのは次のようなものだ。現在値の重みづけを1とする。その前の期間 t-1 には&amp;delta;の重みをつけ、そのまた前の期間 t－2 には&amp;delta;2 とやっていって、&amp;delta;t－19まで。&amp;delta;は 0.9 とした。この&amp;delta;値は、短期ノイズが最少になる値と時間的に離れたデータの down weghting を均衡させるような値になっている。&lt;/p&gt;&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/4358023851694157304-2161709458404526807?l=randomcage.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://randomcage.blogspot.com/feeds/2161709458404526807/comments/default' title='Post Comments'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=4358023851694157304&amp;postID=2161709458404526807' title='0 Comments'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/4358023851694157304/posts/default/2161709458404526807'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/4358023851694157304/posts/default/2161709458404526807'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://randomcage.blogspot.com/2010/01/great-moderation.html' title='Great Moderation はどとめをさされたってか?'/><author><name>soulcage</name><uri>http://www.blogger.com/profile/09004893170655174551</uri><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-4358023851694157304.post-3349947135371805819</id><published>2010-01-18T01:56:00.001+09:00</published><updated>2010-01-18T01:57:36.362+09:00</updated><title type='text'>プリンストン大学: ハロルド･ジェームス教授一問一答</title><content type='html'>&lt;p&gt;プリンストン大学のサイトにあるハロルド･ジェームズさんの人物紹介。部分的ですが訳してみました。原文は&lt;a href="http://www.princeton.edu/history/people/display_person.xml?netid=hjames"&gt;ここ&lt;/a&gt;と&lt;a href="http://www.princeton.edu/history/people/display_person.xml?netid=hjames&amp;interview=yes"&gt;ここ&lt;/a&gt;。プリンストンのサイトでホームページとして紹介されているのは、Project Syndicate のサイト&lt;a href="http://www.projectsyndicate.org/series/71/description"&gt;http://www.projectsyndicate.org/series/71/description&lt;/a&gt; でした。&lt;/p&gt;
    &lt;p&gt;YouTubeの&lt;a href="http://www.youtube.com/watch?v=xGHDZpmusNw"&gt;「A Discussion of the Global Financial Crisis」&lt;/a&gt;ではジェーム「ス」と聞こえたんですがどうなんでしょ...&lt;/p&gt;
    &lt;hr/&gt;

    &lt;h1&gt;Harold James&lt;/h1&gt;

    &lt;h2&gt;略歴&lt;/h2&gt;
    &lt;p&gt;ハロルド･ジェームスはプリンストン大学公共政策大学院(Woodrow Wilson School)の兼任教授(訳注1)であり、経済史･財政史･ドイツ近代史の研究者である。ケンブリッジ大学に学び(Ph.D.は1982年)、1986年本学に来るまでの8年間ケンブリッジ大学ピーターハウス(訳注: カレッジのひとつ)で教官を勤めていた。彼の著作には、二大大戦のあいだにドイツでおきた不況(depression)についての『ドイツの不況』(1986)、ドイツの国民性の変化を考察した『ドイツの国民性 －1770-1990』(1989、この2冊にはドイツ語版もある)、『ブレトンウッズ以降の国際金融における協力体制』(1996)などがある。ドイツ銀行の歴史についての共著『ドイツ銀行』(1995)は1996年にフィナンシャルタイムズ･グローバル･ビジネス･ブック･アワードを受け、その後『ドイツ銀行とナチの対ユダヤ人経済戦争』(2001)を記している。彼の近著『グローバリゼーションの終焉 －大恐慌の教訓－』(2001)は、中国語･ドイツ語･ギリシャ語･日本語(訳注: 邦訳&lt;a href="http://www.amazon.co.jp/グローバリゼーションの終焉―大恐慌からの教訓-ハロルド-ジェイムズ/dp/4532350018"&gt;『グローバリゼーションの終焉―大恐慌からの教訓』&lt;/a&gt;)･韓国語･スペイン語に翻訳されている。他にも、『ヨーロッパ再興－1914から2000年まで』(2003)、『窮地にあるローマ －国際秩序はいかにして政治の帝国を築いたか』(2006)、『ファミリー･キャピタリズム －ウェンデル、ハニエルとファルクス』(2006、ドイツ語･イタリア語･中国語の版がある)などの著書がある。2004年にヘルムート･シュミット賞経済史部門、2005年にはルートヴィッヒ･エドワード賞経済書部門を受賞している。ヨーロッパ大学協会のマリー･キュリー客員教授でもある。&lt;/p&gt;

    &lt;blockquote&gt;
      &lt;p&gt;&lt;small&gt;訳注1 joint appointment professor: 複数の勤務先を対等に勤め、給料も半額ずつ支給される。&lt;/small&gt;&lt;/p&gt;
    &lt;/blockquote&gt;

    &lt;h2&gt;彼の著作の書評は以下を参照のこと。&lt;/h2&gt;

    &lt;ul style="list-style-type: none"&gt;
      &lt;li&gt;&lt;a href="http://www.zeit.de/2004/35/P-James"&gt;http://www.zeit.de/2004/35/P-James&lt;/a&gt;&lt;/li&gt;
      &lt;li&gt;&lt;a href="http://www.economist.com/displaystory.cfm?story_id=2208464"&gt;http://www.economist.com/displaystory.cfm?story_id=2208464&lt;/a&gt;&lt;/li&gt;
      &lt;li&gt;&lt;a href="http://www.economist.com/displaystory.cfm?story_id=2208464"&gt;http://www.eh.net/bookreviews/library/0776.shtml&lt;/a&gt;&lt;/li&gt;
      &lt;li&gt;&lt;a href="http://www.economist.com/displaystory.cfm?story_id=797234"&gt;http://www.economist.com/displaystory.cfm?story_id=797234&lt;/a&gt;&lt;/li&gt;
&lt;/ul&gt;

    &lt;h2&gt;Recent Publications&lt;/h2&gt;

    &lt;ol&gt;
      &lt;li&gt;The End of Globalization: Lessons from the Great Depression &lt;/li&gt;
      &lt;li&gt;Family Capitalism: Wendels, Haniels, Falcks, and the Continental European Model &lt;/li&gt;
      &lt;li&gt;The Roman Predicament: How the Rules of International Order Create the Politics of Empire &lt;/li&gt;
      &lt;li&gt;International Monetary Cooperation Since Bretton Woods &lt;/li&gt;
      &lt;li&gt;# Europe Reborn: A History, 1914-2000 (Longman History of Modern Europe)&lt;/li&gt;
&lt;/ol&gt; 

    &lt;h2&gt;Interview&lt;/h2&gt;
    &lt;p&gt;&lt;/p&gt;
    &lt;h3&gt;2001年、教授は刺激的なタイトルの著書『グローバリゼーションの終焉』を出版しました。まず「グローバリゼーション」とは何なのかお話いただけるでしょうか?&lt;/h3&gt;

    &lt;p&gt;それを語る人がどの分野出身かによってその定義は違っています。私は経済史畑なので、私が言う「グローバリゼーション」はモノ･労働力･資本･概念が国境を越えていくことを指しています。この言葉は現代史だけで使われるのがふつうです。私たちが示そうとしてきたのは、これまでにもグローバリゼーションの流れは存在したのではないかということです。そして、誰もが知っている19世紀末から第一次世界大戦と大恐慌までの期間にみられた世界的な流れはそれだったのではないかということです。グローバリゼーションのように世界の統合をともなう流れはもっと遡れるのではないか、これまでも似たような流れはあったのに、それをせき止めるようなできごとがあって終息してしまったのではないか、と私は思っています。&lt;/p&gt;

    &lt;h3&gt;著書『グローバリゼーションの終焉』の内容について教えてください。&lt;/h3&gt;

    &lt;p&gt;この本には、初期のグローバリゼーションの影響を受けた世界が、第一次世界大戦と大恐慌で再分裂していくようすが記されています。この時期に生まれた世界の一体化の流れは心理的･政治的に尾をひく重要なできごとだったのだ、というのが私の主張です。これ以降、人々は経済を国際的文脈で理解しようとしなくなり、国民国家という視点でものごとを考えるようになりました。その結末が国民国家への傾斜です。私がこの本で問題にしているのは、このような揺りもどしは再び起きうるのだろうかということです。揺りもどしはあり得る、というのが私の主張です。&lt;/p&gt;

    &lt;h3&gt;すると、現代のグローバリゼーションと大恐慌は根っこでつながっている?&lt;/h3&gt;

    &lt;p&gt;そのとおり。大恐慌はグローバリゼーションの終わりでした。モノ･労働力･資本･概念といったグローバリゼーションに付随するものは、その恐慌がおきる前から統制の圧力にさらされていました。保護主義的な関税の導入というようなかたちでです。たとえば、1930年にはホーリー･スムート法(訳注2)がアメリカで成立しています。人と資本を制限する新しい流れがこの時期台頭してきたのです。私がこの本で強調したかったのは、大恐慌の影響がもつグローバルな側面でした。多くの歴史家がこの恐慌をアメリカの事件として扱っています。この恐慌が他国に波及したと考えること自体に抵抗があるのですね。同じように、一国の不況と危機がどのように波及するのかについても抵抗があるようです。&lt;/p&gt;

    &lt;blockquote&gt;
      &lt;p&gt;&lt;small&gt;訳注2: 1930 年米国議会を通過, 関税をきわめて高く (税率史上最高) つり上げることを意図したもの; 諸外国の報復措置を招き, 米国の対外貿易は急激に低下, 世界的大不況を一段と悪化させた from 研究社リーダーズ)&lt;/small&gt;&lt;/p&gt;&lt;/blockquote&gt;

    &lt;h3&gt;グローバリゼーションはよいことでしょうか?&lt;/h3&gt;

    &lt;p&gt;グローバリゼーション全体でみれば、それは建設的なものだというのが私の考えです。グローバリゼーションによって世界中の人が裕福になります。とくに途上国にとっては恩恵が大きいでしょう。しかしそれが先進国側としては不安と心配のもとになっているのも確かです。反NAFTAの人たちや1999年シアトルの暴力的な反WTO運動などにそれが表れていますね。今日のアメリカ国内にも、中国とインドとの競争で一次産業とサービス業の両方で職が失われているという印象論がありますし。&lt;/p&gt;

    &lt;h3&gt;グローバリゼーションは「必然的で元には戻せない」と言われてきましたが。&lt;/h3&gt;

    &lt;p&gt;私が警告したいと思ってきたのはまさにその考えかたです。グローバリゼーションは必然なんかではないのです。そしてこれまでもグローバリゼーションは逆行したことがあるのです。これは憂慮し懸念すべきことで、けして喜ばしいことではないと私は考えています。このまえのグローバリゼーションに終止符を打ったのは戦争と不況だったのですから。&lt;/p&gt;

    &lt;h3&gt;数年前、教授は「大恐慌の危険性はこの20年でもっとも大きい」という書き出しの論説を書いてらっしゃいます。今でもそうお思いですか?&lt;/h3&gt;

    &lt;p&gt;もちろん。われわれはよく分からないようなリスクを抱え込んでいます。とくに銀行は自分のバランスシートからリスクを落とすのがとても上手くなりました。経済危機がおきた時、どうリスクが分散されるかあまり分かっていないと私は考えています。国際金融システムの弱さについてわれわれが理解しているとも思いません。貿易自由化に対する反動も非常に心配ですね。&lt;/p&gt;

    &lt;h3&gt;大恐慌にはどんな教訓がありますか?&lt;/h3&gt;

    &lt;p&gt;教訓として重要なのは、国家がさらなる繁栄を追うような時 － 外国を犠牲に「ひとり勝ち」を試みて成功してしまうような時 － その国の政治は多くの場合うまく機能していないということ。そして結局は他の国々と同じように自国の安定も失われてしまうということです。&lt;/p&gt;

    &lt;h3&gt;いまの世界秩序に対する脅威は何でしょうか?&lt;/h3&gt;

    &lt;p&gt;はっきりした脅威がふたつあります。ひとつはこの50年間の貿易自由化の波が逆行してしまうこと。中国の成長に対するわれわれの反応を見てください。多くの欧米人が中国はフェアな競争をしていないと思っています。中国製品を欧米市場から減らすべきだという話もききますね。私の考えだと、もうひとつの脅威は金融上の不安定やパニックの伝播です。歴史的に見るとこの伝播によって世界の分断がはじまっています。&lt;/p&gt;

    &lt;h3&gt;近著『ヨーロッパ再興 －1914年から2000年まで』(2003)ではどんなトピックが扱われているのでしょうか?&lt;/h3&gt;

    &lt;p&gt;奇妙なことに20世紀ヨーロッパ史をうまく概観した本がありませんでした。教科書で論じられているのは個々のイベントで、それが大枠の話のなかでどう位置づけられるのかが抜けていました。エッセイ風の書きものを見ても、20世紀ヨーロッパ史の概説はありますが、そこではたくさんの出来事が取りこぼされていたのです。私が意図したのは明確な主張のある本です。と同時にドイツやフランスだけでなく、ポルトガル･ブルガリア･ルーマニアで何がおきていたのか見てみようと思ったのです。&lt;/p&gt;

    &lt;h3&gt;その著作の概要について話していただけますか?&lt;/h3&gt;

    &lt;p&gt;この本で私が書いているのは、ヨーロッパの没落と崩壊、そしてその後の再興と成長です。ほとんどの人が20世紀の前半に注目します。この時期は恐ろしいほど壮大で悲劇的だからですね。わたしもヨーロッパが復興していく様子について書いてみようと思いました。この本では収斂が大きなテーマです。東西ヨーロッパがまったく別の道を歩んできたという通説に一石を投じてみました。前世紀にはヨーロッパ風味(sence of Europe)とでもいうような共通性や特色があったように思えるのです。それと1989年以降、政治･経済･人の行いや姿勢といった点で、東西ヨーロッパがいかにすばやく統合されてきたのかも描きたかったことです。&lt;/p&gt;

    &lt;h3&gt;あえて21世紀のヨーロッパの役割をお聞きしたいのですが。&lt;/h3&gt;

    &lt;p&gt;現時点ではあまり楽観的になれない、というのが私の立場です。20世紀末のヨーロッパは、ある意味で1914年の状態とかなり似ているのです。政治的混乱がふたたび頭をもたげてきていますし、世界秩序に対する声も当時と似ています。ヨーロッパの政治をみると、20世紀後半より今日のほうが急進的です。これは左派右派関係ありません。また、人口動態をみてもヨーロッパは大問題を抱えています。イタリア･ドイツ･スペインでは社会を支える若者が不足しています。高齢者に対して年金(retirement)や医療保険が維持できるかどうか。他国から若者の移住をすすめないと根本的解決にはなりません。しかし移民問題はとてもデリケートで、現代の進歩に対する激しい反動の引き金をひきかねない要素ですね。&lt;/p&gt;

    &lt;h3&gt;9.11 は世界秩序にどう影響するでしょうか?&lt;/h3&gt;

