20100112

インフレと債務不安で回復は頼りない感じだ。

Financial Times 誌の「Inflation and debt fears point to a nervous recovery」 の翻訳だす。なんか前にも似たような内容のものを訳した気がするのは気のせい...だろう、たぶん(笑)。


インフレと債務不安で回復は頼りない感じだ。

クリス・ガイルズ、ダニエル・ピンプロット
Published: January 3 2010 22:31 | Last updated: January 3 2010 22:31

危機の脅威の後にやってくるのは頼りない回復。このような見方はイギリスが不況を抜けだすにしたがって、エコノミストや為政者の頭に浮かんできたメッセージである。

経済アナリストが眠れない夜を過ごしつづけているのは、イギリスや国外の公的債務危機とインフレーションを非常に恐れているからだ。

本誌の調べによると、79人中37人の回答者は、財政支出の大幅な引き締めや増税の失敗で生まれるコストが、イギリスの国債償還コストよりずっと大きくなりかねないのを心配している。もっと言えば、彼らは投資家がイギリスにお金を貸さなくなる可能性についても考えているのだ。「最も危険なのは政府が財政をコントロールする能力に対する信頼が失われることだ。」とロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)のハワード・デイビス学長は語る。

「大規模な財政強化が必要です。それにできるだけ早く具体的なプランをつくって公表しなければなりません。」とはOECDのイギリス担当者ヘンリク・ブラコニエールの言。

多くのエコノミストが心配しているのは、政府の借入れの思ったよりずっとひどい状況が、量的緩和 - 内容のほとんどは2000億ポンドの国債買取りプログラムだ - のような緊急的な政策の終了で露呈してしまうことだ。

ムーディーズのグローバル・ソブリン・リスク・グループ(訳注: カントリー・リスクの分析をやってるんだと思う)のピエール・カイレトー(Pierre Cailleteau)代表取締役は「強力だった経済刺激政策からの離脱する時に混乱がおきると、長期金利が急上昇したり通貨が激しく乱降下(sharp currency realignments)したりするかもしれません。両方が同時におきることもあります。」と述べる。

公的債務がコントロールできなくなる心配のほか、回答してくれた1/3以上のエコノミストは急激なインフレも心配している。一番の懸念は、量的緩和自体が急激な物価上昇に拍車をかけるのではないかということである。中国やインドの景気のよい回復は、イギリスの貧弱な輸出の助けにはほとんどならないだろうが、それでも生活必需品の価格を上昇させる可能性はあるだろう。(訳注: The chief worries are that quantitative easing itself could spur sharp price rises, or that booming recoveries in China and India would do little to help Britain's meagre exports but would drive up commodity prices. 読みにくくてすみませんな。しかしここでインタゲの話が出てこないのは何故なんだぜ?)「もし意表をついて成長が上向くようだと、今後数ヶ月は"インフレの恐れ"が強まるとみてほぼ間違いない。」とイングランド銀行の元金融政策委員 Sushil Wadhwani も語っている。

インフレについてのエコノミストの見解はきっぱりふたつに分かれる。物価高騰の危険性が誇張されすぎていて、低成長で低インフレな日本タイプの「失われた10年」の可能性のほうがまだ高いというのが大勢の意見だ。しかし、政府債務の額が問題なのではないという意見のエコノミストも同じくらい多い。「みんな政府の債務やインフレを気にしすぎている。」とはロンドン・ビジネス・スクールのアンドリュー・スコットの意見。

政策判断の誤りは - とくにインフレに関しては - また違ったレベルの懸念だ。短期的なインフレ率の上昇で、イングランド銀行が金融引き締めを予想以上に早めてしまう恐れがあると警鐘を鳴らすエコノミストもいる。また、政府が景気後退の度合いの判断を誤って、回復が軌道にのるまえに財政支出をカットしてしまうこともありうる。

16人の回答者が政策の失敗が一番大きなリスクだと見ており、イギリス経済が再び後退しはじめるかごくごく低い成長になると思っているエコノミストも16人いる。金融危機の大イカ海獣クラーケンがもういちど目覚めても同じことになるだろう。

回答者の約1/4が絶対多数政党の存在しない議会や政治的弱体化を危惧していて、それが我が国の未来を脅かしかねないと考えているのは当然かもしれない。今年は気候変動より銀行家の迫害のほうが恐いと応えた人が1/4より少しだけ多かったこともつけ加えておこう。

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