Financial Times誌 2010年1月8日のBankers escape bonus blowの翻訳でござる。別稿を寝かせているあいだの待ち時間(?)でやったので、いくぶんやっつけかも。
銀行家、ボーナス課税をやり過ごす。
パトリック・ジェンキンス、ミーガン・マーフィー
Published January8 2010 23:30 | Last updated January8 2010 23:30
先月、イギリス政府がシティの銀行家に課したボーナスへの特別税は、ほぼ全くと言ってよいほど彼らに影響しないだろう。本誌が一流投資銀行を対象に実施したアンケートによるとそういうことになる。
無記名ではあるものの、「ボーナスへの50%課税によるコストは、ボーナス用資金を膨らませてやり過ごす」とほとんどの金融機関が応えている。たとえこのような調整が政府や自社の株主をいらつかせようと、そうするであろうと。
この回答はヘッドハンターが集めた業界情報とも一致する。シティの人材コンサルタント(recruitment consultant)のある主任に聞いたところ「この税金の90%は金融機関によって吸収されるでしょうね」とのことだ。
多くの金融機関がボーナス用資金を2倍に増やすだろう。そのコストは株主の配当にまわされる。すでに資本増強のため収益を確保するよう当局から要請があって、それには金融機関も譲歩している。この状況ではさらに配当は少なくなるかもしれない。
金融機関のプランに不満を募らせる投資家も増えてきている。「税金をうまくかわすための報酬のしくみを追加コストに計上すべきでない」とイギリス保険業協会が警告したのもこの金曜日だ。
「職員の税金逃れを理由に雇用コストを増やすことなどあってはならない。これでは会社が職員の多額のボーナスを人質にゆすられているようなものだ。」と述べる有名投資家もいる。
15日金曜日にJPモルガンが2009年第4四半期決算を発表する。それを皮切りに、今週はアメリカの金融機関の好調な売り上げ(とボーナス)がぞろぞろと明らかになると思われる。
イギリスやヨーロッパの金融機関の決算は今後6週間でおこなわれる予定だ。ボーナス特別課税にどう対処するか、アメリカのグループ企業の先例やライバル企業のボーナスにあわせ、競争圧力で決まるだろうと認める回答もあった。
RBS(ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド)は一部国有化されているので、そのボーナス支払額が明らかになる2月末はとくにぴりぴりした状況になると思われる。
アンケートによると、アメリカ企業のほうが税金の影響を吸収する度あいが大きそうだ。しかし、アメリカでもヨーロッパでも、ボーナスへの課税のコストを企業と個人で分けあう道をさぐりたいという回答は見られた。つまり、ボーナスへの特別課税のコストがロンドンだけでなく世界の銀行家で分担されることになるということだ。
このような銀行家の戦略は、この税金を発表したアリスター・ダーリング大蔵大臣を困らせることになるだろう。彼はこの特別税で銀行の高額ボーナスを阻止しようとし、少ないながらも5500万ポンドの税収増は見こんでいたのだから。
今週初め、大蔵省は金融機関の振る舞いを変えさせるのに失敗したことを認めた。しかし、この失敗も今度の税収増でごまかされてしまうだろう。
平均的な回答によると、大蔵省にもたらされる税収は50億ポンドくらいになるだろうと予想されているのだ。
本誌がアンケートしたのは次の12の金融機関だ。バンク・オブ・アメリカ、メリルリンチ、バークレイズ、シティグループ、クレジットスイス、ドイツ銀行、ゴールドマン・サックス、HSBC、JPモルガン・スタンレー、野村、ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド、UBS。JPモルガンとゴールドマンサックスからは回答がなかった。
追加情報はケイト・バージェスが報告してくれた。
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