    &lt;p&gt;われわれの抱える問題は国境をこえて繋がり相互依存するようになっています。9.11はそれを目に見えるかたちで示しました。テロリズムや感染症は、もはや一国国内にとどまることはありません。世界の繋がりを人々が感じとれば、確実に人は安全を確保しようとするでしょうし、外界とのあいだに自分たちを守ってくれる壁が必要だとも感じるようになるでしょう。グローバリゼーションを支えるモノと資本の流れはことごとく潰されてしまうかもしれません。9.11以降、モノと資本の流れを制限しようという声が非常に強くなっています。例えば、アメリカ国内の外国人は安全保障上の懸念材料です。したがってビザ制度全体がかなり厳しくなりました。また、相当数の貨物コンテナが検査抜きで国内に運びこまれているのが現状です。これはテロの可能性を考えると明らかに問題です。そうなれば、コンテナに対する規制や制限、監視強化の動きもおきるでしょう。他にも、国際テロには国境をこえたお金の流れが不可欠です。そのお金の流れを制限しようというのは当然の対応ですよね。こうなってくると、グローバリゼーションのあらゆる面が問題になってしまいます。そして過去そうであったように、グローバリゼーションに懸念をもつ人は、安全保障を盾に、この統合された世界を縮小していくことができるのではないか、と私は思っています。&lt;/p&gt;&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/4358023851694157304-3349947135371805819?l=randomcage.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://randomcage.blogspot.com/feeds/3349947135371805819/comments/default' title='Post Comments'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=4358023851694157304&amp;postID=3349947135371805819' title='0 Comments'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/4358023851694157304/posts/default/3349947135371805819'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/4358023851694157304/posts/default/3349947135371805819'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://randomcage.blogspot.com/2010/01/blog-post_18.html' title='プリンストン大学: ハロルド･ジェームス教授一問一答'/><author><name>soulcage</name><uri>http://www.blogger.com/profile/09004893170655174551</uri><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-4358023851694157304.post-999371625264109115</id><published>2010-01-14T23:18:00.003+09:00</published><updated>2010-01-14T23:30:46.769+09:00</updated><title type='text'>二都物語: ゴナイーヴとラバディ</title><content type='html'>&lt;p&gt;ハイチで地震があった。それで思い出しひっぱりだして訳しました。The Economist の元記事『A tale of two cities: Gonaives and Labadee&amp;reg;』がいつのまにか読めなくなっていたので、&lt;a href="http://canadahaitiaction.ca/?p=588"&gt;こちら&lt;/a&gt;にコピペしてあった文を利用。皆さんはどんな感想を持つでしょうか。僕は結構好きですけどこういうの。「とりあえず豊かになってから考えよう」的な。&lt;/p&gt;
    &lt;p&gt;Gonaive と Labadee 両方ともYouTubeにビデオがあるのでみて見るもよし。でもLabadee行ってみたいよね!&lt;/p&gt;
    &lt;hr/&gt;

    &lt;p&gt;二都物語: ゴナイーヴとラバディ&amp;reg;&lt;/p&gt;

    &lt;h1&gt;その島、この世界の外につき。&lt;/h1&gt;

    &lt;p&gt;&lt;strong&gt;2009年2月12日&lt;/strong&gt;&lt;/p&gt;

    &lt;h3&gt;ハイチにいる。でもハイチじゃないところにいるみたいだ。&lt;/h3&gt;
    &lt;p&gt;&lt;/p&gt;
    &lt;h2&gt;ゴナイーヴ&lt;/h2&gt;

    &lt;p&gt;砂埃のたつ通りをのろのろ車がくだっていく。ゴナイーヴは貧しい町のようだ。道の際を歩く人々の流れはとぎれることもなく、一見してうちひしがれているようにも見えない。角をまがる、すると突如坂の途中の泥の壁が目に入る。ブルドーザーとダンプが大通りの泥をとりのぞき、路地では何千もの人がショベルを手に懸命に働いている。しかし泥の帝国が消える気配はいっこうにない。頭上にのしかかるような泥の壁。その縁をよじ登ると近くには家の屋根があり、一番近い十字路のあたりに目をやると、ひび割れた泥で埋まった路地がまるで腹一杯餌を喰った大蛇のようにむこうまでのびている。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;少年時代、無限という考えにとらわれたのを僕は覚えている。無限に1を足したら何になるの? そう父に尋ねたものだ。そうして数学について少し学んだわけだが、足しても引いても根本的に変わらない量をイメージするのは難しいままだった。でも目の前のゴナイーヴのこれがそうみたいだ。ナントカという名の援助機関やハイチ政府が泥をかきだしている。しかし、いくら泥を町の外に運び出そうとも、まるで泥の量は変わらないみたいだ。去年の夏の終わり、4つのハリケーンが立てつづけにやってきて雨を降らせた。嵐はまず土をびしょびしょにし、やがてそれを山の麓へと押し流し、町へと、町の家の中へと土を流しこんだ。500人が亡くなり、生き残った人には泥で埋まった町が残された。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;ゴナイーヴはハイチで4番目に大きな町である。約30万人が住んでいる町だ。町は川の氾濫原にあって、ほとんど完璧にまるハゲの山に囲まれている。つまりこういうことだ。数年ごとにハイチにハリケーンが上陸するたび、山から町へと土砂が流れこむ。数ヶ月もすれば泥はからからになってしまう。たくさんの人が家を掘り出して土を積みあげる。他にやる場所もないから土は通りに積んでおくことになる、そして土の山がまた高くなる。そういうことだ。たとえ話ばかりになるが － まるでそれは神話か夢が現実になったみたいに見える。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;「状況は実際よくない」とワトソン･セントルイスの言葉を通訳が教えてくれる。彼は耳がほとんど聞こえない大工の友だちに会いにいくところだ。壊れたドアをなおしてもらうらしい。彼らの生活は実際よくない。それがどれくらいよくないか僕には把握しきれないくらいだ。9月の嵐がやってきた時、「われわれ近所の96人は、あの二階建ての一軒屋の上でぎゅうぎゅう詰めでやり過ごしたんです」そうセントルイスは言う。(僕にもその屋根が見えたが、そんなに広い屋根じゃなかったのは確かだ)&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;それからだいたい4ヶ月たったが、彼の4人の子供のうち登校しはじめたのはたった1人だけ。彼自身学校の先生だが、残りの子の学費を払う余裕はないという。－ 公立学校は控えめに言っても最低限のことしか教えてくれない。ゴナイーヴでは似たような話はごろごろしている。現世の聖人たち － 例えば、空き倉庫をつかって10日で病院を設置したりする国境のない医師団のような人たち － がここで活動しているけれど、目に見える変化はわずかだ。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;僕がハイチにいた頃、たくさんの国際援助機関が帰りの荷物をまとめはじめていた。緊急事態終了、この給料じゃ町の再建まではできないよ、というわけだ。とは言うものの、2004年のハリケーン･ジャンヌが被害をもたらした時から、彼らはずっと働きづめだったのだ。しかし多くの人が、またすぐ戻ってくるはめになるんじゃないかと心配してもいる。町ごと引っ越すという馬鹿げた話もきこえてくる。誰もがそんなお金は金輪際手に入らないことを知っている感じだったのに。僕らは大金持ちのドバイにいるわけじゃあ全然ない。でもドバイなら、かたちだけでも解決の糸口はあったんじゃないだろうかと思う。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;行きあう要人や専門家のみんながみんな、対策はまだまだ足りないと言う。2008年、国際社会はハリケーン対策のお金を倍の8億ドルに増やした。でもそれは、2004年のジャンヌの後でたくさんのお金が汚職で消えていて、去年の災害でほとんど何も進展してないことがわかってしまったからだった。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;&lt;/p&gt;
    &lt;h2&gt;ラバディ&lt;/h2&gt;

    &lt;p&gt;ゴナイーヴとは対照的な、フロリダを思わせる土地がそこから数百km離れたところにある。馬鹿でかくてキラキラしたものがでーんと沖に浮かんでいる。豪華客船だ。僕はハイチで2番目に大きなカペイシャンから30分車で行ったところにいる。ラバディだ(詳しく言うと「Labadee&amp;reg;」は近所の村Labadieからきている)。ビーチにはロイヤル･カリビアン･クルーズラインの客か従業員以外は立ち入り禁止。この会社はあたりの土地をハイチ政府から借りているのだ。ビーチに上陸した客がラバディを離れることはできない。会社の保険が適用されないからだ。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;ぶつかるはずのふたつの世界が、ここでは責任保険と高いフェンスで注意深くへだてられる。フェンスの内側では、水･野菜･ハンバーガーなどすべてが沖の客船から運ばれる。地域経済に貢献しているが、ただの隔離というもの以上のなにかがここにはある。ラバディを非難する人は人種差別まがいだとかいう。それは旅行者の群れがほとんど白人で、接客以外立ち入り禁止のハイチ人は色が黒いからだ。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;けれど事はもっと微妙だ。サウジアラビア女性が無人の土地でしか運転を認められないようなもの。ハイチっぽくないのは確かだがここはアメリカではない。ロイヤル･カリビアンは長いあいだ「ヒスパニョーラのラバディ」と宣伝してきた。格安で第三世界のビーチを借りている事実をうやむやにしている。ただの観光客をひっかける罠。そこには国の名前も記されない。彼らのパンフレットには「ロイヤル･カリビアンのプライベートな楽園」とあるだけだ。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;「ラバディ&amp;reg;にはスペシャルなことがたくさん。」 ウェブサイトはそう煽る。スペルを変えたインチキ商標を使うようなふざけた態度はいったん脇におくが、ラバディ&amp;reg;のスペシャルな点がひとつだけなのはほぼまちがいない。ラバディ&amp;reg;はハイチ唯一の大規模リゾート、現地に大金を落とすスペシャルな土地なのである。クルーズ会社は2050年までそこを借り、上陸する旅行者1人につき10ドル政府に払っている(客は年間50万人ほど)。国の予算のほとんどがまだ海外援助だから、これはハイチ政府にとって重要な収入になる。また、このリゾートでは約500人が働いている。多くは近所のLabadieの村人で、僕の経験だとハイチで一番裕福なのがこの村だ。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;村人が世界の基準で裕福という意味じゃないのは当然だ。水道はないし道らしいものもない(交通手段は歩きかボートで湾を横切るかだ)。村の裏手にもゴミがちらばっている。それでも、君もここにくれば何かしら楽観的なものを感じられるはずだ。それは職がもたらすものだろう。村はやる気のない物憂げな土地ではない。もし村に旅行者が来るようなことがあれば、知識を得るのとひきかえに、村人は少しくらいのお金ならをだすかもしれない。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;居心地の悪さを感じないようにすれば、村に出かけるのはよいことだ。「ぜひラバディ&amp;reg;の魂をつかんでください。」とサイトにはある。ロイヤル･カリビアンおすすめの方法は「ラバデュージー」。特製シェイクで「この世界にはない」飲みものだそうだ。まるで存在しないLabadeeの綴りそのものじゃないか...&lt;/p&gt;&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/4358023851694157304-999371625264109115?l=randomcage.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://randomcage.blogspot.com/feeds/999371625264109115/comments/default' title='Post Comments'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=4358023851694157304&amp;postID=999371625264109115' title='0 Comments'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/4358023851694157304/posts/default/999371625264109115'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/4358023851694157304/posts/default/999371625264109115'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://randomcage.blogspot.com/2010/01/blog-post_2842.html' title='二都物語: ゴナイーヴとラバディ'/><author><name>soulcage</name><uri>http://www.blogger.com/profile/09004893170655174551</uri><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-4358023851694157304.post-4971507568184884846</id><published>2010-01-14T09:11:00.006+09:00</published><updated>2010-01-14T09:46:51.502+09:00</updated><title type='text'>要約: イングランド銀行ワーキングペーパー『マクロプルーデンシャルな政策の役割』</title><content type='html'>&lt;p&gt;イングランド銀行のワーキングペーパー『マクロプルーデンシャルな政策の役割』です。えー、このまま放置すると"やるやる詐欺"になってしまいそう... ということで、とりいそぎ訳してあった "Executive Summary" のみ校正しました。これで勘弁してちょ。BOXとして様々な事例がグラフ満載で提示されていて、僕なんかは見るだけでお腹いっぱい。専門知識がないと読みこなせないと感じたので途中でストップしてました。素養のある方々の参考になるはずです、根拠レスですけれど(笑)&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;ちなみに構成は次のようになっています。それと、サマリ文中に「だろう」とか「かもしれない」が多いのは、本論のほうで詳しく論じているからだと思います。&lt;/p&gt;
&lt;ol&gt;
&lt;li&gt;はじめに&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;マクロプルーデンシャルな政策の目的になりそうなもの&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;システミックな問題の原因: financial frictions and propagation channels&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;集合的なリスク(aggregate risk)を管理するためのツール&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;ネットワークリスクを管理するためのツール&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;堅牢でマクロプルーデンシャルな枠組みを築く&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;実際の施策上の課題&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;まとめ&lt;/li&gt;
&lt;/ol&gt;
&lt;p&gt;&lt;a href="http://www.bankofengland.co.uk/publications/news/2009/111.htm"&gt;News Release
The Role of Macroprudential Policy - Discussion Paper&lt;/a&gt;から原文と関連講演が入手できます。&lt;/p&gt;

&lt;hr/&gt;

&lt;h1&gt;マクロプルーデンシャルな政策の役割&lt;/h1&gt;
&lt;h2&gt;A Discussion Paper&lt;br/&gt;
November 2009&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;This paper was finalised on 19 November 2009.&lt;p&gt;


    &lt;h1&gt;Executive summary&lt;/h1&gt;
    &lt;p&gt;世界規模の金融危機がおき、現存の金融システムを土台から変えねばならないことが明らかになった。そしていま現在、国際的な金融システム(international financial and monetary system) は再点検されているところである。プルーデンシャルな制度枠組みも、その構成がどうであれ、それがシステム全体を扱えるようあらためて方向づけしてやらなければならないだろう。そしてこの先、金融機関が破綻した場合でも、社会が背負いきれないような損失が発生しないようにしなければならない。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;UK Tripartite (訳注: 英金融サービス機構･イギリス大蔵省･イングランド銀行が構成する金融システムの安定のため調整機関)や世界中の専門家同様、イングランド銀行も各レベルの議論に貢献したいと考えている。最近のイングランド銀行による講演において、われわれは金融システムの構成を再チェックする重要性や金融危機に対処し解決する枠組みの改善、法的(訳注: regulatory)枠組みの見直しについて強調してきた。なかでも重要なのは、マクロプルーデンシャルなツールで何ができるのかということである。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;金融危機がおきる前、国際金融システムではレバレッジが積み上がったり流動性のミスマッチがおきたりしており、システムがマクロ経済や市場の有害な変化に対して弱くなっていた。そしてこれが、今のわれわれが抱える問題の源になっていたのである。今後大切なのは、システム全体に関わるリスク、いわゆるシステミックリスクに対処できるようプルーデンシャルな規制(訳注: regulation)をもう一度方向づけてやることだ。これがマクロプルーデンシャルな政策の役割である。本稿において、マクロプルーデンシャルなツールをどう設計しどう展開していったらよいのか、新しいアイディアを提供していくつもりだ。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;マクロプルーデンシャルな政策は現在の政策枠組みに欠けている要素である。過去数10年間、マクロ経済政策と個々の金融機関の規制とはあまりにかけ離れすぎていた。マクロプルーデンシャルな政策によってシステムの回復力が強化されていて、経済に信用が潤沢に供給されていたなら、今回の危機による損害も軽減できていたであろう。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;金融的な安定とは、経済全般に対して決済システムや信用供給、リスク保証などの金融サービスを安定供給していくことだと考えられている。これがあらゆるマクロプルーデンシャルな政策ツールの出発点である。例えば資産バブルを未然に防ぐというような、より野心的な目標を思い描くこともできる。マクロプルーデンシャルな政策によって信用(訳注: credit)供給の勢いをなだめ、資産バブルを牽制できることもある。しかしながら、銀行システムの規制の目標を資産バブルの阻止だけにしぼるのは非現実的だといえよう。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;システミックリスクには主にふたつの源がある。ひとつは、金融関連企業を集合体として見たときの傾向である。これらの企業には、信用供給に勢いがあれば自らを過度にリスクにさらし、逆に信用が供給されなくなると過度にリスクを嫌うという強い傾向がある。一般企業や家計にも同じことがいえる。金融関連企業がこのような傾向を持ってしまう理由は様々で、破綻すると市場に甚大な被害が出るような企業を市場が抱えている、というのもその理由だ。システミックリスクのふたつめの源は、個々の銀行というものは、自らが金融ネットワークの他の部分に与える波及効果を考慮しないものだという点にある。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;本稿は、現行のミクロプルーデンシャルな資本配分(訳注: prevailing microprudential capital ratios)に加え、さらに資本課徴金(capital surcharges)を課すことで、景気の上昇圧力(cyclical overexuberance)の勢いをそぐことが実際に可能なのかどうかを検討していくことにする。このような課徴金は一般的な自己資本比率(headline capital requirements)に上乗せすることもできるし、もっと細かいレベル(いわゆる特定のタイプのエクスポージャーに関する"リスクウェイト")に適用することもできる。業種別アプローチをとるなら、上昇圧力がかかっている業種に照準をあわせて課金することもできるが、政策はより複雑なものになってしまうだろう。資本に課金する際の対象レベルをどれくらい細かくするのがよいかについては、注意深い考察が必要になろう。&lt;/p&gt;

    &lt;blockquote&gt;
      &lt;p&gt;&lt;small&gt;※訳注: 意味不明ですみません、辞書には以下のように...&lt;br/&gt;
exposure: 損失可能状態[度, 投資額], エクスポージャー。特定の原因･事情に基づく損失危険にさらされた資金や状態: 特に&lt;br/&gt;
(1) (銀行･証券会社などの顧客または国への)与信総額(約束額を含む),債権残高&lt;br/&gt;
(2) (為替レート変動による)外国為替エクスポージャー&lt;/small&gt;&lt;/p&gt;
    &lt;/blockquote&gt;

    &lt;p&gt;信用バブル時に自己資本比率を引き上げれば、システム全体に対して自己保証システムを形成することができ、システムの周縁部で盛んにおこなわれる借入れも制限することができる。しかしここで非常に重要なのは、このメカニズムが逆方向にもつかえるということである。つまり、不況の際に自己資本比率をさげてやれば、銀行に対して貸出しのインセンティブを与えることができ、金融セクター全体の貸し渋りを減らして、景気悪化や銀行の損失をくいとめられるかもしれないのである。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;資本課徴金は、上記のように信用サイクルにおけるリスクの変化に対処するのにも使えるが、それとはまた別に、個々の企業がシステミックリスクの軽減に等しく貢献するよう使うこともできるだろう。例えば、金融サービス機構が検討しているように、銀行の規模やコネクション(connectivity)、複雑さに応じて課金することもできるのだ。このようなやり方を採用すれば銀行の破綻の可能性は減り、システムを補強することができるだろう。また、これは課金される企業にバランスシート構成を変えるインセンティブを与えることでもあり、彼らの破綻がシステムに与える影響を小さくすることにもなる。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;実用上の大きな問題は、上記のようなねらいを持ったマクロプルーデンシャルな制度が施行可能か否かである。資本への課徴金は基準に照らして調整しなければならないだろう。つきつめれば、分析や市場調査やモデルに基づいた判断が必要だということでもある。そのため本稿では量的･質的な指標をいくつかとりあげ、それについて概説して要約し、今後の作業が有用なものになるようにする。おもに取りあげるのは、マクロ経済&amp;#30340;なもの、金融システム全体に関わるもの、そしてそれらの相互関係についてのものになる。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;マクロプルーデンシャルなツールが、いつも変わらぬルールで設定されるようなことはありそうにない。厳しい政治的選択をするために判断が必要になるかもしれない。したがって、システムの回復や信用の状態、セクターごとの債務状況、システムへの波及効果についても評価しなければならなくなる。そのどれもが状況によって時間とともに変わっていくものだ。手にした情報には重みづけが必要であり、為政者自身このツールによって金融機関の振舞いがどう変わるのかを学び、変わっていかねばならないのである。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;また、マクロプルーデンシャルな制度には透明性や説明責任、予測可能性の点で限界があるという点も重要である。マクロプルーデンシャルな政策目標や政策決定のしくみ、そして決定事項そのものについても明瞭さがもとめられる。説明責任を果たすためのしっかりしたメカニズムも必要だろう。このようなマクロプルーデンシャルな制度の持つ"限定された裁量権(constrained discretion)"という性格は、マクロ経済政策の枠組みに似ているところがある。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;もうひとつ重要な課題は国際協調である。マクロプルーデンシャルな制度が完全な効果を発揮するには、緊密な国際協調が必要になることもあるだろう。しかし国際協調がなかったとしても、マクロプルーデンシャルなツールを適切に使って、国内金融セクターの回復力を強化できることに変わりはない。&lt;/p&gt;

    &lt;p&gt;本稿は、規制当局や中央銀行による既存の施策を概観することによって、実施できるマクロプルーデンシャルな政策制度としてどんなものがあり得るかまとめたものである。施策について結論づけることはないし、特定の制度を推奨するようなこともしない。これらの政策を実行に移すまでには、その準備としてまだまだ多くの作業が必要だろうから。本稿の目的はそのようなものではなく、マクロプルーデンシャルな政策について、国内外でおこなわれる今後の議論に貢献することである。われわれイングランド銀行は、ここで述べられるアイディアや分析についてのコメントや批判を歓迎する。&lt;/p&gt;&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/4358023851694157304-4971507568184884846?l=randomcage.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://randomcage.blogspot.com/feeds/4971507568184884846/comments/default' title='Post Comments'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=4358023851694157304&amp;postID=4971507568184884846' title='0 Comments'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/4358023851694157304/posts/default/4971507568184884846'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/4358023851694157304/posts/default/4971507568184884846'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://randomcage.blogspot.com/2010/01/blog-post_14.html' title='要約: イングランド銀行ワーキングペーパー『マクロプルーデンシャルな政策の役割』'/><author><name>soulcage</name><uri>http://www.blogger.com/profile/09004893170655174551</uri><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-4358023851694157304.post-5883437255575869417</id><published>2010-01-12T19:10:00.018+09:00</published><updated>2010-01-12T20:12:18.967+09:00</updated><title type='text'>アダム･ポーゼン: イギリスが失われた10年を回避できたわけ。</title><content type='html'>&lt;p&gt;以前訳したDailyMail誌の記事をこちらに移動。&lt;a href="http://www.dailymail.co.uk/money/article-1237615/THE-CITY-INTERVIEW-Monetary-Policy-Committee-member-Adam-Posen-Why-Britain-avoided-lostdecade.html"&gt;「The City Interview Monetary Policy Committee member Adam Posen "Why Britain avoided lostdecade."」&lt;/a&gt;&lt;/p&gt;
   &lt;hr /&gt;
   &lt;h3&gt;シティ街インタビュー: アダム･ポーゼンが語る、イギリスが失われた10年を回避できたわけ。&lt;/h3&gt;

   &lt;p&gt;サム･フレミング、最終更新: 1:46 AM on 22nd December 2009&lt;/p&gt;

   &lt;p&gt;アダム･ポーゼンがイングランド銀行で働きはじめて3ヶ月以上も経つ。しかし、スレッドニードル通り(ロンドンの銀行街)の立派な事務所の床は、積みっぱなしの段ボールだらけのままだ。&lt;/p&gt;

   &lt;p&gt;さもありなん。ハーバード育ちの教授がイングランド銀行の金融政策委員に選ばれたのは、生涯に一度あるかないかの大惨事のまっただ中。事務所の整理整頓に頭を悩ませている場合ではないのである。&lt;/p&gt;

   &lt;p&gt;実際、歯に衣着せぬ43歳のアメリカ人は、まるで数ノットで進む政策提言量産マシーンのように働いてきた。着任初日からイギリスの金融システムの"徹底的な改革"に刈り出され、借金の8割がすでに首の回らない極小零細企業のものだという"不穏な"統計をふりかざし、強調して見せたのも彼である。&lt;/p&gt;

   &lt;p&gt;(ポーゼンさんの顔写真)&lt;/p&gt;

   &lt;p&gt;[キャプション] Plan B: ポーゼンは最悪の時期が過ぎたと信じている。けれど、彼はまだ、量的緩和が失敗した時に使う別の選択肢を見つけようとしている。&lt;/p&gt;

   &lt;p&gt;ポーゼンは彼が"プランB"とよぶ計画についても作業を進めている。イングランド銀行の量的緩和が失敗してぽしゃった時、信用の流れを回復させるような政策だ。今月はじめ、資産バブルを抑える新しい税金について彼に熱く語ってもらった。&lt;/p&gt;

   &lt;p&gt;休暇でアメリカに戻る前の18日、彼の話を聞くことができた。当局がこれまで行なってきた財政･金融的機銃掃射は、景気後退の軽減にはどうしても必要だったということである。&lt;/p&gt;

   &lt;p&gt;ポーゼンは「我々は最悪の事態を防いだんです」と90年代日本の"失われた10年"を引きあいに説明する。&lt;/p&gt;

&lt;blockquote&gt;
&lt;p&gt;「彼ら(日本人)は初期ショックに対して戦いを挑まず、減税や金融刺激策を使うこともありませんでした。我々はそれをやったし、それは機能しています。」&lt;/p&gt;
&lt;/blockquote&gt;

   &lt;p&gt;イングランド銀行の見通しでは今後2年はかなりしょぼいままな可能性はある。ポーゼンによると「景気過熱のシナリオより低迷のシナリオのほうがずっとイメージしやすい。」のだそうだ。&lt;/p&gt;

   &lt;p&gt;しかしながら、2000億ポンドもの現ナマが刷られたら(create)、インフレになってしまうんじゃないかと心配する人もいるだろう。そういう人は表計算ソフトを使ってもういちど考え直したほうがいい。経済指標をみれば、"インフレはほとんど起きてない"と言えるはずだ。&lt;/p&gt;

&lt;blockquote&gt;
   &lt;p&gt;「インフレ期待や債券市場調査、実際の生産量が、目標から実質値で外れていくようなら、我々は行動を起こす。しかし彼ら日本人は行動を起こしていない。」 (訳注: イングランド銀行は2%のインフレ目標も設定している)&lt;/p&gt;
&lt;/blockquote&gt;

   &lt;p&gt;これまで、金融政策委員になったアメリカ人は DeAnne Julius(1997-2001) とポーゼンの2人しかいない。我の強いこの教授はもの言いも率直で、イングランド銀行の他のもっと寡黙な委員たちをしばしば狼狽させてきた。&lt;/p&gt;

   &lt;p&gt;だが、大蔵省が彼を採用したのは、ひとつには日本で起きた資産･金融危機について豊富な研究があったからである。このイベントはまるで2008-2009年におきた世界的な危機のゲネプロのようだった。日本が陥っているのがデフレなのは火を見るより明らかで、多くの経済学者がイギリスも同じほうに向かうのではないかと恐れた。しかしながら、今となっては、ポーゼン教授の勝ちはほぼ確実だろう。&lt;/p&gt;

   &lt;p&gt;ポーゼン曰く、&lt;/p&gt;

&lt;blockquote&gt;
&lt;p&gt;「イギリスの状況はデフレからはほど遠くて、結構なことです。」&lt;br/&gt;
「自画自賛ですが、我が国のインフレ率がユーロ圏やアメリカ連銀より高くなっているのは、我々がインフレ目標をより明確かつしっかりと定めていて、ゆえに他国よりデフレリスクが少ないからだと思います。実際、そこには真実がちょっとはあると思うんですが。」とも。&lt;/p&gt;
&lt;/blockquote&gt;

   &lt;p&gt;ポンドの下落もインフレ率の上昇を支えてきた。&lt;/p&gt;

&lt;blockquote&gt;
   &lt;p&gt;「政策でコントロールする類ものではないんですが、微妙な調整のバランスの上になりたつ世界ではありますね。」&lt;/p&gt;
&lt;/blockquote&gt;

   &lt;p&gt;彼はそう言うけれど、金融業界を放置しておくわけにもいかないのである。ロンドンの金融街で持ちあがっている話に、規制強化とボーナスへの課税がイングランドの築いた財産を壊滅させかねないというものがある。これに対してポーゼンは冷たい。&lt;/p&gt;

&lt;blockquote&gt;
   &lt;p&gt;「個人的にはそんな話はぜんぜん気になりません。金融システムを安定させるのに正しいことをする必要があるし、たとえ、その施策で金融業界の雇用や彼らの給料が減ったとしても、それは諦めるしかないこと。」&lt;br/&gt;
「誰だって自分の庭の芝生を踏みつけられればぶつくさ言うものです。ロンドンの高級住宅地に住むヘッジファンドマネージャが、みんなスイスのツークに引っ越していくなんて信憑性に欠ける話だし。」&lt;/p&gt;
&lt;/blockquote&gt;

&lt;p&gt;さらに彼はこうもつけ加えた。&lt;/p&gt;

&lt;blockquote&gt;
&lt;p&gt;「我が国とシティとの恋路はこれまでも、いつもこんな感じでした。彼らの言い分には正当化できる部分もありますが、近代国家で終身雇用にこだわれば負け犬になってしまうものです。」&lt;/p&gt;
&lt;/blockquote&gt;

   &lt;p&gt;イングランド銀行の量的緩和にとって、ポーゼンは強力かつ忠実な支持者である。イングランド銀行は、英国債をピンピンの新札(fresh money)で買い、経済に活力を与えようとしている。民間債務の買取りにその多くが使われていたなら、彼にも気に入らない点があっただろう。ポーゼンによると、そこは現時点では"議論の余地がある"ものだそうだ。&lt;/p&gt;

&lt;blockquote&gt;
   &lt;p&gt;「イングランド銀行が民間の債務を買取れれば、量的緩和政策は少しだけ効果を増すかもしれません。でも今のところ、我々はまだ自分たちの施策がうまく機能すると思っています。」&lt;/p&gt;
&lt;/blockquote&gt;

   &lt;p&gt;これをみるには企業の借入量が指標になるが、ポーゼン的にはさい先は明るいようだ。&lt;/p&gt;

&lt;blockquote&gt;
   &lt;p&gt;「信用面で中小企業にかかっている負担は、通常の景気後退時と比べてそれほど酷いわけではありません。つまりこれは量的緩和が効いているとみてよいということです。」&lt;/p&gt;
&lt;/blockquote&gt;

   &lt;p&gt;この先、量的緩和政策が終わる時、英国債市場が"不安定"になる可能性はポーゼンも認めている。&lt;/p&gt;

&lt;blockquote&gt;
   &lt;p&gt;「イングランド銀行がこの9-10ヶ月間に買取ってきた金額はたしかに巨額です。しかし、買取り停止は市場に激しく(deep and liquid)影響するものなので、仮に我々が買取りをやめるとしたら、その影響も単なる移行や推移(transitional effect)以上のものになるでしょうね。」&lt;br/&gt;
「それでも、英国債の需要は十分にありますよ。」と彼はつけ加える。&lt;/p&gt;
&lt;/blockquote&gt;

   &lt;p&gt;もちろん、政府債を消化しようという市場の意欲は、大蔵省がその(英国債発行による)巨額の借金について信憑性のある計画を立てられるかどうかで決まってくる。ポーゼンは次の政権が、それが誰であれ、正しく処理すると確信している。たとえ次の政権が保守であったとしても、彼は"楽観"している。&lt;/p&gt;

&lt;blockquote&gt;
   &lt;p&gt;「実際、どこかの外国とは違って、イギリスでは成熟した政治が行なわれています。債務市場はその事実を反映して動揺していませんね。政治が信頼できるので、来年の選挙後まもなく、何らかの手だてがとられるでしょう。」&lt;/p&gt;
&lt;/blockquote&gt;

   &lt;p&gt;イングランド銀行は先月インフレレポートを発行した。そこでの成長見通しは、次期政権がとるであろう緊縮財政を公式には考慮していない。しかしながら、ポーゼンによると、このさき民間にかかるであろう圧力については、彼らも意識しているとのことだ。&lt;/p&gt;

&lt;blockquote&gt;
   &lt;p&gt;「我々は一般家計や民間がいくらかは貯蓄を増やねばならないと思っています。」&lt;br/&gt;
「インフレレポートの予想には、経済全体がバランスを取りもどす動きと国民貯蓄の増加を矛盾しないよう組みこんであります。」&lt;/p&gt;
&lt;/blockquote&gt;

&lt;p&gt;また彼は、&lt;/p&gt;

&lt;blockquote&gt;
&lt;p&gt;「イングランド銀行は、財政政策の内容まで含めて予測しているわけではありません。それに、財政政策が出てきて、その規模や構成がわかったからといって、イングランド銀行が予測を修正しなければならないというわけでもないでしょう。」&lt;/p&gt;
&lt;/blockquote&gt;

&lt;p&gt;とも言い添えた。&lt;/p&gt;

   &lt;p&gt;彼の吸収力はまったくあなどれない。このヒゲの学徒は、近ごろ訪れたエセックスのダグナム地区が、"X Factor"(歌のオーディション番組)の最終選考に残ったステイシー･ソロモンの出身地だということも知っていたりするのだ。&lt;/p&gt;

   &lt;p&gt;ポーゼンは地元イズリントンのパブの常連客になったそうである。では最後に、数ヶ月間イギリスに住んだ経験から、我が国の将来について語ってもらうことにしよう。&lt;/p&gt;

&lt;blockquote&gt;
   &lt;p&gt;「普通のイギリス人労働者にとって、70年代や60年代よりは暮らしむきがよくなっていくでしょう。ですが、この10年、15年のような暮らしは期待できないと思います。」&lt;br/&gt;

「ジャパニーズスタイルの失われた10年にはなりませんが、2、3年は成長が鈍化してもおかしくないと思います。」&lt;/p&gt;
&lt;/blockquote&gt;

   &lt;p&gt;我が国は、まだ経済的打撃から立ち直りはじめたばかりだ。たしかにその影響は多大なものである。しかしそのような中で、ポーゼンが描く将来は運がよいほうだとは思えやしないだろうか。&lt;/p&gt;&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/4358023851694157304-5883437255575869417?l=randomcage.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://randomcage.blogspot.com/feeds/5883437255575869417/comments/default' title='Post Comments'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=4358023851694157304&amp;postID=5883437255575869417' title='0 Comments'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/4358023851694157304/posts/default/5883437255575869417'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/4358023851694157304/posts/default/5883437255575869417'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://randomcage.blogspot.com/2010/01/10_12.html' title='アダム･ポーゼン: イギリスが失われた10年を回避できたわけ。'/><author><name>soulcage</name><uri>http://www.blogger.com/profile/09004893170655174551</uri><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-4358023851694157304.post-6099806212978252960</id><published>2010-01-12T08:11:00.003+09:00</published><updated>2010-01-12T08:18:29.128+09:00</updated><title type='text'>ハロルド･ジェームズ: 銀行、国家、そして金融危機</title><content type='html'>&lt;p&gt;Project Syndicate 2009年2月9日、&lt;a href="Attribute name: http://www.project-syndicate.org/commentary/james24"&gt;Banks, States, and Financial Crises&lt;/a&gt;の翻訳。&lt;/p&gt;
    &lt;p&gt;もし金融危機について知りたければ、入口として night_in_tunisia さんが訳した&lt;a href="http://mathdays.blog67.fc2.com/blog-entry-991.html"&gt;『金融危機を理解する』&lt;/a&gt;がおすすめ。分量は少ないけれど、&lt;a href="http://mathdays.blog67.fc2.com/blog-entry-992.html"&gt;「1.2 ヨーロッパとアメリカの歴史上の経済危機」&lt;/a&gt;あたりが内容的には重なる。PDFは&lt;a href="http://www.scribd.com/doc/24414278/金融危機を理解する"&gt;こちら&lt;/a&gt;。&lt;/p&gt;
    &lt;p&gt;ハロルドさんは&lt;a href="http://www.amazon.co.jp/グローバリゼーションの終焉―大恐慌からの教訓-ハロルド-ジェイムズ/dp/4532350018"&gt;グローバリゼーションの終焉―大恐慌からの教訓&lt;/a&gt;(ただし2002年)という本も書いてます。レビューによると題名と内容があってないそうですが。ちなみに訳者は話題のタイラー･コーエン本の訳者。この本のアップデートがたぶん&lt;a href="http://www.nber.org/authors/harold_james"&gt;NBERにある&lt;/a&gt;「The Great Depression Analogy」(2009年)かなぁ(串を刺せばDLできる、ぼそ...)&lt;/p&gt;
    &lt;p&gt;たまたま、同じ日に optical_frog さんが訳していた&lt;a href="http://d.hatena.ne.jp/optical_frog/20100112/p1"&gt;『クルーグマン「ヨーロッパに学ぶ」』&lt;/a&gt;をあわせて読んだんだけど、なにかむくむくと感じるものがあったり(なかったり)したのが個人的には面白かったです。&lt;/p&gt;
    &lt;hr/&gt;
    &lt;h1&gt;&lt;!-- Banks, States, and Financial Crises --&gt;銀行、国家、そして金融危機&lt;/h1&gt;
    &lt;p&gt;&lt;!-- Harold James --&gt;ハロルド･ジェームズ&lt;/p&gt;
    &lt;!-- PRINCETON ｭ The most recent phase of the financial crisis, since the collapse of Lehman Brothers in September 2008, has been characterized by large bank losses and the continued threat of bank collapses. The size of the calamity raises the question of whether small countries can really afford bank bailouts. --&gt;
    &lt;p&gt;金融危機の最新局面 － つまり2008年9月にリーマンブラザーズが破綻してからの時期ということだが － は、銀行の大損害とその破綻への脅威が続いているのが特徴だ。この災害の規模は、小さな国が銀行を救済できるか本当に分からないくらい大きくなっている。&lt;/p&gt;

    &lt;!-- But the definition of "small" keeps changing: a few months ago, small meant Iceland , then it meant Ireland, and now it means the United Kingdom. The aftermath of the banking crisis requires thinking about not only the most appropriate form of banking legislation, but also the appropriate size of the state. --&gt;
    &lt;p&gt;「小さい」という言葉の定義はいまだ変わり続けている。数ヶ月前、小さいのはアイスランドだった。それは次にはアイルランドに変わり、今ではイギリスを指すようになっている。金融危機の余波で、もっとも適切な金融関連法のありようだけでなく、もっとも適切な国家の規模まで問題になってきているのだ。&lt;/p&gt;

    &lt;!-- There has always been uncertainty about the best design of a banking system, and there has always been competition between different sorts of banking regulation. On the one hand, there is the idea － which defined banking for much of American history － that banks should be close to the risks that they must judge. This ideal grew out of Andrew Jackson's titanic struggle with Nicholas Biddle and the Second Bank of the United States. Populism was pitted against the financiers, and populism won. As a result, most nineteenth-century US banks did not have branches, and were limited to one state . --&gt;
    &lt;p&gt;どんなものが最善の金融システムなのかは、これまでもずっとあやふやだったし、違ったかたちの金融制度(訳注: 法規)が競いあってきた。そのひとつは、個々の銀行は自らのリスクについては自らで判断すべしという考え(訳注1)。アメリカでは長いあいだ銀行とはこういうものと考えられてきた。この見解はアンドリュー･ジャクソン第7代大統領とニコラス･ビドル第二アメリカ合衆国銀行総裁との激しい争いの末にできあがったものだ。当時はポピュリズムが財政家を押さえこみ、その結果、19世紀のほとんどのあいだアメリカの銀行が支店を持つことはなかった。(訳注2)&lt;/p&gt;

    &lt;blockquote&gt;
      &lt;p&gt;&lt;small&gt;訳注1: banks should be close to the risks that they must judge.&lt;br/&gt;訳注2: このあたりの話は「&lt;a href="http://en.wikipedia.org/wiki/Bank_War"&gt;Bank War(銀行戦争)&lt;/a&gt;」と呼ばれる。アメリカに連邦準備制度ができる前の話。まだ南北戦争もおきてない。当時のアメリカには今のような中央銀行は存在しなかった。第二アメリカ合衆国銀行は、民営ながら全国に支店がある唯一の銀行で金融システムに強大な影響力を持っていたらしい。これはジャクソン大統領とニコラス･ビドル総裁の政争でもあった。日本語なら&lt;a href="http://blog.goo.ne.jp/motoyama_2006/e/33c32284d4be0d8c692caa015fc8ef7e"&gt;野崎日記「米国国法銀行をめぐるリパブリカンとフェデラリスト(4)」&lt;/a&gt;がよいのではないだろうか。著者は今次の金融危機については「ハイパー･インフレ信者」みたいだし、他の記事もちょっと香ばしい感じだけど、歴史的事実のまとめはそれとは関係ないでしょうということで。他にはWikipediaの&lt;a href="http://ja.wikipedia.org/wiki/第二合衆国銀行"&gt;第二合衆国銀行(第二アメリカ合衆国銀行)&lt;/a&gt;とか。英語版を参照したほうが詳しいです。結局、第二アメリカ合衆国銀行はチャーターと呼ばれる特許状を更新してもらえず、1841年に廃業においこまれた。その結果比較的小さな銀行が乱立した状態だったんだと思う。これが次のカナダと対照的な点になる。&lt;/small&gt;&lt;/p&gt;&lt;/blockquote&gt;

    &lt;!-- The alternative approach was that of Canada , which, because of its roots in secure British rule, had much less fear of political centralization, and was prepared to tolerate a nation-wide banking system. Canada's large banking system distributed risk more widely, and fared better in episodes of financial panic, whether in 1907 or in 1929-1933. --&gt;
    &lt;p&gt;もうひとつの道、アメリカとは別の道を歩んだのがカナダである。カナダの制度は堅牢なイギリスのものに由来している。そこではアメリカと違って中央集権的な政治に対する懸念がずっと少なく、全国的な金融システムを許容する体制は整っていた。カナダはこの大金融システムによってリスクをより広く分散させ、1907年の金融パニックや1923年から1933年にかけての金融パニックをうまく乗りこえることができた。&lt;/p&gt;

    &lt;!-- The larger-bank principle has two chief attractions. First, it promises more effective risk management, because large banks are less exposed to a single sort of customer (in contrast to rural American banks, which suffered when American farmers suffered ). Second, it lends itself much more effectively to long-term strategic thinking about the overall direction of the national, or even the international , economy . --&gt;
    &lt;p&gt;大規模銀行主義には大きな魅力がふたつある。ひとつは規模が大きいほうがリスク管理効率が確実によくなるということ。大銀行は少数の顧客の影響ではびくともしない(対照的に、アメリカの地方銀行は農民の経済状態の影響を大きく受けた)からだ。もうひとつは、あらゆる方面への経済的長期戦略を立てる際、規模が大きい方が国内外関係なくずっと効率的にやれるという点。&lt;/p&gt;

    &lt;!-- But larger banks can get into trouble when these two principles get mixed up. The idea of the larger bank reached its high point in continental Europe, and especially in Germany, whose big banking system developed out of trade finance and into industrial finance in the late nineteenth century . --&gt;
    &lt;p&gt;とはいうものの、大銀行がトラブルをおこすこともある。それは上のリスク管理と戦略というふたつの法則がまぜこぜになってしまった時だ。大銀行がもっとも発展して頂点に達したのはヨーロッパで、ドイツはその代表格である。19世紀末、ドイツの一大金融システムは貿易から産業へとお金を動かすことで発達していた。&lt;/p&gt;

    &lt;!-- By that time, countries were looking with eager interest at financial models developed elsewhere. After the 1907 panic, the US Congress convened a National Monetary Commission, whose most interesting and attractive potential model for the US was German-style universal banks, which were imitated in Russia, Japan, Italy, and Egypt. By 1931 , even Britain found it hard to resist the German model. It, too, conducted an official inquiry , establishing the Macmillan Committee to hear evidence about how poorly British banks served British industry, and how the German model did a much better job at converting savings into industrial finance. --&gt;
    &lt;p&gt;そのころ、各国はいたるところに現れた金融モデルに非常な関心の目をそそいでいた。1907年の金融危機の後、アメリカ議会は国家金融委員会(National Monetary Commission)を設置して世界中の金融システムを調べた。アメリカがもっとも関心を示し魅力的だと考えたのは、ドイツ式のユニバーサルバンク(訳注: 預金から証券、保険まで扱う総合金融機関)だった。当時、ドイツ式はロシア･日本･イタリア･エジプトだけが採用していたモデルだ。イギリスでさえ、1931年までにはドイツ式導入には抵抗できなくなった。イギリスは公式にマクミラン委員会(訳注: ケインズも委員だった)を設置、国内銀行がいかに産業の役に立っていないか、反対にドイツ式システムが貯蓄を産業融資にまわすしくみとしていかにうまく機能するかを示す証拠を集めてまわったのである。&lt;/p&gt;

    &lt;!-- The Great Depression ended this imitative surge in which the universal bank appeared to triumph. By an unfortunate coincidence, the Macmillan Committee produced its report on July 13, 1931, the day that Germany's most dynamic universal bank , the Darmst臈ter Bank , failed. --&gt;
    &lt;p&gt;大恐慌の結末は、このようなユニバーサルバンク方式の世界的普及であり、それは大勝利をおさめたようにみえた。マクミラン委員会の報告書が公表された1931年7月13日、その同じ日、ドイツでは最大の総合銀行ダルムシュタット銀行が破産したのは歴史の皮肉ではあるが。&lt;/p&gt;

    &lt;!-- By the 1990's , however, emulation of other banking models was back in fashion. Financial empire building drove late twentieth -century globalization. There was a competitive race across the Atlantic and ｭ to a lesser extent ｭ the Pacific. --&gt;
    &lt;p&gt;しかし1990年代がくるころにはこの流れもおさまり、金融帝国の勢力拡大が20世紀末のグローバル化の原動力になっていた。大西洋をはさんで競争がおき、程度は小さいものの太平洋の両側でも競争がおこなわれるようになったのだ。&lt;/p&gt;

    &lt;!-- Indeed, gradual integration of the potentially vast European capital market, and the creation of cross-border European banks as a result of mergers, made it look as if a new European breed of superbanks was emerging . Likewise, Japan responded to its banking crisis by creating very large merged institutions, while the US repealed much of the depression-era legislation that restricted banking. Finally , after Mexico's 1994-95 peso crisis and the 1997-1998 Asian financial crisis, the US exported its new banking model to the emerging-market economies. Spanish and US banks moved heavily into Latin America . --&gt;
    &lt;p&gt;実際、膨大な可能性を秘めたヨーロッパの資本市場がだんだん統合され、吸収合併によって国境をまたいだ銀行ができていくのを見ると、あたかもヨーロッパ生まれの新しいスーパー銀行の出現を目にしているかのように感じる。同様に、日本では金融危機によって吸収合併がすすんで巨大な金融機関が誕生し、アメリカでも恐慌時代の金融業を規制するような法律のほとんどが廃止された。1994年から'95年のメキシコペソの通貨危機や、'97年から'98年のアジア金融危機がおきた後、最終的にアメリカは自国の新しい金融モデルを新興国へと輸出するような国になり、かなりの数のスペインとアメリカの銀行がラテンアメリカへと移っていっている。&lt;/p&gt;

    &lt;!-- The appeal here was the opportunity for strategic vision, most clearly seen and pursued by Robert Rubin, first as Treasury Secretary in the Clinton administration and then as an adviser to the new giant of US banking, Citigroup, which emerged out of a 1998 merger . --&gt;
    &lt;p&gt;このように魅力的な可能性は戦略的ビジョンに道を拓いた。それはロバート･ルービンの態度にはっきり見てとれるし、彼がすすめているようなものでもある。彼はまずクリントン政権で財務長官をつとめ、吸収合併で1998年にシティグループが誕生すると、この新しいアメリカ式大規模金融機関のアドバイザーとして働くようになった。&lt;/p&gt;

    &lt;!-- But the new superbanks were inherently vulnerable because of the vast diversity and complexity of their transactions. Long before the emergence of the sub-prime mortgage problem, Citigroup was damaged by the behavior of its London traders, who tried to manipulate the European government bond market, and by its Tokyo traders. --&gt;
    &lt;p&gt;しかし、新しいスーパー銀行は業務が多岐にわたり複雑で、この弱点はぬぐいきれないほど染みついている。サブプライムローン問題が発生するずっと前、シティグループはロンドンの駐在員の行為で損失を出したことがある。ヨーロッパ政府の債券市場を操作しようとしたのだ。同様な問題は東京の駐在員でもおきていた。&lt;/p&gt;

    &lt;!-- It is much simpler for a transnational manufacturing corporation to implement controls to ensure product quality. By contrast , in a company whose business is financial intermediation, millions of judgments are made independently, and their implications may be serious enough to threaten the entire firm. --&gt;
    &lt;p&gt;同じ多国籍企業でも、それが製造業なら、製品の質をきちんとコントロールするのは簡単だ。しかしこれが金融仲介業だと、何百万もの判断がばらばらにおこなわれていて、それがからみあえば、企業全体が破産しかねないほど深刻な状況になりかねないのだ。&lt;/p&gt;

    &lt;!-- When the strategy goes wrong, the recriminations begin . Traditional mid -sized European states cannot afford to have a strategic vision for their banks. But, even for the US , the notion of a world held together by Citigroup's business plan is simply too costly . There is a danger that in the push to nationalize banks as a consequence of the financial crisis, governments will see it as their duty to implement strategies. --&gt;
    &lt;p&gt;もし彼らの企業戦略が道を誤れば、そのしっぺ返しがはじまるだろう。歴史あるヨーロッパの中くらいの国でも、戦略ビジョンを立てて国内銀行を支援するようなことはできない。しかしアメリカにとってさえ、シティグループのビジネスプランと自国の世界イメージを重ねあわせるようなことは、ただただコストが大きすぎるばかりだ。金融危機のせいで銀行を国有化するような圧力が強まるのは危険でもあるのだ。もしそうなれば、政府は国有化した企業の戦略遂行を自らの義務のように考えるようになるだろうから。&lt;/p&gt;

    &lt;!-- The strategic vision of a bank shaping the economic fortunes of a country, or the whole world, is as flawed as was the idea of central economic planning. In this sense, 2007 -2009 is the capitalist equivalent of the communist demise of 1989 -1991. --&gt;
    &lt;p&gt;ひとつの銀行が国や世界全体の経済的な運命を決めてしまうような戦略ビジョンは、中央集権的な計画経済(central economic planning)とおなじくらい欠陥を抱えたアイディアだ。この文脈では、2007年から2009年の資本主義は1989年から1991年の共産主義崩壊となんらかわらない状況に面しているとも言えるのである。&lt;/p&gt;&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/4358023851694157304-6099806212978252960?l=randomcage.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://randomcage.blogspot.com/feeds/6099806212978252960/comments/default' title='Post Comments'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=4358023851694157304&amp;postID=6099806212978252960' title='0 Comments'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/4358023851694157304/posts/default/6099806212978252960'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/4358023851694157304/posts/default/6099806212978252960'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://randomcage.blogspot.com/2010/01/blog-post_8544.html' title='ハロルド･ジェームズ: 銀行、国家、そして金融危機'/><author><name>soulcage</name><uri>http://www.blogger.com/profile/09004893170655174551</uri><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-4358023851694157304.post-1545360405729554491</id><published>2010-01-12T00:52:00.002+09:00</published><updated>2010-01-12T00:53:27.977+09:00</updated><title type='text'>インフレと債務不安で回復は頼りない感じだ。</title><content type='html'>&lt;p&gt;Financial Times 誌の&lt;a href="http://www.ft.com/cms/s/e188efaa-f8a4-11de-beb8-00144feab49a.html"&gt;「Inflation and debt fears point to a nervous recovery」&lt;/a&gt; の翻訳だす。なんか前にも&lt;a href="http://randomcage.blogspot.com/2010/01/blog-post_05.html"&gt;似たような内容のもの&lt;/a&gt;を訳した気がするのは気のせい...だろう、たぶん(笑)。&lt;/p&gt;
    &lt;hr/&gt;
    &lt;h1&gt;&lt;!-- Inflation and debt fears point to a nervous recovery --&gt;インフレと債務不安で回復は頼りない感じだ。&lt;/h1&gt;
    &lt;p&gt;&lt;!-- By Chris Giles and Daniel Pimlott --&gt;クリス･ガイルズ、ダニエル･ピンプロット&lt;br/&gt;Published: January 3 2010 22:31 | Last updated: January 3 2010 22:31&lt;/p&gt;

    &lt;!-- After the terror of the crisis comes a nervous recovery. That is the message delivered in the views of economists and policymakers on the risks to the economy as the UK exits recession. --&gt;
    &lt;p&gt;危機の脅威の後にやってくるのは頼りない回復。このような見方はイギリスが不況を抜けだすにしたがって、エコノミストや為政者の頭に浮かんできたメッセージである。&lt;/p&gt;

    &lt;!-- By far the biggest fears keeping analysts awake at night are a sovereign debt crisis ｭ in the UK or internationally ｭ and inflation. --&gt;
    &lt;p&gt;経済アナリストが眠れない夜を過ごしつづけているのは、イギリスや国外の公的債務危機とインフレーションを非常に恐れているからだ。&lt;/p&gt;

    &lt;!-- Of the 79 respondents to the FT's survey, 37 were worried that a failure to sufficiently tighten public spending or raise taxes could leave the country facing much higher costs from servicing the national debt, or even the possibility that investors will stop lending to the UK. "The major risk is the loss of confidence in the government's ability to get the public finances back under control," said Howard Davies, director of the London School of Economics. --&gt;
    &lt;p&gt;本誌の調べによると、79人中37人の回答者は、財政支出の大幅な引き締めや増税の失敗で生まれるコストが、イギリスの国債償還コストよりずっと大きくなりかねないのを心配している。もっと言えば、彼らは投資家がイギリスにお金を貸さなくなる可能性についても考えているのだ。「最も危険なのは政府が財政をコントロールする能力に対する信頼が失われることだ。」とロンドン･スクール･オブ･エコノミクス(LSE)のハワード･デイビス学長は語る。&lt;/p&gt;

    &lt;!-- "Major fiscal consolidation is needed, and more concrete plans should be developed and communicated as early as possible," said Henrik Braconnier, who monitors the UK for the OECD. --&gt;
    &lt;p&gt;「大規模な財政強化が必要です。それにできるだけ早く具体的なプランをつくって公表しなければなりません。」とはOECDのイギリス担当者ヘンリク･ブラコニエールの言。&lt;/p&gt;

    &lt;!-- A number of economists worried that an end to extraordinary policies such as quantitative easing ｭ the ▲200bn programme mostly made up of purchases of government debt ｭ could reveal public borrowing to be even less sustainable than it now appears. --&gt;
    &lt;p&gt;多くのエコノミストが心配しているのは、政府の借入れの思ったよりずっとひどい状況が、量的緩和 － 内容のほとんどは2000億ポンドの国債買取りプログラムだ － のような緊急的な政策の終了で露呈してしまうことだ。&lt;/p&gt;

    &lt;!-- Pierre Cailleteau, managing director of Moody's Global Sovereign Risk Group, warned of "a disorderly exit from highly stimulating policies, leading to an abrupt increase in long term interest rates and/or sharp currency realignments". --&gt;
    &lt;p&gt;ムーディーズのグローバル･ソブリン･リスク･グループ(訳注: カントリー･リスクの分析をやってるんだと思う)のピエール･カイレトー(Pierre Cailleteau)代表取締役は「強力だった経済刺激政策からの離脱する時に混乱がおきると、長期金利が急上昇したり通貨が激しく乱降下(sharp currency realignments)したりするかもしれません。両方が同時におきることもあります。」と述べる。&lt;/p&gt;

    &lt;!-- Annexed to the fear that public debt is out of control is the threat ｭ seen by more than a third of economists surveyed ｭ of an inflationary surge. The chief worries are that quantitative easing itself could spur sharp price rises, or that booming recoveries in China and India would do little to help Britain's meagre exports but would drive up commodity prices. "Over the next few months it is highly likely that we get an intensifying `inflation scare' if growth surprises on the upside," said former MPC member Sushil Wadhwani. --&gt;
    &lt;p&gt;公的債務がコントロールできなくなる心配のほか、回答してくれた1/3以上のエコノミストは急激なインフレも心配している。一番の懸念は、量的緩和自体が急激な物価上昇に拍車をかけるのではないかということである。中国やインドの景気のよい回復は、イギリスの貧弱な輸出の助けにはほとんどならないだろうが、それでも生活必需品の価格を上昇させる可能性はあるだろう。(訳注: The chief worries are that quantitative easing itself could spur sharp price rises, or that booming recoveries in China and India would do little to help Britain's meagre exports but would drive up commodity prices. 読みにくくてすみませんな。しかしここでインタゲの話が出てこないのは何故なんだぜ?)「もし意表をついて成長が上向くようだと、今後数ヶ月は"インフレの恐れ"が強まるとみてほぼ間違いない。」とイングランド銀行の元金融政策委員 Sushil Wadhwani も語っている。&lt;/p&gt;

    &lt;!-- Economists were sharply divided on inflation, with many believing that the risks of a price surge were overdone and that a Japan-like "lost decade" of slow growth accompanied by weak inflation was still possible. Similarly, however, many economists said the size of the national debt was not an issue. "People worry too much about the level of government debt and inflationary risk," said Andrew Scott of the London Business School. --&gt;
    &lt;p&gt;インフレについてのエコノミストの見解はきっぱりふたつに分かれる。物価高騰の危険性が誇張されすぎていて、低成長で低インフレな日本タイプの「失われた10年」の可能性のほうがまだ高いというのが大勢の意見だ。しかし、政府債務の額が問題なのではないという意見のエコノミストも同じくらい多い。「みんな政府の債務やインフレを気にしすぎている。」とはロンドン･ビジネス･スクールのアンドリュー･スコットの意見。&lt;/p&gt;

    &lt;!-- Policy misjudgment was a further area for concern － particularly in relation to inflation. Some economists warned that high inflation in the short term might lead the Bank of England to move too early to tighten monetary policy, or that the government would misjudge the severity of the recession and cut public spending before recovery was entrenched. --&gt;
    &lt;p&gt;政策判断の誤りは － とくにインフレに関しては － また違ったレベルの懸念だ。短期的なインフレ率の上昇で、イングランド銀行が金融引き締めを予想以上に早めてしまう恐れがあると警鐘を鳴らすエコノミストもいる。また、政府が景気後退の度合いの判断を誤って、回復が軌道にのるまえに財政支出をカットしてしまうこともありうる。&lt;/p&gt;

    &lt;!-- Sixteen respondents viewed policy error as a significant risk, and 16 also believed that the economy could slip back into recession, or experience very weak growth. This could also happen if the kraken of the banking crisis were to reawake. --&gt;
    &lt;p&gt;16人の回答者が政策の失敗が一番大きなリスクだと見ており、イギリス経済が再び後退しはじめるかごくごく低い成長になると思っているエコノミストも16人いる。金融危機の大イカ海獣クラーケンがもういちど目覚めても同じことになるだろう。&lt;/p&gt;

    &lt;!-- It is perhaps unsurprising that about a quarter of respondents were worried that a hung parliament or political weakness might threaten the UK's outlook. Slightly more analysts viewed the victimisation of bankers as a threat than thought climate change would be a problem this year. --&gt;
    &lt;p&gt;回答者の約1/4が絶対多数政党の存在しない議会や政治的弱体化を危惧していて、それが我が国の未来を脅かしかねないと考えているのは当然かもしれない。今年は気候変動より銀行家の迫害のほうが恐いと応えた人が1/4より少しだけ多かったこともつけ加えておこう。&lt;/p&gt;&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/4358023851694157304-1545360405729554491?l=randomcage.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://randomcage.blogspot.com/feeds/1545360405729554491/comments/default' title='Post Comments'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=4358023851694157304&amp;postID=1545360405729554491' title='0 Comments'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/4358023851694157304/posts/default/1545360405729554491'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/4358023851694157304/posts/default/1545360405729554491'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://randomcage.blogspot.com/2010/01/blog-post_12.html' title='インフレと債務不安で回復は頼りない感じだ。'/><author><name>soulcage</name><uri>http://www.blogger.com/profile/09004893170655174551</uri><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-4358023851694157304.post-2699391338283770063</id><published>2010-01-11T13:30:00.006+09:00</published><updated>2010-01-11T13:43:23.356+09:00</updated><title type='text'>銀行家、ボーナス課税をやり過ごす。</title><content type='html'>&lt;p&gt;Financial Times誌 2010年1月8日の&lt;a href="http://m.ft.com/cms/s/0/caffc078-fc97-11de-bc51-00144feab49a.html?catid=2&amp;SID=8e18d305cf714f88c8b7ea4b554d615e"&gt;Bankers escape bonus blow&lt;/a&gt;の翻訳でござる。別稿を寝かせているあいだの待ち時間(?)でやったので、いくぶんやっつけかも。&lt;/p&gt;    &lt;hr/&gt;    &lt;h1&gt;&lt;!-- Bankers escape bonus blow --&gt;銀行家、ボーナス課税をやり過ごす。&lt;/h1&gt;    &lt;p&gt;&lt;!-- By Patrick Jenkins and Megan Murphy --&gt;パトリック･ジェンキンス、ミーガン･マーフィー&lt;br/&gt;Published January8 2010 23:30 | Last updated January8 2010 23:30&lt;/p&gt;
    &lt;!-- City bankers will suffer little or no impact from the bonus supertaximposed by the governmentlast month, accordingto a FinancialTimes poll of leading investmentbanks. --&gt;
    &lt;p&gt;先月、イギリス政府がシティの銀行家に課したボーナスへの特別税は、ほぼ全くと言ってよいほど彼らに影響しないだろう。本誌が一流投資銀行を対象に実施したアンケートによるとそういうことになる。&lt;/p&gt;
    &lt;!-- Most banks, polled in an anonymised survey, said they would absorb all or part of the cost of the one-off 50 per cent tax by inflating their bonus pools, even at the risk of irritating the governmentand their own shareholders . --&gt;
    &lt;p&gt;無記名ではあるものの、「ボーナスへの50%課税によるコストは、ボーナス用資金を膨らませてやり過ごす」とほとんどの金融機関が応えている。たとえこのような調整が政府や自社の株主をいらつかせようと、そうするであろうと。&lt;/p&gt;
    &lt;!-- The results chime with intelligence garnered by headhunters "The tax is going to be 90 per cent absorbed by the banks," said one senior . recruitment consultant with clients in the City. --&gt;
    &lt;p&gt;この回答はヘッドハンターが集めた業界情報とも一致する。シティの人材コンサルタント(recruitment consultant)のある主任に聞いたところ「この税金の90%は金融機関によって吸収されるでしょうね」とのことだ。&lt;/p&gt;
    &lt;!-- In many cases that will mean banks doubling bonus pools, with the cost of the tax borne by shareholders Dividends, already under pressure as regulators force banks to retain earnings to boost capital, are likely to be hit, bankers concede. --&gt;
    &lt;p&gt;多くの金融機関がボーナス用資金を2倍に増やすだろう。そのコストは株主の配当にまわされる。すでに資本増強のため収益を確保するよう当局から要請があって、それには金融機関も譲歩している。この状況ではさらに配当は少なくなるかもしれない。&lt;/p&gt;
    &lt;!-- Some investors are growing increasingly irritated with the banks' plans. "Remuneration structures that seek to increase tax efficiency should not result in additional costs to the company", the Association of British Insurers, warned on Friday. --&gt;
    &lt;p&gt;金融機関のプランに不満を募らせる投資家も増えてきている。「税金をうまくかわすための報酬のしくみを追加コストに計上すべきでない」とイギリス保険業協会が警告したのもこの金曜日だ。&lt;/p&gt;
    &lt;!-- One leading investor said: "Companies can't increase the cost of employment to avoid staff paying their tax bills. We would like to see fewer banks held to ransom by staff demanding big bonuses." --&gt;
    &lt;p&gt;「職員の税金逃れを理由に雇用コストを増やすことなどあってはならない。これでは会社が職員の多額の&amp;#12508;ーナスを人質にゆすられているようなものだ。」と述べる有名投資家もいる。&lt;/p&gt;
    &lt;!-- On Friday, JPMorgan is due to report its 2009 results, the first of a clutch of US banks expected to unveil bumper profits － and bonuses － over the week. --&gt;
    &lt;p&gt;15日金曜日にJPモルガンが2009年第4四半期決算を発表する。それを皮切りに、今週はアメリカの金融機関の好調な売り上げ(とボーナス)がぞろぞろと明らかになると思われる。&lt;/p&gt;
    &lt;!-- UK and continental Europeanbanks will report over the next six weeks, with several admitting in the FT questionnaire that their stance on the bonus tax would be driven by the precedent set by US groups, and the competitive pressure to keep pace with rivals' bonuses. --&gt;
    &lt;p&gt;イギリスやヨーロッパの金融機関の決算は今後6週間でおこなわれる予定だ。ボーナス特別課税にどう対処するか、アメリカのグループ企業の先例やライバル企業のボーナスにあわせ、競争圧力で決まるだろうと認める回答もあった。&lt;/p&gt;
    &lt;!-- Bonus pay-outs at the part-nationalised Royal Bank of Scotland which announces results at the end of February will be particularly sensitive. --&gt;
    &lt;p&gt;RBS(ロイヤル･バンク･オブ･スコットランド)は一部国有化されているので、そのボーナス支払額が明らかになる2月末はとくにぴりぴりした状況になると思われる。&lt;/p&gt;
    &lt;!-- US institutions are more likely to absorb the tax entirely, accordingto the poll. However, some ｭ both US and Europeanｭ said they would seek to split the cost of the bonus tax between the bank and staff. Where the cost was shared with bankers it would be globally, not just with reference to London-based staff.--&gt;
    &lt;p&gt;アンケートによると、アメリカ企業のほうが税金の影響を吸収する度あいが大きそうだ。しかし、アメリカでもヨーロッパでも、ボーナスへの課税のコストを企業と個人で分けあう道をさぐりたいという回答は見られた。つまり、ボーナスへの特別課税のコストがロンドンだけでなく世界の銀行家で分担されることになるということだ。&lt;/p&gt;
    &lt;!-- The strategy will annoy the Treasury When Alistair Darling, the chancellor announced the supertax, he predicted it would deter banks from paying big bonuses, raising only a modest ￡550m in revenue. --&gt;
    &lt;p&gt;このような銀行家の戦略は、この税金を発表したアリスター･ダーリング大蔵大臣を困らせることになるだろう。彼はこの特別税で銀行の高額ボーナスを阻止しようとし、少ないながらも5500万ポンドの税収増は見こんでいたのだから。&lt;/p&gt;
    &lt;!-- Earlier this week, the Treasury acknowledged it had failed in its aim of changing banks' behaviour. However, that failure will be sweetened by the extra revenue it will now receive. --&gt;
    &lt;p&gt;今週初め、大蔵省は金融機関の振る舞いを変えさせるのに失敗したことを認めた。しかし、この失敗も今度の税収増でごまかされてしまうだろう。&lt;/p&gt;
    &lt;!-- In the FT questionnaire banks on average said they expected the tax to generate ￡5bn for the Treasury. --&gt;
    &lt;p&gt;平均的な回答によると、大蔵省にもたらされる税収は50億ポンドくらいになるだろうと予想されているのだ。&lt;/p&gt;
    &lt;!-- The FT quizzed 12 banks ｭ Bank of America Merrill Lynch, BarclaysCapital, Citigroup Credit Suisse, Deutsche Bank, Goldman Sachs, HSBC, , JPMorgan Morgan Stanley, Nomura RBS and UBS. JPMorgan and Goldman Sachs did not respond. --&gt;
    &lt;p&gt;本誌がアンケートしたのは次の12の金融機関だ。バンク･オブ･アメリカ、メリルリンチ、バークレイズ、シティグループ、クレジットスイス、ドイツ銀行、ゴールドマン･サックス、HSBC、JPモルガン･スタンレー、野村、ロイヤル･バンク･オブ･スコットランド、UBS。JPモルガンとゴールドマンサックスからは回答がなかった。&lt;/p&gt;
    &lt;!-- Additional reporting by Kate Burgess --&gt;
    &lt;p&gt;追加情報はケイト･バージェスが報告してくれた。&lt;/p&gt;&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/4358023851694157304-2699391338283770063?l=randomcage.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://randomcage.blogspot.com/feeds/2699391338283770063/comments/default' title='Post Comments'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=4358023851694157304&amp;postID=2699391338283770063' title='0 Comments'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/4358023851694157304/posts/default/2699391338283770063'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/4358023851694157304/posts/default/2699391338283770063'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://randomcage.blogspot.com/2010/01/blog-post_11.html' title='銀行家、ボーナス課税をやり過ごす。'/><author><name>soulcage</name><uri>http://www.blogger.com/profile/09004893170655174551</uri><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-4358023851694157304.post-6859768041357631262</id><published>2010-01-08T18:35:00.012+09:00</published><updated>2010-01-12T08:41:46.865+09:00</updated><title type='text'>ハロルド･ジェームズ: 大きな銀行がさらに大きくなりそうなワケ</title><content type='html'>&lt;p&gt;Project Syndicate から。 &lt;a href="http://www.project-syndicate.org/commentary/james36"&gt;Why Big Banks Will Get Bigger&lt;/a&gt; の翻訳。&lt;/p&gt;&lt;hr/&gt;&lt;h1&gt;&lt;!-- Why Big Banks Will Get Bigger --&gt;大きな銀行がさらに大きくなりそうなワケ&lt;/h1&gt;&lt;p&gt;ハロルド･ジェームズ&lt;/p&gt;&lt;!-- FLORENCE - Severe banking crises bring painful and long-lasting disruptions. But they also lead to surprises. The lessons learned in the immediate aftermath bear little relationship to the eventual outcome. There are immediate and obvious answers to the question of who was to blame, but they rarely correspond with the new shape of the financial landscape that ultimately emerges. --&gt;     &lt;p&gt;フィレンツェ(訳注: FLORENCE という土地は世界にいくつかあるが...) － 大規模な金融危機がおき長く苦しい混乱が訪れている。しかしそれは意外な事実ももたらしてくれている。危機の余波から得られる教訓は、危機の行きつく先とあまり関係がないというのがそれだ。誰を責めるべきかは直感的にはっきりと答えられる。しかしその答えというものが、われわれの行きつくであろう新しい金融世界のイメージとみごとに一致しないのである。&lt;/p&gt;&lt;!-- The crisis that began in 2007 originated in the sub-prime mortgage sector in the United States , and in US banks that were "too big to fail," prompting many observers at the outset to predict the end of American financial capitalism. But the banks that were most affected were elsewhere, and the long-term winners will be a few American banks － including some of the most notoriously weak banks － which will get bigger as a result of the crisis. Fueled by the injection of taxpayers' money, American capitalism is back in force. --&gt;     &lt;p&gt;この危機は2007年にはじまったアメリカのサブプライムローンに端を発するものである。そして、アメリカの「大きすぎて潰せない」銀行の存在は、多くの人にアメリカ的な金融資本主義もこれで終わりだろうと思わせることになった。ひどい損失を被った銀行はいたるところにあったのだが、長い目でみると、危機のおかげで規模が大きくなったアメリカの銀行が勝ち組になりそうだ(ここには悪名高く、まったくどうしようもない銀行がいくつか含まれる)。納税者のお金を使ってアメリカの金融資本主義が力をとり戻すというわけだ。&lt;/p&gt;&lt;!-- The explanation of why the obvious lessons of the crisis are being not drawn lies in the curious character of financial activity. Banking is inherently competitive ; but at the same time, it is not an industry where competition ever worked very well. --&gt;     &lt;p&gt;今回の金融危機の教訓は明らかなのに、なぜそれが活かされないのだろうか。それは金融活動のおもしろい性格による。金融業はもともとは競争の激しい業界なのだが、同時に競争が決してうまく機能しない業界でもあるのだ。&lt;/p&gt;&lt;!-- The core of financial activity depends on reputation, information networks, and the ability to make markets as well as trade on them. The result is that there are indisputable advantages to being big, as well as the disadvantages that have become obvious over the past two years. The market tends to be dominated by a relatively small number of firms. --&gt;     &lt;p&gt;金融活動の核は、評判や情報ネットワーク、マーケティング能力(訳注: the ability to make markets as well as trade on them)にある。そのため大規模化が有利なのは明々白々、そしてそれが弱点にもなることは、この2年間でわれわれが見てきたとおり。結果として、金融市場は比較的少ない企業で占められることになっていく。&lt;/p&gt;&lt;!-- In the old days, when banking was stable and regulated securely in a national setting, three or four leading banks tended to form an oligopoly: Barclays, Lloyds, Midland, and National Westminster in the United Kingdom; Commerzbank, Deutsche, and Dresdner in Germany. There were always suspicions of formal or informal banking cartels, which would agree on conditions and interest rates. Regulators generally turned a blind eye to these suspicions. --&gt;     &lt;p&gt;古きよき時代、金融業が安定していて国にしっかり守られていた頃、3つか4つの主要銀行がある寡占状態を形成することが多かった。例えば、イギリスならバークレイズ･ロイズ･ミッドランド･ナショナルウェストミンスター、ドイツだとコメルツバンク･ドイツ･ドレスナーがそれにあたる。公式非公式な金融カルテルで融資条件や金利を決めている疑いが常にあったわけだ。そして監査機関はこれに目をつぶるのが普通だった。&lt;/p&gt;&lt;!-- In the 1990 's and 2000's, internationalization promised to produce a new landscape, in which a small handful of banks would once again divide up a single global market. Banks maneuvered to get the best position to take advantage of financial globalization, which usually meant locating themselves where the regulatory regime was least restrictive. --&gt;     &lt;p&gt;1990年代と2000年代、国際化が新しい風景を生みだそうとしていた。わずかな銀行が、ひとつになったグローバル市場をもういちど切り分けようとしていた。銀行はグローバル金融市場でベストポジションを得ようと画策し、一番規制の緩い場所に本拠をおくのが普通になった。&lt;/p&gt;&lt;!-- Banks got much bigger very quickly, and bigness brought problems. As they grew, banks found it difficult to manage the multiplicity of their divergent activities. They were beset with incompatible computer software systems, rogue employees, and the need to account for the different national cultures in which they were now operating. --&gt;     &lt;p&gt;銀行は急速に成長し、その規模の大きさが問題になってきた。大規模化にしたがって、多岐にわたる膨大な業務管理が難しいのに気づいた。ソフトウェアシステムの互換性がとれなくなり、従業員はごろつきのようで、営業している国の文化の違いを把握するのに苦労するようになったのだ。&lt;/p&gt;&lt;!-- Almost inevitably, the biggest banks in the world got into trouble. In the 1990's, the largest banks were mostly Japanese. Who now remembers Daiichi Kangyo? --&gt;     &lt;p&gt;世界最大の銀行が問題を起こすのはほとんど必然だ。1990年代に世界最大だった銀行には日本のものが多い。いったい、第一勧業をいまだに覚えている人がどれくらいいるだろうか?&lt;/p&gt;&lt;!-- The financial crisis has produced a new answer to where the greatest competitive advantages lie. From banks' perspective, the most obvious lesson was the need for a strong national government to bear the potential costs of a rescue. It is no longer best to be subject to the most favorable regulatory regime, but to be where the state has the deepest pockets. --&gt;     &lt;p&gt;他の銀行より優位に立つにはどこに目をつければよいか、今回の金融危機から新しい考えが生まれた。銀行が得た教訓として最もはっきりしたのは、自分たちが失敗した際に会社を救うコストを負担してくれそうな強い力を持った政府が銀行には必要だということ。銀行にとって、規制うんぬんを最優先にするのはもはや最善策ではなく、もっとも財布の膨らんだ国はどこなのかが問題なのである。&lt;/p&gt;&lt;!-- Very large banks in small territories with small-scale governments are vulnerable . The US is big enough to handle behemoths like Bank of America or Citigroup . China can handle its large banks, even if they have large portfolios of poor credits. --&gt;     &lt;p&gt;とても大きな銀行が国土も政府規模も小さい国に拠点を置くと、その銀行には弱点がたくさんできてしまう。アメリカという国は、バンクオブアメリカやシティグループのような巨大怪獣を抱えるに足る大国だ。中国も国内に大きな銀行を抱えられる。たとえその銀行が信用の低い金融資産を山のように抱えていたとしてもだ。&lt;/p&gt;&lt;!-- European banks are in a more precarious situation . Ireland and Iceland have become notorious cases where a financial sector metastasized and destroyed the host country. Even in France and Germany, large and internationally active banks potentially exceed the government 's capacity to mount a rescue. In addition, there is the complexity of disentangling which country is responsible for what part of a rescue, when, for instance, Central European banks are controlled by an Austrian bank that is bought by a German bank that is then bought by an Italian bank. --&gt;     &lt;p&gt;ヨーロッパの銀行はもっと不安定な状況にある。アイルランドとアイスランドは悪い意味で有名な事例で、金融業界の問題が宿主である国家に転移し国家に壊滅的ダメージを与えた。フランスやドイツにおいてさえ、国際展開している大銀行の救済は両政府のキャパシティを越えている可能性がある。さらに加えて銀行が国際展開している場合、どの国がどの部分に責任を持つかという複雑な問題がおきる。例えば、ヨーロッパ中部にあってオーストリアの銀行の支配下にある銀行が、ドイツの銀行に買われて、さらにその後イタリアの銀行に買い取られたらどう扱えばよいのだろうか。&lt;/p&gt;&lt;!-- As a result, the big transnational institutions are lobbying hard for a pan -European approach to banking supervision and regulation (and implicitly for fiscal bailouts should that supervision and regulation fail). --&gt;     &lt;p&gt;そのようなわけで、金融業の監督や規制が汎ヨーロッパ的に行われるよう(そして暗黙には、それが失敗した時に財政的な救済がおこなわれるよう)、国際的な大銀行は活発なロビーイングを続けている。&lt;/p&gt;&lt;!-- In the case of the banks that required state rescues, European competition rules are requiring divestment and downsizing. Institutions such as Royal Bank of Scotland, which for a time in 2009 headed the list of the world 's largest international banks, are being pruned by the EU's Directorate General for Competition. --&gt;     &lt;p&gt;国家による救済が必要になった場合、現行のヨーロッパの競争ルールでは銀行から財産などを剥奪し規模縮小させねばならない。そのような銀行に対しては、2009年に世界最大規模の国際銀行だったロイヤル･バンク･オブ･スコットランドのように、EUの競争総局が切り詰め作業を行うのである。&lt;/p&gt;&lt;!-- Even the stronger banks are being pressed to increase their capital reserves. In most cases, this means that they will continue to cut back on lending, worsening the impact of the financial crisis on the rest of the economy. --&gt;     &lt;p&gt;銀行に対して自己資本比率のひき上げを求める圧力はかなり強まっている。ほとんどの場合、このような圧力があると、銀行が融資を減らし続けてしまい金融危機を悪化させることになる。&lt;/p&gt;&lt;!-- By contrast, in the US , the government pushed big banks into buying up smaller and vulnerable banks, and is now doing everything it can to press them to lend more. Government reactions are full of paradoxes . The more we insist that a banking system should be competitive , the greater the risks that individual banks will take. The more governments are prepared to step in, and the greater the resources of those governments, the more big banks and big countries will be favored. --&gt;     &lt;p&gt;一方、アメリカでは政府によって大銀行による脆弱で小さな銀行の買収が奨励された。現在は銀行に圧力がかけられていて、アメリカ政府はなりふり構わず銀行に借り入れを増やさせようとしている。政府の対処はパラドクスだらけだ。われわれが金融システムに競争が必要であることを強調すればするほど、個々の銀行はリスクを犯すようになる。政府に介入の準備が整うほど、そして介入の規模が大きくなればなるほど、大銀行や大国がより得をするようになってしまうのである。&lt;/p&gt;&lt;!-- The last 20 years of globalization saw the emergence of small, open economies as global leaders . The next 20 years will see a different globalization, in which the winners are large , powerful countries that mobilize government resources in the interest of creating winners in the race for financial supremacy. --&gt;     &lt;p&gt;グローバル化が進んだこの20年、小さくても規制が少なく開かれた&amp;#22269;が世界のリーダーにのし上がってきた。今後20年のグローバリゼーションは違った形になるだろう。金融世界の支配者を生みだすため、政府の資源を動かせるような強い大国が勝者だ。&lt;/p&gt;&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/4358023851694157304-6859768041357631262?l=randomcage.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://randomcage.blogspot.com/feeds/6859768041357631262/comments/default' title='Post Comments'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=4358023851694157304&amp;postID=6859768041357631262' title='0 Comments'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/4358023851694157304/posts/default/6859768041357631262'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/4358023851694157304/posts/default/6859768041357631262'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://randomcage.blogspot.com/2010/01/blog-post_983.html' title='ハロルド･ジェームズ: 大きな銀行がさらに大きくなりそうなワケ'/><author><name>soulcage</name><uri>http://www.blogger.com/profile/09004893170655174551</uri><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-4358023851694157304.post-5488764286519008145</id><published>2010-01-08T17:35:00.006+09:00</published><updated>2010-01-11T13:50:14.689+09:00</updated><title type='text'>スティグリッツ: 生きていくにはデカ過ぎる。</title><content type='html'>&lt;p&gt;Project syndicate.com に掲載された、&lt;a href="http://www.project-syndicate.org/commentary/stiglitz119"&gt;銀行規制とインセンティブの重要性についての記事&lt;/a&gt;の翻訳。&lt;/p&gt;&lt;hr/&gt;&lt;h1&gt;Too Big to Live&lt;/h1&gt;&lt;p&gt;&lt;!-- JOSEPH E. STIGLITZ --&gt;ジョセフ E.スティグリッツ&lt;/p&gt;&lt;!-- NEW YORK - A global controversy is raging: what new regulations are required to restore confidence in the financial system and ensure that a new crisis does not erupt a few years down the line. Mervyn King, the governor of the Bank of England, has called for restrictions on the kinds of activities in which mega -banks can engage . British Prime Minister Gordon Brown begs to differ: after all, the first British bank to fall - at a cost of some $50 billion - was Northern Rock, which was engaged in the "plain vanilla" business of mortgage lending . --&gt;     &lt;p&gt;ある激しい議論が世界で巻きおこっている。金融システムの信頼を回復させ、しばらくのあいだ危機を防いでおくには、どんな規制が新たに必要なのだろうかという議論だ。イングランド銀行のマービン･キング総裁は、メガバンクが行う類の経済活動の制限を要求している。ゴードン･ブラウン首相にとってそれは勘弁してよという感じだが、どちらにせよ、イギリスで最初に破綻したのは500億ドルもの損失を抱えたノーザンロックで、彼らが「ごく普通の」担保つき融資を行っていた事実に変わりはない。&lt;/p&gt;&lt;!-- The implication of Brown's observation is that such restrictions will not ensure that there is not another crisis; but King is right to demand that banks that are too big to fail be reined in. In the United States , the United Kingdom, and elsewhere, large banks have been responsible for the bulk of the cost to taxpayers . America has let 106 smaller banks go bankrupt this year alone. It's the mega-banks that present the mega -costs. --&gt;     &lt;p&gt;ブラウンの案だと、彼はこのような規制を実施しても危機の再発は防げないと思っているようだ。しかし、大きすぎて潰せない銀行の制限を要求するキング総裁のほうが正しい。アメリカやイギリスだけでなく世界中どこでも、納税者の負担の大半は大銀行に責任がある。アメリカでは今年だけで106の小銀行が倒産していった。メガバンクこそ我々にメガトン級の損失をプレゼントしてくれた張本人なのである。&lt;/p&gt;&lt;!-- The crisis is a result of at least eight distinct but related failures: --&gt;     &lt;p&gt;今回の金融危機は、少なくとも8つの別々の失敗が互いに関連した結果だ。&lt;/p&gt;&lt;ul&gt;&lt;li&gt;&lt;!-- Too-big -to-fail banks have perverse incentives; if they gamble and win, they walk off with the proceeds; if they fail, taxpayers pick up the tab. --&gt;潰せないほど規模の大きい銀行には誤ったインセンティブがある。つまり、ギャンブルの負けを清算する(訳注: 損失補填する)のは納税者で、勝てば自分はアガリを手に席を立てるというオイシイ状況。&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;&lt;!-- Financial institutions are too intertwined to fail; the part of AIG that cost America 's taxpayers $180 billion was relatively small. --&gt;金融機関同士の関係が複雑すぎて簡単に倒産させられない。AIG問題でアメリカ国民が払った1800億ドルはその一部でしかなく、問題の全体からすれば少額だったといえよう。&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;&lt;!-- Even if individual banks are small, if they engage in correlated behavior - using the same models - their behavior can fuel systemic risk; --&gt;たとえ個々の銀行が小さくても、全体が同じモデルを使っていれば、システミックリスクは急上昇してしまう。&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;&lt;!-- Incentive structures within banks are designed to encourage short-sighted behavior and excessive risk taking. --&gt;銀行のインセンティブ構造が、目先の利益追求と過剰なリスクテイクを促すようなものになっている。&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;&lt;!-- In assessing their own risk, banks do not look at the externalities that they (or their failure) would impose on others, which is one reason why we need regulation in the first place. --&gt;自らのリスク評価において、銀行は(彼らや彼らの失敗が)他に押しつけかねない外部性というものを考慮しない。これは我々が規制を必要とする第一の理由だ。&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;&lt;!-- Banks have done a bad job in risk assessment ｭ the models they were using were deeply flawed. --&gt;銀行によるリスク評価がまずかった。銀行が使っていたモデルは欠陥だらけだった。&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;&lt;!-- Investors, seemingly even less informed about the risk of excessive leverage than banks, put enormous pressure on banks to undertake excessive risk. --&gt;投資家の手にする情報は銀行よりずっと少なく、彼らはレバレッジが高すぎて危険なのを知らなかったと思われる。これが銀行に過剰なリスクを背負い込ませるような圧力になってしまった。&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;&lt;!-- Regulators, who are supposed to understand all of this and prevent actions that spur systemic risk, failed. They, too, used flawed models and had flawed incentives; too many didn't understand the role of regulation; and too many became "captured" by those they were supposed to be regulating. --&gt;状況を理解し、システミックリスクを増大させる行為を防ぐはずの当局が下手をうった。規制当局のモデルにも欠陥があり、そのインセンティブにも問題があった。あまりに多くの人々が規制の役割を理解していなかったし、ちゃんと規制できているという幻想に「捕らわれ」る人ばかりだった。&lt;/li&gt;
&lt;/ul&gt;&lt;!-- If we could have more confidence in our regulators and supervisors, we might be more relaxed about all the other problems. But regulators and supervisors are fallible, which is why we need to attack the problems from all sides. --&gt;     &lt;p&gt;規制当局や監督省庁がもっと信頼できるなら、残りの問題について我々も安心だったろう。しかし、それがどちらも当てにならないとなれば、我々はなりふりかまわず問題に対処せねばならない。&lt;/p&gt;&lt;!-- There are, of course, costs to regulations , but the costs of having an inadequate regulatory structure are enormous . We have not done nearly enough to prevent another crisis, and the benefits of strengthened regulation far outweigh any increased costs. --&gt;     &lt;p&gt;規制する行為に犠牲がともなうのは当然だが、不十分な規制のしくみによる損失は桁違いに大きい。我々は金融危機を防止するという状況からほど遠く、規制強化の恩恵はどんなコスト増にもかえがたい。&lt;/p&gt;&lt;!-- King is right : banks that are too big to fail are too big to exist. If they continue to exist, they must exist in what is sometimes called a "utility" model, meaning that they are heavily regulated . --&gt;     &lt;p&gt;キング総裁は正しいのである。銀行が大きすぎて潰せないのは、存在するには大きすぎるからなのだ。そのような大銀行が存続したいならば、いわゆる「公益事業体」のようでなければならない。つまり、大銀行には厳しい規制が加えられなければならないのである。&lt;/p&gt;&lt;!-- In particular, allowing such banks to continue engaging in proprietary trading distorts financial markets . Why should they be allowed to gamble , with taxpayers underwriting their losses? What are the "synergies"? Can they possibly outweigh the costs? Some large banks are now involved in a sufficiently large share of trading (either on their own account or on behalf of their customers) that they have, in effect, gained the same unfair advantage that any inside trader has. --&gt;     &lt;p&gt;特筆すべきなのは、メガバンクによる営利目的の取引が金融市場をゆがめてしまうということ。納税者に損失を肩代わりさせつつやるような賭けが、一体全体認められるべきなのか? 「シナジー」なんぞ意味不明なのである。それに国民の損失を上まわるほどの利益があるとでも言うのか? 充分すぎるほど巨額の取引をしている大銀行もある(それは自己資金と顧客の資金の両方を使って行われている)が、そのような大銀行は、事実上インサイダー取引と同じくらい不公平で有利な立場にいるのだ。&lt;/p&gt;&lt;!-- This may generate higher profits for them, but at the expense of others. It is a skewed playing field － and one increasingly skewed against smaller players. Who wouldn't prefer a credit default swap underwritten by the US or UK government; no wonder that too-big -to-fail institutions dominate this market. --&gt;     &lt;p&gt;メガバンクは高収益を得られるかもしれない。しかし、その犠牲になっているのは他の人々だ。これはインチキゲームだ。それも、一部のプレイヤーが他の小プレイヤーに一人勝ちするインチキゲームなのだ。アメリカやイギリスの政府保証付きCDS(クレジット･デフォルト･スワップ、信用リスクを移転する方法で金融派生商品のひとつ)を買わない者がいるとでも言うのか? メガバンクが金融市場を席巻するのは当然の成りゆきなのである。&lt;/p&gt;&lt;!-- The one thing nowadays that economists agree upon is that incentives matter. Bank officers got rewarded for higher returns ｭ whether they were a result of improved performance (doing better than the market) or just more risk taking (higher leverage). --&gt;     &lt;p&gt;現在、経済学者の間で合意があるのはインセンティブに問題があるという点だ。銀行に勤める人は収益を上げるほど報酬も高くなる。たとえその収益が、パフォーマンス改善(これは他よりよい仕事をしたということだ)によるものだろうと、単により大きなリスクを取った(この場合レバレッジが高くなる)だけであろうと変わりはない。&lt;/p&gt;&lt;!-- Either they were swindling shareholders and investors , or they didn't understand the nature of risk and reward. Possibly both are true. Either way, it's discouraging . --&gt;     &lt;p&gt;株主や投資家を騙そうが、リスクと報酬の関係を理解してなかろうが同じだ。おそらく両方ともやっているのが本当のところだろう。どちらにしても失望させられる事態である。&lt;/p&gt;&lt;!-- Given the lack of understanding of risk by investors, and deficiencies in corporate governance, bankers had an incentive not to design good incentive structures. It is vital to correct such flaws ｭ at the level of the organization and of the individual manager. --&gt;     &lt;p&gt;投資家がリスクを理解せずコーポレート･ガバナンスも存在しない状況で、銀行家が適切なインセンティブのしくみをつくりあげることはあり得ない。このような欠陥を組織レベルでも投資マネージャレベルでも正していくことがきわめて重要なのである。&lt;/p&gt;&lt;!-- That means breaking up too-important-to fail (or too-complex -to-fix ) institutions. Where this is not possible, it means stringently restricting what they can do and imposing higher taxes and capital-adequacy requirements, thereby helping level the playing field . The devil, of course, is in the details － and big banks will do what they can to ensure that whatever charges are imposed are sufficiently small that they do not outweigh the advantages gained from being underwritten by taxpayers . --&gt;     &lt;p&gt;これはすなわち、規模の大きすぎる(もしくは複雑すぎる)企業を解体することでもある。もしできないという企業があるなら、これらの企業に許される行為を厳しく制限し、高い税金や高い自己資本比率を課すことで、市場のゆがみを矯正していくことになる。悪魔が潜むのはもちろんその中味。大銀行は自分の負担をできるだけ軽くしようとし、納税者による損失補填から得る利益のほうが大きくなるようできることをしてくるだろう。&lt;/p&gt;&lt;!-- Even if we fix bank incentive structures perfectly - which is not in the cards - the banks will still represent a big risk. The bigger the bank, and the more risk-taking in which big banks are allowed to engage , the greater the threat to our economies and our societies. --&gt;     &lt;p&gt;たとえ万が一、金融業のインセンティブのしくみを我々が完璧に修正できたとしても、それらの銀行は大きなリスクを抱えたままだ。銀行が大きくなればなるほど、そして大銀行ならではのリスクテイクを行えば行うほど、我々の経済と我々の社会に対する脅威は大きくなっていくのだから。&lt;/p&gt;&lt;!-- These are not matters of black and white: the more we limit the size, the more relaxed we can be about these and other details of regulation. That is why King, Paul Volcker, the United Nations Commission of Experts on Reforms of the International Monetary and Financial System, and a host of others are right about the need to curb the big banks. What is required is a multi-prong approach, including special taxes, increased capital requirements, tighter supervision, and limits on size and risktaking activities. --&gt;     &lt;p&gt;この話は白黒はっきりする類の問題ではない。銀行の規模を制限すればするほど、もっと余裕を持って銀行問題を考えられ、他の規制内容にも手をつけられるようになる。これがまさに、キング総裁やポール･ボルカー(訳注: 元FRB議長)、国際金融システム改革に関する国連専門家委員会(訳注: 通称スティグリッツ委員会)、そして大銀行には手綱が必要だと主張する他の多くの人々が正しい理由なのである。実現するには多角的アプローチが必要だ。特別税、自己資本比率のひき上げ、より厳しい監督、規模やリスクテイク行為の制限などがそれに該当する。&lt;/p&gt;&lt;!-- Such an approach won't prevent another crisis, but it would make one less likely ｭ and less costly if it did occur. --&gt;     &lt;p&gt;このような対策をしたとしても金融危機を防げるとは言えない。しかしその可能性は下げられるし、もし金融&amp;#21361;機が起きても、こうすることで損失は少なくなるはずだ。&lt;/p&gt;&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/4358023851694157304-5488764286519008145?l=randomcage.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://randomcage.blogspot.com/feeds/5488764286519008145/comments/default' title='Post Comments'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=4358023851694157304&amp;postID=5488764286519008145' title='0 Comments'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/4358023851694157304/posts/default/5488764286519008145'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/4358023851694157304/posts/default/5488764286519008145'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://randomcage.blogspot.com/2010/01/blog-post_08.html' title='スティグリッツ: 生きていくにはデカ過ぎる。'/><author><name>soulcage</name><uri>http://www.blogger.com/profile/09004893170655174551</uri><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-4358023851694157304.post-8886556627400197334</id><published>2010-01-05T09:05:00.003+09:00</published><updated>2010-01-05T09:18:56.527+09:00</updated><title type='text'>シティ街からの警告</title><content type='html'>&lt;p&gt;&lt;a href="http://www.ft.com/cms/s/0/e7b2258a-f8af-11de-beb8-00144feab49a.html"&gt;UK deficit warning from City economists&lt;/a&gt;の訳。&lt;/p&gt;
    &lt;hr/&gt;

    &lt;h1&gt;&lt;!-- UK deficit warning from City economists --&gt;シティ街からの警告&lt;/h1&gt;
    &lt;p&gt;By Chris Giles, Daniel Pimlott and Jean Eaglesham &lt;br/&gt;Published: January 3 2010 22:31 | Last updated: January 3 2010 22:31&lt;/p&gt;

    &lt;!-- Britain is in danger of succumbing to a budgetary crisis this year, with the economy likely to stay in the doldrums until at least the end of 2010, a Financial Times survey of economists warns. --&gt;
    &lt;p&gt;イギリスは今年、苦しい予算編成に屈服する危機を迎えている。本誌の調査によると、今年一杯は少なくとも経済が低迷しそうだからだ。&lt;/p&gt;

    &lt;!-- Asked to name the three biggest risks to the economy, 37 of the 79 economists polled said the UK was threatened by a fiscal crisis that could derail any revival. --&gt;
    &lt;p&gt;我が国が抱える最も大きなリスクを3つ挙げてもらったところ、79人中37人のエコノミストがイギリスの財政危機が経済復興の予定を狂わしかねないという意見だった。&lt;/p&gt;

    &lt;!-- Howard Davies, director of the London School of Economics and a former member of the Bank of England's monetary policy committee, said: "The major risk is the loss of confidence in the government's ability to get the public finances back under control." --&gt;
    &lt;p&gt;LSE学部長(かな?)でイングランド銀行の元金融政策委員会委員ハワード･デイビスは「最も大きなリスクは政府が財政をコントロールする自信の低下です。」と述べている。&lt;/p&gt;

    &lt;!-- Sir John Gieve, former deputy governor of the central bank, said that inadequate plans for addressing the fiscal deficit could result in sharp rate rises and a fall in the pound. The warning from City economists, former MPC members and academics comes as politicians stepped up pre-election skirmishing. --&gt;
    &lt;p&gt;イングランド銀行の元副総裁 John Gieve氏も、財政赤字に対して不適切なアプローチで望んだ場合、ポンドが乱降下することになりかねないと述べている。シティ街のエコノミスト、元金融政策委員会委員や研究者たちによって、選挙前の小競り合いが激しくなるにつれて警鐘が鳴らされている。&lt;/p&gt;

    &lt;!-- Gordon Brown was accused by his rivals on Sunday of being "dishonest" for refusing to concede that substantial spending cuts were needed to tackle the projected ｣178bn budget deficit. --&gt;
    &lt;p&gt;ゴードン･ブラウン首相はおよそ1780億ポンドの財政赤字削減には事実上の支出削減が必要であることを認めず、日曜日にライバルから"不誠実"だと非難を受けた。&lt;/p&gt;

    &lt;!-- Asked about the government's planned spending cuts from 2011 in a BBC interview, the prime minister said: "You've got to be prepared to invest. The Tories won't." --&gt;
    &lt;p&gt;首相は政府が予定する支出カットについて、BBCのインタビューに「国民は投資の用意をする必要があります。トーリー党はしません。」と応えている。&lt;/p&gt;

    &lt;!-- He added: "We're raising national insurance by 1 per cent to protect our public services so that we can still spend more on health and more on education and more on policing." --&gt;
    &lt;p&gt;首相はまた「我々は公共サービスを守るために社会保障を1%値上げします。これは医療や教育、警察活動への支出を維持するためです。」とも述べている。&lt;/p&gt;

    &lt;!-- The Conservatives said his comments explained the "open despair" in cabinet. --&gt;
    &lt;p&gt;保守党議員によると、首相のコメントから想像するに、内閣では"落胆が広がっている"のだろうということだ。&lt;/p&gt;

    &lt;!-- Most of the economists thought the economy was recovering and would grow in 2010, but they believed the government and Bank of England were too optimistic about the pace of the rebound. Only 16 per cent thought the economy would be growing at an above average rate of about 2.5 per cent by the end of the year. --&gt;
    &lt;p&gt;エコノミストのほとんどがイギリスの回復と2010年の成長を信じているが、政府とイングランド銀行がイギリス経済の立ち直りについての見方は楽観的すぎると考えている。2010年末に平均2.5%以上で成長していると予想するエコノミストはたった16%しかいない。&lt;/p&gt;

    &lt;!-- The economists said the government must make its plans to improve the public finances more transparent and credible if Britain was to avoid the fiscal crises that have engulfed Greece and Ireland. Should investors refuse to buy government bonds at current high prices, interest rates would rise and the recovery was likely to stall. --&gt;
    &lt;p&gt;イギリスがギリシアやアイルランドを巻き込んだような財政危機を回避するため、政府は財政再建計画をもっと明確で信頼できるものにする必要があるというのが彼らの意見だ。もし万が一、投資家が今値上がり中の政府債を買わないと決めてしまえば、金利が上がって景気回復は足止めを喰らってしまうだろう。&lt;/p&gt;

    &lt;!-- But economists were divided over what to do about the threat of a fiscal crisis. Half of those polled backed the Conservatives' view that action to cut spending and increase taxes was needed urgently in 2010. Half warned that such rapid reduction in borrowing would undermine the recovery. --&gt;
    &lt;p&gt;とは言うものの、エコノミストの間でも財政危機にどう対処するかについては意見が分かれている。回答者の半分は2010年中に支出削減し増税するのが最優先だという保守党の考えを支持している。もう半分はこのような急速な借り入れの削減は回復の足をひっぱるものだと警告している。&lt;/p&gt;&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/4358023851694157304-8886556627400197334?l=randomcage.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://randomcage.blogspot.com/feeds/8886556627400197334/comments/default' title='Post Comments'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=4358023851694157304&amp;postID=8886556627400197334' title='0 Comments'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/4358023851694157304/posts/default/8886556627400197334'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/4358023851694157304/posts/default/8886556627400197334'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://randomcage.blogspot.com/2010/01/blog-post_05.html' title='シティ街からの警告'/><author><name>soulcage</name><uri>http://www.blogger.com/profile/09004893170655174551</uri><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry><entry><id>tag:blogger.com,1999:blog-4358023851694157304.post-2088734390139454117</id><published>2010-01-05T05:26:00.015+09:00</published><updated>2010-01-05T06:23:10.323+09:00</updated><title type='text'>日本の失われた20年</title><content type='html'>&lt;p&gt;The Economist誌"&lt;a href="http://www.economist.com/opinion/displaystory.cfm?story_id=15174533"&gt;Japan's two lost decades&lt;/a&gt;"の翻訳。&lt;/p&gt;
&lt;hr/&gt;
&lt;p&gt;&lt;!-- Japan's two lost decades --&gt;日本の失われた20年&lt;/p&gt;
    &lt;!-- An end to the Japanese lesson --&gt;
    &lt;h1&gt;日本からの教訓が終わる時&lt;/h1&gt;

    &lt;!-- Dec 30th 2009 From The Economist print edition --&gt;
    &lt;p&gt;2009年12月30日&lt;br/&gt;The Economist 印刷版より。&lt;/p&gt;

    &lt;!-- Japan has taught the world a great deal about coping with the financial crisis. Now the West is on its own --&gt;
    &lt;p&gt;かつて、日本は金融危機への対応がどれほど大きな賭けとなるのか世界に教えてくれた。そして今、欧米諸国がその賭けをする番になっている。&lt;/p&gt;

    &lt;!-- "NEW Year rally expected on Tokyo market next week ." That was a typically boosterish Japanese newswire headline on December 29 th 1989 , the day that one of the world's biggest ever asset- price bubbles reached bursting point. Exactly 20 years later the Japanese are still paying the price for such hubris ( see article). The Nikkei 225 index, which peaked at 38 ,916, now languishes at just over one- quarter of that level (though once again there is talk of a New Year rally) . Japan's economy has barely grown in nominal terms after two "lost decades" , and is again suffering from deflation. Where Japan was once bearing down on America , it now feels the hot breath of China on its neck. Remember " Japan as Number One"? These days the country's chief claim to fame is having a gross government debt burden approaching 200% of GDP . --&gt;
    &lt;p&gt;「東京では新年のご祝儀相場による値上がりが予想される。」 1989年12月29日の速報ヘッドラインはこんな風に市場を熱狂的に支持していた。その日、世界史上最大規模の資産バブルはその臨界点に達していたのである。そして日本は、ちょうど20年後の今もまだ、そのバブル期のツケを払い続けている。日経225はバブルのピーク時に38,916円を記録したが、現在ではそのたった1/4超にまでしぼんでいる(新年のご祝儀相場があると言われてはいるが)。「失われた20年」の日本経済は名目値でかろうじて成長したくらいで、いまだにデフレの害を受け続けている。この国はいったんアメリカににじり寄ったものの、最近では中国の首筋に熱い吐息をかけている。皆さんは"ジャパン･アズ･ナンバーワン"というコピーを覚えているだろうか? 今日、その同じ国のご自慢は、総額でGDPの200%に達する政府債務なのである。&lt;/p&gt;

    &lt;!-- For the Japanese this has all been deeply troubling. But in the past two years, as the Western world has faced many of the same problems that Japan has been grappling with since 1989 (the collapse of asset prices, a surge in distressed debt and a looming threat of deflation), Japan has provided some useful lessons on how governments should, and should not, tackle potentially systemic financial meltdowns. --&gt;
    &lt;p&gt;日本人にとってこれらはみな深刻な問題だ。ところが、この2年で'89年以降の日本が抱え込んだ問題の多く(資産価格の暴落、投げ売り同様の債券、のしかかるデフレの恐怖)と同じものに、西側諸国も直面することになってしまった。崩壊しかねない金融システムに対し、政府はどうすべきで、どうすべきでないのか、日本は有用な教訓を残してくれた。&lt;/p&gt;

    &lt;!-- Thanks to the precedent set by Japan, many of these lessons were quickly put into practice. Acting far more swiftly than the Japanese authorities did (the Japanese had the misfortune of having to learn through trial and error ), Western policymakers provided liquidity to their banks and forced them to rebuild capital, while pumping in generous doses of fiscal stimulus to offset the collapse in private- sector demand. And like the Bank of Japan, they slashed interest rates and took extraordinary measures to try to keep credit flowing. The efficacy of these steps has led to growing optimism about the world economy. --&gt;
    &lt;p&gt;日本という先達のおかげで、その教訓の多くは迅速に実行された。日本当局がやったよりかなり迅速に(日本国民は試行錯誤せねばならなかったという点で不運だった)、欧米の政策決定者は、国内銀行に流動性を供給して資本を積み直させ、同時に財政刺激を惜しみなく行って民間需要の激減を相殺したのである。そのおかげで、世界経済の見通しはだんだん明るくなってきている。&lt;/p&gt;

    &lt;!-- So what is the Japanese lesson now ? In many ways, the analogy is no longer terribly helpful . That is partly because the pupils are in a worse pickle than the teacher ever was. The most vulnerable countries, such as Greece, now face a risk that Japan never did: that markets will lose faith in their creditworthiness. Japan, for all its woes, has benefited from a huge pool of domestic savings and investors happier to keep their money at home than abroad. Meanwhile, the scale of the global upheaval makes Japan' s problems, which had little impact overseas and took place against a backdrop of global growth, look small by comparison . And with huge deficits in so many nations, the risk of a sudden loss of fiscal credibility is more acute than it ever was in Japan. --&gt;
    &lt;p&gt;日本からの教訓で残っているものはあるだろうか? 日本に学ぶというやり方は、様々な点で、すでに使えなくなってしまっている。それは、部分的には、欧米諸国の現状が日本のかつての状況より悪いからだ。ギリシアのように最も不安定な国々は、かつての日本にはなかったような問題に直面している。これらの国々の市場では国の債務返済能力が信頼されなくなるだろう。一方、日本は巨額の国内貯蓄で災難をやり過ごしており、日本の投資家は海外投資よりお金を国内にとっておくほうを好んできた。世界金融危機の規模は大きく、日本の問題はかすんでしまうほどだ。彼らの問題は海外にほとんど影響せず、世界経済の成長にとっては背景のようなものだ。それより、膨大な赤字を抱えた国が多すぎて、財政の信頼性が急激に失われることのほうがもっと深刻な事態である。&lt;/p&gt;

    &lt;!-- But there are other ways in which the pupils are in better shape. That is partly because they have less rigid systems. In the more adaptable Western economies there has been less resistance to structural changes in order to maintain productivity. There are also usually fewer political barriers to dealing with bad private-sector debts than there were in Japan. Moreover Westerners are also reaping the rewards of having acted more decisively than the Japanese did - especially when it came to pumping money into the economy and cleaning up financial balance-sheets. With fewer zombie banks, fewer signs of entrenched deflation and much earlier signs of growth, the West is in uncharted territory : it has arguably already got to a stage that Japan never really did. --&gt;

    &lt;p&gt;しかし、欧米のほうが日本よりまともな点もある。我々のシステムは日本より柔軟なのだ。柔軟な国であればあるほど、生産性を維持するための構造改革への抵抗も少なくなる。また、欧米は日本と違い民間の不良債券処理に対する政治的障害も少ない。さらに、西洋人は日本人より決断力をもって行動し、とくに経済に流動性を供給して金融業界のバランスシートを改善させているという点で有利だ。ゾンビバンク(訳注: 経営破綻しているはずなのに政府の救済で生きながらえている銀行)が少ないほどデフレに陥る兆候は減り、成長のきざしが見えるのはずっと近づくだろう。欧米は未知の領域にいる。そして、すでに日本が踏み込んだことのない段階にあるのはおそらく間違いない。&lt;/p&gt;

    &lt;h2&gt;&lt;!-- Nothing more will I teach you today --&gt;卒業&lt;/h2&gt;

    &lt;!-- That makes it very difficult to keep on drawing particular lessons from Japan's sad plight . It does, however, still leave a general lesson common to all economic disasters : don' t be suckered by false signs of economic recovery. In Japan's case, such hopes have led it repeatedly to tighten fiscal policy before private demand was strong enough to sustain a recovery. That entrenched deflation. Japan also left its banks too short of capital to cope with subsequent shocks. --&gt;
    &lt;p&gt;したがって、日本の哀しい窮状から特定の教訓を導きだしつづけるのはとても難しくなっている。しかしながら、日本は、すべての経済災害に共通する一般的な教訓を残してくれている。それは、景気回復っぽい兆候に騙されてはならないということ。日本はこれを誤認し、民間需要が回復を維持できるほど力強くなってもいないのに、なんども財政引き締めを行ってきた。それがデフレを固定化したのである。また日本の国内銀行の資本も、今後のショックに対応していくには少なすぎるまま放置されている。&lt;/p&gt;

    &lt;!-- Policymakers in the developed world still have an enormous task on their hands. Many banks have huge write-downs to make on their loans, economies are burdened with excess capacity and households' debt levels remain high . It would be disastrous to tighten policy too soon, as Japan's example shows. But Japan provides no useful guidance on when the right time would be. For that, there is only trial and error. And the more errors there are, the more the West's next decade may look like Japan's two lost ones. --&gt;
    &lt;p&gt;先進国の政策決定者は、まだ数え切れないほど多くの作業を抱えている。多くの銀行はその融資に巨額の評価損を抱え、経済には余剰設備が重荷となり、家計の借金はかさんだままだ。このような状況であわてて引き締め政策をとれば悲惨なことになりかねない。試行錯誤するしかないが、ミスをすればするほど、我々の今後10年は日本の失われた20年に似たものになっていくであろう。&lt;/p&gt;&lt;div class="blogger-post-footer"&gt;&lt;img width='1' height='1' src='https://blogger.googleusercontent.com/tracker/4358023851694157304-2088734390139454117?l=randomcage.blogspot.com' alt='' /&gt;&lt;/div&gt;</content><link rel='replies' type='application/atom+xml' href='http://randomcage.blogspot.com/feeds/2088734390139454117/comments/default' title='Post Comments'/><link rel='replies' type='text/html' href='http://www.blogger.com/comment.g?blogID=4358023851694157304&amp;postID=2088734390139454117' title='0 Comments'/><link rel='edit' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/4358023851694157304/posts/default/2088734390139454117'/><link rel='self' type='application/atom+xml' href='http://www.blogger.com/feeds/4358023851694157304/posts/default/2088734390139454117'/><link rel='alternate' type='text/html' href='http://randomcage.blogspot.com/2010/01/20.html' title='日本の失われた20年'/><author><name>soulcage</name><uri>http://www.blogger.com/profile/09004893170655174551</uri><email>noreply@blogger.com</email><gd:image rel='http://schemas.google.com/g/2005#thumbnail' width='16' height='16' src='http://img2.blogblog.com/img/b16-rounded.gif'/></author><thr:total>0</thr:total></entry></feed>
